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ライフステージの変化にともなう「制約」を「働きやすさ」に昇華させるために

ご無沙汰しております。エンタメのDXを推進するスタートアップ、GaudiyでHRを担当している安部(@abe_motivator)と言います。この紹介に対して「え?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この後説明します。

2021年12月をもってHeaR株式会社を退職し、そこから別の企業への転職が決まり試用期間を過ごしていたのですが、早期に離職することになってしまいました。
理由はざっくり言うと「家庭の事情」です。詳細は書けるもの書けないもの含め色々あるのですが、僕個人だけでなく家族のこともあるので割愛します(詳細はお会いしたときに話しましょう!)

想像もしていなかったことが多々起こり、1.2月は本当に大変で、気持ちは折れなかったものの、痩せたり肌荒れしたり身体は正直だなと思いました(笑)

そこから両親を含めた周囲のサポートもあり、無事に少しずつ活動を再開できております。心配してくださった方、助けてくれた方には本当に頭が上がりません。まだ以前のような環境に戻ることはできていませんが、こうやって落ち着いてnoteを執筆できているだけでも個人的には嬉しい気持ちでいっぱいです。

話を戻します。今は、元々副業で関わっていたGaudiyのコーポレートサクセスとして働いています。1月はほとんど働くことができず、以前のような120%仕事にコミットする働き方は到底難しい状況(これは今も変わっていません)。
そんな状況でちょこちょこ働き始めても、中途半端な自分に嫌気がさして気持ちが折れてしまうのではないかと思い、周りからのありがたいお話も半ば拒絶していました。ただ、そんな中で石川さん(@yuya_gaudiy)や
山本さん(@hanahanayaman)をはじめ、そんな状態の自分を受け入れてくださり必要としてくれたのがGaudiyでした。

そもそも、7月に息子が生まれてから「以前と同じ働き方はできない」という事実を受け入れられていない自分がいたし、恥ずかしながら、ライフステージの変化に伴う制約を受け止められていなかったんだと思います。
もしかしたら「今の自分は組織にとってお荷物なのではないか」「今の自分を受け入れてくれる組織はないのではないか」という強迫観念を勝手に自分自身に抱いていたのかもしれません。
今回の件は、ある意味それを受け入れざるを得ないような出来事だったので、人として少し成長できた気がします(すごいポジティブに捉えるなら)

このnoteでは、そんな状況だった自分を、Gaudiyはどうして受け入れることができたのかという組織作りの観点と、タイトルにもある通り、ライフステージに伴う個人的「制約」を、組織としての「働きやすさ」に昇華するための取り組みをご紹介できればと思います。

ライフステージの変化によって直面した、制約

※前提として、僕自身の仕事や育児スキルが足りていないという事実は認めているという認識を持っていただきながら読み進めていただきたいです

まずはじめに、僕自身が一番きついなと思ったのは「定時」という存在でした。気持ちを吐露した投稿がそれなりに反響があったので、同じように感じている人は多いんだなあと勇気づけられました。

リモート環境での業務がスタンダードになってきたのは非常に良いことだと思います。一方で、子育てをしながら9:30~18:30という定時を週5日遂行するというのは至難の業でした。
「他のワーママ/ワーパパも、こんなに苦労しながら働いているのか?」と、この数ヶ月で1000回くらい思っています(笑)

おむつを替えるくらいだったら不器用な僕でも数分で終えられます。でも、ミルクや離乳食を食べさせたり、寝かしつけや泣き止ませたり……これら1つ1つはまとまった時間がないと、僕はこなせませんでした。
そうなると定時の中でこなせる仕事量は減っていきますし、そもそも度々離席するので、稼働時間が少なくなります。

また、これは我が家(7カ月の乳幼児)に限ってかもしれませんが、18:00は2回目の離乳食TIMEなので、そこからお風呂に入れる→ミルク→寝かしつけの一連の育児TIMEが始まります。つまり定時中に1日で一番忙しい育児ゴールデンタイムに突入するわけです。

なので「定時通りにきっちりと働かないといけない」というのは物理的に難しい。「じゃあ時短で働けば?」という意見ももらいましたが、収入面が下がることを危惧して、とても首を縦に振ることができませんでした(こんなことを言うと、わがままと思われる方もいると思いますが……)

一方で、「柔軟さ」も僕にとって制約と感じる要素の1つでした。「定時」という制約を取っ払うために「フレックスタイム」を設けている企業も最近多いと思います。これ自体はとても素晴らしい制度だと思いますし、助けられているママ/パパは多いのではないでしょうか?

