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好調日立 中期経営計画の気になるポイント

今週は日経新聞の記事から。

日立製作所が好調です。

海外のライバルシーメンスほどではないとあるものの、国内競合である三菱電機や東芝に比べると着実に収益性が成長しています。

支えているのは、ルマーダです。

詳細は記事を読んで頂ければと思いますが、IoTやAI分野のサービスです。製造業である日立がハード製品とルマーダを合わせることで、これまでにない付加価値が生まれるわけです。

そうした絵姿を現実にするため、日立は大胆にポートフォリオを変え、関連性が低いと判断した事業は売却し、逆にシナジーのある会社や事業は積極的に買収してきました。その一つが、グローバルロジックというIT企業な訳でして、このあたり記事でも解説されています。

ということで、今日はこの記事の元となる、実際の中期経営計画を開いてみましょう。

上記のPDFが実際の中期経営計画です。書かれていることは、当たり前ですが、日経の記事と同じことです。

あまり記事には触れられていなかった内容で、気になったポイントは7枚目です。

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こちらの下の箇所ですね。

ABB統合効果のうち「グローバルオペレーション強化」に3つの項目があります。

営業だけでもABB社が4000人もグローバルでいるようなので、日立本体とABBで今回統合される社員の規模はすごい数になりそうです。

ここのオペレーション、「日立全社スタンダードを日立ABB社に移植」ではないのです。資料には日立ABBのグローバルオペレーションを日立全体に活用とあります。

ERPやシェアードサービスにおいてもABBから学ぼうというわけです。

まぁ、これは合理化という観点ではABB活用の方が、コストメリットが大きいのであれば、活用するのはわからなくはないです。なんと言えばいいか、計算が立ちやすい。日立とABBどっちに合わせた方が金額効果がでかいのだ?と比較できます。

それでも25年までかかるのです。かかるだろうなぁ、それくらい。

いきなりやりすぎるとショック死してしまいますから、各所すこしずつ合わせていったり、試運用期間を設けて慣らしていくことになるのでしょう、いったい何個タスクがあるのやら。

いや、いったん25年で切って、ひとまず進んでいるのですから素晴らしいです。

さらにさらに全社CRMを構築しようとサラりと書かれています。

しかしながら、こちらは期限は引かれていませんね。ここの難しさはCRMを入れている企業ならわかるでしょう。

日立全社のCRMとなれば、国も、業界もまたいで共通のCRMを作ることになるわけで、それはとても大変なことです。まして、ようやく普及期に入ろうとしてる国内の部署などがもしもあった場合、その部署において激しい仕様変更があると、耐えきれず、中折れしかねません(キャズムを超えかけているところで、また振り出しに戻される)。

ということで、この資料をみていると、企画やマーケの実務者からすれば、たった3つの項目ですが、(確かに実現すれば効果はデカいが)、労力もハンパないな、と思います。

どれくらいのプロジェクトの規模感なのか、タスクフォースなのか、どういう経営采配でおこなわれているのか?この内容を上申し、推進しようとしている人物は誰なのか(コンサル?日立の経企社員?経営陣自ら?)などなど、勝手に気になってしまいます。

あとカルチャーをいったいどう合わせていくつもりなのか?も。

こんな壮大なスケールで事業を一つにまとめていくミッションはとてもワクワクな話ではありますね。

ということでまた。


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