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【再び番外編】kindleでphoto book作成,小さな完璧主義を越えた先

 撮った写真をkindleで電子書籍にしてみた、そのいきさつを書いたのが約3カ月前。作成の作業そのものは非常に簡単で、photo essayを何冊か作ったあと、12月に入ってphoto bookを増やした。今回は、それによる気づきなどを、改めてまとめておく。

心が動いた瞬間をとっておきたい、というのがモチベーションになっている


■Kindle Unlimited(読み放題)対象 

 はじめに。値付けはしているのだけど、Amazonのkindle本サブスクであるKindle Unlimited会員向けには無料で公開している。買っていただくというより、読み放題会員の方に見てもらえればいいというのが大前提だ。


■最新の3作品

 基本は、noteにアップしてきた写真を再編集している。無理せず出かけられる六本木ヒルズ、東京ゲートブリッジ、台場、葛西臨海公園・海浜公園などがその舞台だ(noteに書いているよりかなり頻繁に足を運んでいる)。

 リンク先の本の表紙画像の上にある「試し読み」をクリックすることで、はじめの4頁ほどは、無料で閲覧いただけると思う。


■撮影機材のスペックと仕上がりの関係

 (以下、過去に内容とだいぶ重複するけれど)、10月にまずカメラを、続いてレンズのスペックを上げてみた(新しいカメラで撮影したものには、タイトルに2022と入れている)。

 電子書籍の宿命として画像の解像度をかなり下げることになる(noteの場合は写真投稿時に自動的に行ってくれるが、kindle本作成の場合は、無料ソフトなどで解像度を落とした画像を使用しないと、データ量が重すぎる旨の警告が出て次に進めない)。

 解像度が下がると画質がザラつきがちになり、写真にとっては痛いが、これは致し方ないことだ。

 ただ疑問として、結果として解像度が下がってしまうのであれば、撮影機材のスペックを上げる意味は? 結論は「ある」(と、思う)。

特に薄暮の風景では、微妙な空の色合いでザラザラ感が目立ちがちだ。

 撮影の帰りに新宿の北村写真機店に立ち寄り(カメラのキタムラは、売りつけない接客がモットーなので行きやすい)、撮りたい写真のイメージを伝えつつ、その答えの中で、画素数の基本から何をもってカメラのスペックか、という話も伺い(今頃だけど)、解消していった。

 新しく買ったカメラでは、実際に、特に空などの再現力が以前に比べてのびやかで、さらには標準レンズでは物足りなくなり、すぐにレンズも買い足すことになった。kindle本作成においては、とりあえずはちゃんと撮って、そこから解像度を下げる、のプロセスが大事なのかなと思っている。

透明感のある風景をこれからも切り取っていきたい

※これらはもちろん「対自分比」だし「個人の感想」だ。仕事で、キャリアのあるプロの、夜景撮影といった仕事に長年立ち会ってきた。メーカーの写真機の区分で、ハイアマチュア機とプロ用が値段にしても大きく異なるように、写真を生業とする方々の仕事とは別の話だ。


■悪しき「完璧主義」で停滞させない

 何か書いたり編集したりするジャンルの仕事をしているので、写真撮影やkindle本作成(もちろんnoteの記事作成も)は、領域がかなり被ってくる。気を付けているのは「仕事モードに陥らない」ことだ。

 仕事においては、質量はないとはいえ「製品」を納品するつもりでいる。つまり、型があり、オリジナリティを仮に出しつつもそこから逸脱しない。仕事にもよるが、積み上げたブロックが完成形で自分が手掛けているのがブロックのひとつであるなら、全体を崩さず、かつ性能がよいものを納品するのが良い(できれば早く)。

規格内のものを手早く納品する、も仕事スキルのひとつ

 対して、仕事でない活動のよいところは、関係者が自分ひとりなので、日々変わっていけることだ。その変化は作品としてそのまま残していく。

 kindle本のphoto essay、photo bookにしても、振り返ると手を入れたくなってしまう代物だと思うのだけど、それをあえてせず、その時間があるのならば、最新のものを積み上げる感じだ。そして、過去の作品が力不足だと思うなら、それは進歩の結果なのだと許容する。

ある程度の軌道は決まっているが、臨機応変に変えていける感じ

 仕事ではとかく「完璧主義」に陥りがちで、それは発注先としてバラつきのない安定したクリエイターとして見せたいという無意識が働いていると思うのだけど、おそらく自分だけのこだわりに過ぎないことも多いはずだ。

 ことの大層さは全く比較にならないけれど、軸足は残しつつ新たな一歩という点では、老舗企業が子会社を作って新領域に参入、大企業の社員がスタートアップ企業で副業をする、といったイメージに近いと思う。


■KPIが自分の満足度、という面白さ

 kindle本の制作の面白さは、KPI的なものがないということだ。収入を求めるわけでもないので、一般的な副業のカテゴリからも外れる。

 ただここで、唯一の指標をあえて挙げるなら自分の満足度ということになる。作ったものを見て、「今できることとしてはこれがMAXだが、もっと先がある」ということは解り、自分との対話は今この瞬間も(眠ったあとの夢の中までも)続いていく。

 表現媒体も、今はなぜか写真でありkindle本だが、それ自体が別のものに移っていく可能性もある。

違和感が芽生え始めたら、塀の向こうに出てみる感じ

 身近な例では、グラフィックデザイナーをしている友人は、仕事と表現活動をする2つの人格の区分けに長年悩んだ。その末にアーティストとしての活動を行う人格に新しい名前を付けることではっきりと分け、本人としても整理が付いたという。今は、描くだけでなく音声で伝えることを含めた、多岐に渡る表現をはじめている。そのやりかたは非常に参考になる。

好きなだけ休み、好きなだけ走ることができるところもこの活動の面白さ

 自分にとって、旅はもちろん、午後にわざわざ出かけていって夕景の写真を撮る、は、どこかセラピーを兼ねている気もするので、じゅうぶんに満たされたあとは、また次に進めるのだろう。


■そしてこの文章も記録のひとつ

 通常、仕事としての文章に「自分」は出さないし、編集者として見るなら、この文章は「枝葉を落とし、整理が必要」となるだろう。

 そこをあえて出して「自分ブレスト」ができてしまう、この場はありがたい。

 そもそも長年、「仕事以外で、文章を書く趣味はない」と言い切ってきたわけだけど(語学学習を目的として、日本人の少ないblogのサービスで英語のブログを書いていたことはあるが)、アートと島に出逢い、その美しさに心が動いてしまって、今のような結果に辿り着いている。noteをはじめたのが今年の3月なのだから、ここ10カ月の自分の変化はすごい。

 それまでであれば、プロでもない自分が写真を発表することも、完璧と思えない文章を発表することもありえないと思っていたはずだから。

ひとつ丘を越えるとまた次の風景が広がって

 小さなアンラーンが扉を開ける。そしてまた創り出すものは変わっていく。過去の作品を「うーん、違うんだよな」と言いつつまた作り続ける、そんな日々の、プロセス自体を愉しみながら。

 

 

 

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