我孫子武丸

小説、漫画原作、ゲームシナリオ等何でも書きます。最新刊は『修羅の家』(講談社)。 コン…

我孫子武丸

小説、漫画原作、ゲームシナリオ等何でも書きます。最新刊は『修羅の家』(講談社)。 コンピュータゲームが好きですが、近年はアナログゲーム、マーダーミステリーにも興味津々。http://twitter.com/sukiyapotes

最近の記事

『言語はこうして生まれる』を読んで言語学素人がつらつら考えたこと

 昨年3月に邦訳の出たVyvyan Evans『言語は本能か』(The Language Myth:Why Language Is Not an Instinct 2014)に続いてまたしてもノーム・チョムスキー、スティーブン・ピンカーらの「生成文法」説を蹴散らすスリリングで超納得の言語学本が出たので、本noteを始めた意図からは少々浮くけれどもぜひともご紹介したい。「ジェスチャーゲーム」「The Language Game」とちゃんとタイトルにゲームが入ってるし、言語史にお

    • 悪夢のクラフトン屋敷へようこそ!Nightmare Horror Adventures : Welcome to Crafton Mansion 

       米アマでオススメされ、何だかマーダーミステリーの進化版のようだぞ、と思ってBGGを見ると評価もかなり高く(7.9)、お値段はかなり安い($24.99)ということで買ってみたゲーム。テキスト量が多く(もちろん全部英語)、1人で読まないといけない場面もありそうなのでメンバーを揃えるのに気を遣った。ボードゲーム仲間の中から、比較的英語にストレスがなく、多少翻訳アプリを駆使したりしてでもわけのわからんミステリゲームを遊んでみようという人を集めなければならないわけだ。結果、ベスト人数

      • Chronicles of Crime その後

         一昨年「Chronicle of Crime」を手に入れてプレイし九月にはこのような記事を書いた。そして「日本語化は絶望的」と締めくくったのだったが……すみませんでした。何と……日本語版が出ました!!   いやー、日本語版が出る、と知ったときは驚いたものです。しかし昨年の春先には出るのかなと思っていたものが、いつまで経っても発売日が分からず、暮れになってようやく発売。しかしそれも、プレイしてみれば分かることと思いますが、普通のボードゲームのテキスト量ではなく、小説を一冊分

        • ディテクティブ シーズン1 完全日本語版

           昨年、Portal社の『Detective:A Modern Crime Boardgame』を偶然見つけて購入、遊び初めて以来、ボードゲームのさらなる「沼」にはまり、ついでに主にミステリっぽいゲームについては詳しい感想も書いておこうかなと(それ以外のゲームもたくさん買ったり遊んだりしているのだけど、そっちはほぼ素人の感想になるので)このnoteも始めたわけだが、随分長い月日が経ったような気もするのに実はあれから1年とちょっとでしかないと気づいてびっくりだ。そしてこの6月1

        『言語はこうして生まれる』を読んで言語学素人がつらつら考えたこと

          Detective:City of Angels

          『Detective』……とメインタイトルこそ同じだけれど、PortalのではなくVanRyderGamesという会社の全然別のゲーム。BGGを知って色々見て回っていると「あるゲームを好きな人達が好きな別のゲーム」なんて表示があって、そうすると当然のように『Detective』を好きな人は他のミステリゲームを遊んでいるのでこういうものがこちらの目に留まる、というわけ(ちなみにPortalの『Detective』は何とか昨年中に最後までやり、今はもうすぐアークライトから出る『シ

          Detective:City of Angels

          Chronicles of Crime(犯罪年代記?)

           これを最初に見つけたのは日本Amazonでのおすすめだったのだけど(多分「Detective」を買ったせいだろう)、割高な気がして米アマ(amazon.com)から輸入し始めるきっかけになってしまったほど気になったゲーム。色んな意味でちゃんと届くのか心配だったが、10日ほどであっさり届いて拍子抜け。送料を入れてももちろん安上がり(これが更なる“沼”への罠……)。  そしてこれがまた、何とも先進的でよくできたシステムのゲームだったのだ。  中には「ボード」や「カード」が入っ

          Chronicles of Crime(犯罪年代記?)

          Awkward Guests(厄介なゲストたち)

           間が空いてしまった。「Detective」を一気に終わらせて総合的なレビューを書こうと思っていたのに、残念ながら諸々あってまだ「Detective」はCase3までしか遊べていない(先がすごく気になるというのに!)。そしてその間に、次々と新しいゲームを購入してしまい、遊ぶのが追いつかないでいわゆる「積みゲー」が出来ているというのが現在の状態。  そんな中、ふとしたご縁でまったく知らなかったこのゲームを手に入れ、何度か遊ぶことが出来たのでぜひともここでご紹介しておきたい。  

          Awkward Guests(厄介なゲストたち)

          『Qシャーロック』――「謎解き」とゲームの狭間

          『Qシャーロック』は先頃グループSNEより翻訳、発売されたスペイン発の謎解きゲーム。極めてシンプルで簡単なシステムで1~8人まで、短時間でお手軽に「謎解き」を味わえるゲームだ。一つのパッケージに三つのシナリオが入っているが、プレイできるのはそれぞれ一度だけ。発売日に早速買ったものの、いまだ続く自粛のため、とりあえず「ラストコール」のソロプレイを行なったが、これは本来の遊び方ではない、と判断(理由は後述)。残りは3人以上くらいで遊びたいなと思っていたものの、まあ2人を試してみて

          『Qシャーロック』――「謎解き」とゲームの狭間

          『Detective』フリーシナリオ「Suburbia」訳(イントロ、カードのみ)

          『Detective』のフリーシナリオ、「Suburbia」はここに解説もあり、ボード、カードなどのファイルがダウンロードできます。コマ、トークンは何かそれらしいものを用意すれば何とかなるでしょう。DeepLに放り込んだ文章を結構手直しはしましたが、あんまり自分の文章にしてしまうのもなんだかなと思ってそんなに意訳はしていません。(翻訳って難しい……) 追記:無料シナリオ「Suburbia」は『ディテクティブ シーズン1 完全日本語版』の発売に伴い、データベース部分と共に日本

          『Detective』フリーシナリオ「Suburbia」訳(イントロ、カードのみ)

          犯罪捜査ボードゲーム『Detective:A Modern Crime Board Game』紹介

          どうも。我孫子です。新型コロナで今後も籠城が余儀なくされるであろう中、本を読んでもいいし、オンラインゲームをしてもいいし、もちろんSNSにどっぷり浸かっててもいいんだけれど、そういうのはまあTwitterでも紹介可能なので、ちょっと長文になりそうなアナログゲームなんかについてこちらで書いてみようかなと思い立った次第です。(もしかしたらこのゲームについて書き尽くしたら放置する可能性も)  このゲーム「Detective」を発見したのは全くの偶然で、Amazonを彷徨っていたと

          犯罪捜査ボードゲーム『Detective:A Modern Crime Board Game』紹介