ではなぜ、この「柔軟さ」が制約だと感じたのか。「定時も柔軟さもダメなんて、それはお前のわがままだぞ」という言葉が聞こえてきそうなので詳しく説明すると、柔軟さが「ルーズさ」に繋がっているケースが多々あるからです。
これは僕自身も親になって初めて気が付いたのですが「一旦このMTGで話がまとまらなくても、夜にゆっくり時間取って続きやればいいよね」というような、「時間通りに進めること」に対する緊張感が薄れてしまっている状態は、子育て中の自分にとって非常にしんどいということ。

先ほど述べた通り「夜に続きをやればいいよね」という状態は親になってから不可能になりました。そもそも子供がいつ寝るのかなんて分かりません。体調が悪ければずっとぐずっているケースも多々あります。そうなると「MTGに出れるかどうか、確約できない」んですよね。「無理なら参加しなくていいよ」は、配慮の言葉として使われていますが、疎外感を感じさせる言葉でもあります。

また、1h予定のMTGが2hに伸びることが多々あったり、当日急にリスケするみたいなことが重なると「せっかくこのMTGの為に色々調整したのに……」となることが増えました。僕の場合は義両親や両親にも頻繁にサポートしてもらえているのですが、そういった、自分を助けてくれるステークホルダーにも迷惑を欠けてしまうこともあります。

「制約」を「働きやすさ」に昇華させるために

今回僕がGaudiyに安心してジョインできた、そしてGaudiyが僕のような状態のメンバーを受け入れることができた要因として「New Standard(=新しい常識を創る)」「DAO(=自律分散型組織)」という2つのキーワードが挙げられます。

1つ目の「New Standard(=新しい常識を創る)」に関して、組織作りという領域では「一緒に働く仲間が、最高に働きやすい環境を作り上げる」ことがNEW STANDARDの体現だと捉えているので、今実際に取り組んでいるいくつかの事例をご紹介します。

①最も柔軟な働き方の限界を追求する
近頃はフレックスタイム制を導入している企業は増えていますが、ほとんどが11:00~16:00/13:00~18:00のような、長いコアタイムを制定している企業が多いと思います。
※フレックスタイム制度についての詳細は下記に詳しくまとまってあるので読んでみてください

Gaudiyにおいてもまさしくこのフレックスタイム制を導入しているのですが、コアタイムを極力短くし、「定時」という概念を無くそうと試みています。
デメリットとしては、コミュニケーションコストがかかることや業務スピードの鈍化が考えられますが、それに対してはプロトコルを制定し、それに則った運用を遵守するなどの工夫をしています。

理想論だけを並べているのではなく
・ステークホルダーと協業しながら従業員の最大出力が可能であること
・自律的に成果にコミットすること
これらを大前提とした上で、最も柔軟な働き方の限界を追求していきます。「やれる時にやる」という考え方が、無責任なものではなく自律的な形で運用されるためにカルチャーの浸透や採用をさらに促進します。

②各プロトコルの制定
そして上記のような柔軟な働き方を追求していく中で大切になってくるのが「プロトコル」だと思っています。もしかすると馴染みのない言葉かもしれないので補足しておくと、プロトコルというのは「手順」や「規約」を表す言葉で、その場で適応されるルールのようなものです。

例えば下記のような形で、全社共通の「1週間の時間割」のようなプロトコルを定める取り組みも検討しています。

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■働き方プロトコル
- ミーティングはAMに集中させる
- 2日毎にスプリントを回していく(月/木にプランニングし、火/金に振り返りを行う)
- 水曜日AMは自由(お休みしてもいいし、インプットの時間に充ててもいい)
- 水曜日PMは、公式なプロジェクトに向き合う時間ではなく、非公式なプロジェクト(輪読会や、チーム勉強会等に使う)
etc…

