犯罪捜査ボードゲーム『Detective:A Modern Crime Board Game』紹介

どうも。我孫子です。新型コロナで今後も籠城が余儀なくされるであろう中、本を読んでもいいし、オンラインゲームをしてもいいし、もちろんSNSにどっぷり浸かっててもいいんだけれど、そういうのはまあTwitterでも紹介可能なので、ちょっと長文になりそうなアナログゲームなんかについてこちらで書いてみようかなと思い立った次第です。(もしかしたらこのゲームについて書き尽くしたら放置する可能性も)

 このゲーム「Detective」を発見したのは全くの偶然で、Amazonを彷徨っていたときにふと輸入版をオススメされたものの、どうも日本語訳はついておらず(輸入ボードゲームは日本語訳ついてるものも結構あるので)、自分の生半可な英語力で太刀打ちできるものかどうか心配ではあったものの、「残り2個!」という言葉に背中を押されポチってしまったのだった。

 プレイ人数は1~5の協力プレイ。5つのシナリオが入っているけれど、それらはキャンペーンになっていて、順番に同じメンバーでプレイする必要がある。既にプレイしている知人によると(一緒にやってくれないかと誘ったら「もうやってます!」と振られた)、Google翻訳に頼りながらやってると1シナリオ5時間くらいかかったりもするという。学生仲間とかならいいけれど、社会人だと全員の予定を合わせるのもなかなか難しい(会社員ばっかりだったら逆に楽なのかも? ぼくの回りは予定が流動的な人が多い)。
 作者はポーランドの人のようだが、英語版以外にもヨーロッパ各国語版(韓国語版も?)が出ていて、物語の舞台はアメリカ。「アンタレスAntares」という名の新しく設立された捜査機関のメンバーになって、特殊な事件の捜査に当たるという設定だ(アンタレスといえばあのさそり座の一等星のことだろうが、どういうイメージでそう名付けられたのかはちょっとよく分からない)。
 パッケージの中には(ボードゲームにしては)小さめのボード1枚とキャラクターカード5枚(表裏あり)、数種類のコマとトークン、それにカードデッキが5セット。ほぼこれだけ。実のところこのゲームは、「ゲームブックの各パラグラフをカードに落とし込んだもの」と言えば大体間違いではない。番号の振られたこのカード一枚ずつ(裏もあり)に書かれた文章を読み、次の選択を選んで裏を見たり、別のカードに飛んだり、時にはPC・スマホを使って(必須です)このゲームのために用意されたデータベースにアクセスしたり、Google検索をしたりする必要が出てくる。そして、最終的には制限時間(ゲーム内時間)が来たら、そのデータベース上で向こうが出してくる質問に答えていくことで最終報告(Final report)を提出、点数がつけられ、シナリオクリアとなって次へ進める、というシステムだ(データベースにはアカウントごとのゲーム記録がセーブされる)。
 ボードやキャラクター(各人少しずつスキルが違う)、トークンというのはすべて、このカードを全部簡単に読ませないための縛りとして機能する(ルールを無視して全部読んだとしてもそこに明快な「解答」「結末」は載っていないのだが)。ボードとコマは捜査チームの現在地、日時をマークするためにある(全員一緒に動いている設定)。カードを読むためには指定された位置にいる必要があり(聞き込みならフィールドワーク、証拠品鑑定なら研究所、という具合)、移動する場合はどこでも1時間、カードそれぞれその内容に応じて1時間~3時間の時間を消費する。アンタレスはホワイト企業らしく、朝8:00~夕16:00が通常勤務時間(事件初日は9:00スタート。ブリーフィングがあるからか?)。シナリオごとに決まった日数で解決しなければならないのだが、なかなかそうはうまく行かないので「残業」が認められる。ただし残業すると1時間につき一つ、ストレストークンというものが溜まっていく。これまたシナリオごとに設定されたストレス値に達してしまうと、日程が残っていてもそこで即終了。最終報告を提出しなければならなくなる(ストレス値は最終報告の採点の際、一個マイナス一点で計算される。初プレイでも満点が取れるようになっているのかどうか分からないが、もし狙うなら1時間の残業もできない)。
 時間経過に加えて、時々特殊な技術を要求されることもある。シナリオと選択したキャラクターに応じてトークンプールには予めいくつかの影響力トークン(Authority token)と5種類のスキルトークン(質問Questioning、認知Perception、コンピュータCyber、調査Research、そしてこの四つなんにでも使えるワイルドトークン)が用意される。ちなみに、5人プレイの場合、5人のキャラクターを全員「捜査員Investigator」側で一人ずつ担当すればいいが、人数がそれより少ない場合は、使われなかったキャラクターの裏面にある「顧問Consultant」がいて、不在の捜査員分のスキルを補填してくれる(何人でプレイしようが捜査できる範囲は多分同じ)。カードの選択肢に書かれた文章によっては、その先を見るためには影響力トークンやスキルトークン、もしくはその両方を必要とする場合がある。もしそれらが足りなくなっても、各キャラクターが持つ特殊能力(一日一回しか使えないが、翌日になればまた使える)を使って残っているトークンを変換したり増やしたりすることである程度やりくりできる。

