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【熱中症を人災にしない】増田雄太

みなさん、こんばんは!トレーナーの阿部です。

今回は、前回ご紹介した増田くんに、これから暑くなってきてから注意しなければならない「熱中症」について、学校やスポーツ現場でのできることについてコラムを書いてもらいました!

是非皆さまの現場で参考にしてください!


【熱中症を人災にしない】


突然ですが、熱中症に関するクイズです!

真夏の体育の授業をあなたが先生として監督している状況を想像して、答えてみてください。◯or✕クイズです。
先にクイズに目を通してから下記の文章を読んで頂ければ幸いです。

1) 熱中症が疑われる症状で、生徒が倒れたら何もしないで、救急隊を待ったほうがいい
2) 熱中症のような生徒には脇の下と鼠径部を氷で冷やしてもらえば大丈夫
3) 一人具合が悪そうだが、周りの生徒は元気そうなので、熱中症ではないだろう
4) 生徒に声をかけたらいつになく感情的になっていた。少しふらついているが吐いてないし、汗も出てるから熱中症の症状ではないだろう
5) プールの授業は水で冷やされるから熱中症に関しては普段の授業より安心だ

 毎年多くの方が熱中症で命を落としています

暑熱下の運動に伴って起こる熱中症は労作性熱中症と呼ばれます(高齢者が自宅が発症する古典的熱中症とは少し原因が異なります)。労作性熱中症が発症したの処置は「Cool first, Transport second.(第一に冷やす、次に搬送する)」がゴールドスタンダードになってきており、適切な処置をすればほぼ必ず命は救えると言われております。一方で命を落としてしまうケースでは、何らかの不可抗力が加わっていることが多いです。基礎疾患などがない場合は、熱中症になりかけの時点で何らかの症状を感じ、子供でもその異常な状況がわかるはずです。熱中症が重症化する場合は、その異常な状態を申し出ることができない環境や運動や労働などをやめることができない環境(物理的にも、社会的にも)にあることが多いのです熱中症は暑さによる事故のようで、実はその監督者や周りの人が起こしている事件のような反面もあるのです。殺人的な暑さと揶揄されますが、実際は本当に殺人しているようにも思えるケースがよくあります。熱中症を人災としないように、熱中症をしっかり理解して頂きたいなと思います。
 少々暗い話になってしまいましたが、このnoteを読んでいる方はこういった情報に興味がある方が多いのかなと思います。熱中症などスポーツ現場の事故に対処するためには、「知る・備える・整える」の3つのステップが重要です。まずは熱中症に対する理解を深めて、その上で必要な設備(物、人)をそろえて、それらが適切に活用される環境を整えてください(注1)。
 熱中症に関する情報は私よりも偉くて立派な方々が色々な場所で発信しています。もちろんネット上にもたくさん情報があります。夏が始まる前に新しい情報に目を通して、備えてほしいと思います。
 クイズで全問正解できなかった場合は、要注意です!
下記に参考になる情報を発信しているサイトをお知らせしますので、是非アクセスしてみてください。

※紹介はほんの一部です。

信頼できる情報なのか確認する時は、

①執筆者が明確である

②出典が示されている の2点に留意すると良いと思います。
(誰が書いたかわからない、情報のソースが不明な情報は怖いですよね?)

【無料ガイドブック】
・日本体育協会スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック
http://www.irfc.jp/school/file/giidebook_s.pdf
【オンラインプログラム(一部有料)】
・スポーツセーフティジャパン プログラム
http://www.sports-safety.com/programs.html
【書籍】
40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか: 体温の科学から学ぶ猛暑のサバイバル術 DOJIN選書 著)永島計

---クイズの答え---
1)✕:まず冷やすことが大事です。体温も測ることが大事です(注2)。
2)✕:アイスバスなど、全身を氷水で冷やす方法でないと効果的ではありません。
3)✕:暑さへの耐性は人それぞれです。
4)✕:感情的になるなど、神経系の症状も熱中症の特徴です。
5)✕:プールは汗が気化しない、重力方向に対して横向きだと喉が渇きにくいなど体温調節に不利な事柄があります。

---注釈---
注1:具体的にはアイスバスを作成するためのプール、氷、水、人員を確保する(備える)→使う練習をしておく、メンテナンスをしておくなどです(整える)。
注2:国際的には深部体温(直腸温)を測りながら、冷やすことが求められますが、国内では直腸温計を医療従事者以外が使用することができません。鼓膜温度で代替する方法もありますが、エビデンスは確立されていません。

---参考---
・Casa, Det al., (2007) Cold water immersion: the gold standard for exertional heatstroke treatment.
・エンジェルズアーチ 学習会
Facebookページ:https://www.facebook.com/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%81-285656655183283/
・スポーツセーフティジャパン HP
http://www.sports-safety.com/

いつも読んでいただきありがとうございます! 僕が今まで、またこれから学んだ知識、経験が、誰かの悩み、不調の改善に少しでも役に立てることがあればこんな幸せなことはありません。 より多くの方に有益な情報が届くよう、活用させていただきます。