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最果てからの手紙09

このところ外出を控えている方は多いと思います。私は部屋で映画をよく観るようになりました。そんな“お部屋シアター”の魅力を紹介します。一番の魅力は観終わったあとに物語の余韻に浸るひとときにあります。心地よく過ごせるようにソファと画面のある空間に花を飾ったり、暖かい飲み物を作る準備をしておきます。見ながら飲むのも素敵ですが、エンドロールの音楽をBGMにしてコーヒーをハンドドリップしていると映画の世界に入り込んだような体感を得られます。焙煎された豆の香りが満ちた空間はプライベートカフェとなって、いつも以上に映画の感動を膨らませてくれるはず。物語に登場した外国の街の風景やお部屋のインテリアの美しさを記憶に留めたり、胸に残ったセリフについて静かに思いを馳せる。ひとりで心ゆくまで作品の世界に意識を泳がせるのもいいし、気心の知れた誰かとの語らいも暮らしに彩りを与えてくれます。

今日は2008年公開の“百万円と苦虫女”を鑑賞。百万円貯まる度に新しい街に移り住む主人公の家財道具らしきものは、お手製のカーテンのみ。映画の中で弟に手紙を書くシーンが印象的です。トランク一つで知らない街を転々とする主人公にとって手紙を書ける相手の存在は心の支えなのでしょう。家を離れて滞在している街で言葉を綴っている自分と、そんな主人公の姿が重なりました。

今回は滞在先の名物、木彫りの熊を贈ります。手のひらに乗る大きさです。

2022年2月 吉日


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