それ以外にも、もう少し細かいプロトコルとして

MTGプロトコル
- 30分以上話し合う必要があるものをMTGとする
- 発言が必要である人しか招待しない
- 原則全てのミーティングは議事録を取り、全社共有
- 意思決定ができないものに関しては、Slackのhuddleを使って30分以下のちょいコラを行う
- 原則顔出し
- 新しく入社した人に寄り添う(顔と名前が分からない問題を解消するため及び、ファシリテーターへのリスペクト)
テキストコミュニケーションプロトコル
- @al/@channnelのメンションはAMのみ
- 緊急性がないものに関しては予約投稿などで対応
- Publicチャンネルとして公開し、対応が必要なメンバーのみを集めたユーザーグループを作る

といったような形で、情報の透明性は担保しつつも、本当に必要な情報のみに集中できる環境構築を目指しています。
冒頭で述べた、ライフステージの変化に伴って現れた「制約」をインサイトとして捉え、小さく速く改善していくことで、メンバーにとっての働きやすさに昇華することができると考えています。
※上記はあくまで現状であり、今後変化していく可能性が大いにあります

「諦める」のではなく「創る」ができる組織

そして2つ目のキーワード「DAO(=自律分散型組織)」について。DAOの定義はネット上にも色々な文脈で定義されていますが、Gaudiyとしては「社内外の垣根を超え、志や思想に人が集まり、自律分散的に価値をつくりあげること」と定義しています。

そのうえで、自律的に動く為に情報はオープンであるべきだという考え方を前提として自律分散的なプロトコルを構築することで、メンバーが自律的に動ける仕組みをつくっています。

つまり、働き方自体はあくまで手段にしか過ぎないので、プロトコルに則る形で制度もオーナーシップを持って変えていけるということです(当然法律に則った形で)

バリュー_DAO事例_edit

僕個人がライフステージの変化によって働き方が変わったように、企業もまた組織のフェーズや所属するメンバーのライフステージの変化に伴って、働き方のStandardを変えていく必要があると思います。

世の中のアタリマエは、自分たちにとってのアタリマエになるとは限りません。毎日の小さな変化に敏感になり、プロダクトのように、メンバーに意見をヒアリングしながら都度アップデートしていくべきなのだと思います。
上記でご紹介したプロトコルも「今、最適なプロトコル」に過ぎません。半年も経てば、きっとバージョンアップデートをしていくでしょう。

MTG開催プロトコル

※これは、僕が入社後にプロデューサーの@RNmlc1とデザイナーの@jirosh1998と一緒にディスカッションしながら作成したミーティングのワークフローです。もしこれが活かせる企業がありましたらぜひ使ってください(笑)

個人的な想いになりますが、親になることで/育児をすることでキャリアを諦めている人も多くいると思います。周りからの期待に応えられない自分に嫌気がさす日も多いと思います。
でも、今自分が直面しているイシューを解決することができれば、メンバーの将来に対する安心材料になるかもしれないし、新しい仲間が、持っているポテンシャルを100%活かせる土台作りになるかもしれません。

だから僕は、諦めるのではなく「創る」ことで時代を進めていきたいと思ったし、それを求められている気がしてGaudiyにジョインしました。

働くメンバーの変化に合わせた組織の形、制度の形を作っていくことが使命だと思っています。「”家族より大事なことはない”という考えを一番大切に持ちながら頑張っていたら、めちゃめちゃ楽しく働けて成果が出るような職場」が理想ですね。欲張りですが。

子育ての悩み、組織作りの悩み、ぜひシェアしましょう!

以前のような働き方はできていないのですが、毎日子育てでヘロヘロになりながらw、仕事も少しずつ再開できてきました。
働き方のNEW STANDARDを追求していくために、同じビジョンを持ったメンバー一緒に仕事ができるだけでも、幸せなことだなと感じているので、幸せの閾値が下がったんだと思います(笑)

という感じで、ある程度落ち着いてきたので久しぶりにMeetyも作りました。
安部の近況を知りたいという方や、NEW STANDARDな組織作り、多様性のある組織作りに興味がある方はぜひお気軽にご連絡いただけると嬉しいです。シンプルに子育て共感会でも問題ないですw

最後に、冒頭には書けませんでしたが、HeaR株式会社COOのTT・Mintoの人事、石坂さん・ビビッドガーデンの人事、佐藤さん、今回の件でたくさん相談にのって下さり、また、励ましのメッセージをいただいたり、本当に救われました。

この場を借りて感謝をお伝えさせてください。ありがとうございました。

ではMeetyお待ちしております!

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