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Awkward Guests(厄介なゲストたち)

 間が空いてしまった。「Detective」を一気に終わらせて総合的なレビューを書こうと思っていたのに、残念ながら諸々あってまだ「Detective」はCase3までしか遊べていない(先がすごく気になるというのに!)。そしてその間に、次々と新しいゲームを購入してしまい、遊ぶのが追いつかないでいわゆる「積みゲー」が出来ているというのが現在の状態。
 そんな中、ふとしたご縁でまったく知らなかったこのゲームを手に入れ、何度か遊ぶことが出来たのでぜひともここでご紹介しておきたい。
 より詳しいゲーム内容、多くの人の感想など知りたい方はこちらをどうぞ。

https://boardgamegeek.com/image/4870482/awkward-guests

「クルー」「クルード」というゲームをご存じの方は多いだろう。繰り返し再販され、日本でも何種類か出て、映画(『殺人ゲームへの招待』。なかなか味わいのあるコメディ。リメイクされるとか?)にもなった超有名古典ボードゲームである。推理ゲームでありながら、いわゆる「シナリオ」タイプではなく、毎回ランダムに変わる犯人と凶器と殺害場所を当てるので何度でも遊べるのが売りだ。
 2016年に発売されたこの「Awkward Guests」は、その超超進化版といっていい。
 大富豪で多くの人に憎まれているウォルトン氏が殺される。が、元々彼は自分を殺そうとしている人間がいると気づいて、そんなことをしそうな人間ばかりを家に集めてそれが誰かを突き止めようとしていたのだ。なので、ちょうど犯行時刻には彼の家には動機がありそうな人間ばかりがいた……という設定。
 プレイヤーは各容疑者ではなく、事件を解決するため外部から招かれた探偵。容疑者7人(2人は双子で常に一緒に動くので7人だけど犯人は「6パターン」になる)、凶器は屋敷内にある20種類、そして各人動機を3種類ずつ持っている。これをすべて特定すれば「真相解明」となるわけだが、これらは実は「クルード」のように単にランダムに決まるわけではないし、特定の方法もそう簡単ではない。
 243枚の証言カードがあり、プレイの際は毎回そこから指定された70枚のカードだけを抜き出して使う。それがいわば「シナリオ」である(ルールブックには39のパターンが掲載されているが、スマホアプリによってほぼ無限に生成される!)。それらのカードの1枚1枚に警察が見つけた「証拠」や使用人、容疑者の「証言」が書かれている。基本、犯人だけが嘘のアリバイを主張し(上級シナリオに行くと共犯者が出てくるらしいがまだそこまで辿り着いていない)警察はもちろん、使用人や他の容疑者も嘘はつかない。それらをすべて突き合わせると自ずと犯人は特定できる。動機に関する証言もある。しかし、凶器は実はそれらだけでは特定できない。凶器は、鑑識のえらくあやふやな報告(黒い粉はなかった、防御創はなかった、等)と犯人の「移動経路」を特定しないと一個には絞れないようになっている(凶器は屋敷の各部屋に複数ずつ置かれている)。そのため、プレイヤーは証言の数々から、犯人を特定するためにも、こうして詳細な調査メモを取っていく必要がある。

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 このように、屋敷の図面に様々な可能性を描き込んでいきながら、いかに早く真相に辿り着くかを競うゲームである。

 情報のやりとりは、その70枚のカードで行なう。各人、最初に配られるのは6枚。当然それらの情報はきちんとメモを取る。そして、スタートプレイヤーから順に、知りたい「場所」や「人物」の情報を2種類宣言する(場所二ヶ所、人物二名、場所と人物、どれでもOK)。その2種類のどちらかに関係する情報を持っているプレイヤーはそれらのカードを伏せて出し、そのカードの合計コストの数字チップを上に載せる(各カードには1~3のコストが記されている)。宣言したプレイヤーはそのコスト以上の自分の手札と引き換えにそれらを何枚でも手に入れることが出来る。誰も出さなかった(あるいは出せなかった)場合、残っている山札から3枚引ける。こうして情報が流通していく。これを全員行なうとワンラウンド。そこで解決できる人はしてもよいがまず無理なので、全員手札を3枚まで減らして3枚補充。これでまた新しい情報が入ってくる(ただし、結構キーになる情報を1人か2人だけが見て捨て札になってしまうという可能性も多々ある)。

 難易度は「ビギナー」から「完全犯罪Perfect Crime」まで7段階。「普通medium」以上のモードだと共犯者(犯人の嘘のアリバイに協力する)が出てくる可能性があるらしい。「簡単easy」モードでもなかなかの歯応えなので、気合いを入れて経験者メンバーでまた臨みたいものだ(そしていつかは「完全犯罪」を……)。

 先ほどちらっと書いたようにこのゲームには無料でダウンロードできるアプリがあり、ルールブックには載っていない無限のシナリオを提示してもらうことが出来る(抜き出すべきカードの数字がどんどん出てくる)。その場合答合わせもアプリ上。
 そしてこのアプリを使ってのソリティアモードもある。その場合、70枚のカードをいきなり抜き出すのではなく、まずは6枚の手札だけ指示され、残りは70~90くらいの与えられたポイントを消費しながら、新しいカードを手に入れていく、という仕組み。場所と人物の二項目を選ぶと、それに応じて「2枚で4ポイント」「4枚で4ポイント」「1枚で3ポイント」といった風に四つの選択肢が示され、その一つを選択するようになっているのだが、マルチプレイの感覚を再現しようとしているのか、既に持っているカードの番号を教えられることもしばしば。数字順に並んでいるカードを探してから、「ない!……なんやこれさっきも見たやつやないかーい!」となる。これは実際マルチプレイでも起きがちなことなのだが、これはこれでよしとするか、「なるべくお互い気をつけるようにした方がいい」事案なのかは意見の分かれるところかもしれない。ぼくはなるべく「渡したものが(その同じ人から)すぐ戻ってくる」事態は避けたいと思うが、うまいメモの方法がまだ発見できていない。(特にこれはコスト3の警察・鑑識カードで起きやすく、またコストが高いだけに心理的ダメージもでかい)

 今回、数寄ゲームズさんより、和訳ルールとリファレンスがついたものが販売開始されました。「日本語版」ではないのでカード及びアプリでは若干の英語を読む必要がありますが、さほど問題はないはずです(難しい単語は全部ルールやリファレンス内にあるので)。

 秋の夜長に、そしていつもより長くなるかもしれない「冬ごもり」に備えていかがでしょうか。

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