 そしてもう一つ重要なのがデータベース。
https://antaresdatabase.com/

 このデータベースにメールアドレスと適当なパスワードを入れておく必要がある(一人だけでもいいが、数人の目があった方が大事なことを見落としにくいかもしれないので、全員スマホ等で確認できるとなおよし)。
 データベースにログインすると、各シナリオ(最初はCase 1:A man with a golden watch)を選ぶことになる。事件のイントロダクションはパッケージにも入っているが、ここでも読むことが可能だ。
 データベースには人物ファイル、事件ファイル、調書、そして指紋やDNA等を12文字の英数字で便宜的に表わしたデータが納められている。カードの指示に応じて素早くアクセスし、さらなる情報を手に入れ、組み合わせていく必要がある。
 またカードやデータベースの文中、下線の引かれた固有名詞が出てくることがしばしばあり、それらはフィクションではなく実際に存在するものなので、Google等を活用してその意味を調べておくとこの世界にどっぷり浸かる上で役に立つし、どうやら謎解きにも関係しないでもないようだ……。
 そしてもう一つ重要なのが情報をまとめながら「紙のメモを取る人」。これは絶対に必要。
 1~5人用のゲーム、と書いたけれど、実のところそんなに各キャラクターを誰が受け持つとかは関係ない。カードを読み、データベースを操り、メモを取る、この3人は最低いた方がいいと思われる。そして後はああでもないこうでもない、次どうしよう、と話し合いながら進めていく、そういうゲームです。

 このゲームがキャンペーンになっていることは、プレイしていくにつれて判明してくる。最初の事件捜査の解決には直接関係ない別の事件が浮かび上がってくるわけだ。そして、「現在は必要ない情報だが将来は役に立つもの」を、カードの指示に従って別のシナリオのデッキへ移すことになる!(つまり、その時そうしていなければ後々の捜査で必要な情報が足りない場面が出てくると思われる。あの時の俺たちグッジョブ!みたいなことになるのかどうか……)

 で、実のところ今の時点でまだぼく自身もCase1しか終わらせていない状況だ(Case2をやる日取りをほぼ決めたところでどうやらそんなことをしてられない雰囲気になってきた)。
 Case1を遊ぶ直前、Twitter上でこのゲームのカード、データベース等ほぼすべての日本語訳をしてくれた方がいたおかげで相当楽をできたはずだが、それでもプレイに5時間ほどかかった。カードの印刷までは面倒で諦めたのだがプリントくらいはしておけば、貼り付けなくてもだいぶ楽だったと思われる。

 さてそんなわけで、大体の雰囲気はお分かりいただけただろうか?
 実はこの「Detective」にはフリーシナリオが用意されている。ボードもカードもネットからダウンロードしてプリントすればほぼパッケージの遊び方で遊べるシナリオだ。
 DeepLという翻訳サイトというかアプリが結構使えると話題なので、それを使ってそのシナリオを翻訳してみたのを次項にアップしてみます。

プレイ解説(英語)
https://www.youtube.com/watch?v=3Q9lWB5qffs&t=85s

Amazonの商品ページ(2020/04/08現在品切れ)https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07W8W5F5X/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o08_s01?ie=UTF8&psc=1

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