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【瀬戸芸2022 秋9/29-】女木島名店街(女木島)

 今週末からの瀬戸芸秋の部への、参加の準備をしている。現地で無料配布されている島別のガイド的な紙媒体を出してみた。これらの中の「地図」が、島歩きには重宝する。書き込みを含め、旅の宝物だ。

デザインの観やすさ、MAP等々、こなれている

 それらを観ていたら、ふと、noteに書き忘れていたことを思い出した。上の写真の向かって右端のパンフ「女木島名店街」についてだ。

2019年に海辺の寿荘でささやかに始まった≪島の中の小さなお店プロジェクト≫は、アーティストの作品に商店が触発されて展開するという新しい試みで、卓球場やウエディングショップ、的屋にマッサージサロンといったラインナップに多くのお客様が楽しみました。そして2022年、瀬戸内国際芸術祭を迎え≪女木島名店街≫として新たなスタートを切りました。

女木島名店街について(写真右端、紙媒体より)
フェリーから望む「寿荘」(左端)

 下記では、レアンドロ・エルリッヒの「ランドリー」に触れたところでかなりのボリュームになったのでいったん切ったのだった。その続きを。

■寿荘

 作品の大部分は、海辺の寿荘で鑑賞(体験)できる。

寿荘外観

 建物内には、宿泊施設だったときの面影も残る。

 ちょっとしたお土産も買えるショップ併設。現金以外の決済にも対応していて便利だった。


■≪女木島名店街≫ ピンポン・シー 原倫太郎+原游

 エントランスでまず出逢うのが、このカラフルな卓球台たち。

≪女木島名店街≫ ピンポン・シー 原倫太郎+原游

海の家が卓球場に変身。誰でも自由にプレイできる
かつて民宿だった建物のピロティに、海の家のテーマパークがオープン。
誰でも自由に卓球ができる。みんなでプレイできる巨大卓球台やオリジナル卓球台を設置。

瀬戸内国際芸術祭2022「女木島」より


■≪女木島名店街≫ ランドリー レアンドロ・エルリッヒ

 1階の奥まった場所に、まったく違和感なくある「ランドリールーム」。

映像と実物の洗濯機と乾燥機で虚構と現実を混在島の中の小さなお店プロジェクトの一環として、コインランドリーを思わせる空間が出現。洗濯物が回転する映像が流れる洗濯機を一面に置き、もう一面に本物の洗濯機と乾燥機を設置。虚構と現実を同じ空間に混在させ、鑑賞者を戸惑わせる。洗濯することで作品を体験することもできる。

瀬戸内国際芸術祭2022「女木島」より
≪女木島名店街≫ ランドリー レアンドロ・エルリッヒ

 実はアート、でも実機もあって、そっちでは洗濯も乾燥もできます、という、いたずらっ子的な?仕掛けに笑う。詳しくは、レアンドロのほかの作品とともに、前回の記事で。

これはアートのほう


■≪女木島名店街≫ ガラス漁具店 柳建太郎

 照明を落とした空間。まず、美しい作品たちに、ただ見入ってしまう。

≪女木島名店街≫ ガラス漁具店 柳建太郎

大気で空想を釣り上げるガラスの漁具を展示、販売
ガラス造形作家であり、漁師でもある作家は、ガラスの漁具を大量に製造。お店の天井から無数の釣り針や漁具をぶら下げ、販売する。現在、漁具でシャンデリアをつくることを構想中。会期中には、漁具作りのワークショップを行うことを計画している。

瀬戸内国際芸術祭2022「女木島」より

 夏に訪れたときは、このスペースでワークショップが開催されていた。

 美しいガラスの釣り針は、1つ3000円。

 きれいな魚が釣れそうな? 繊細なルアー、1万8000円。

 

■≪女木島名店街≫ ティンカー・ベルズ ファクトリー 中里繪魯洲

 妖精の仕事場、がコンセプト。このテイストが好きな人は離れられなくなりそうな世界が広がっている。

≪女木島名店街≫ ティンカー・ベルズ ファクトリー 中里繪魯洲

不思議を信じる心を育む妖精の金物修繕屋
ティンカー・ベルは「ピーターパン」に登場する美しい妖精。tinkerには鋳掛屋、金物修理屋、下手な職人、いたずらっ子などの意味がある。ここは金物修繕を営む妖精の仕事場。鍋釡の修理も承ります。

瀬戸内国際芸術祭2022「女木島」より


■≪女木島名店街≫ 鬼ヶ島ピカピカセンター 岩沢兄弟

 個人的に≪女木島名店街≫で最も印象に残って・・・、というか「耳に残って離れない」のが、ここで何度も繰り返し流れる、「鬼ヶ島、ピカピカセンタ~!」という、ふしぎなアナウンスだ(女木島は、かの「桃太郎伝説」で、鬼がいたとされる島)。

 なんだろうか、この、ちょっとレトロで不気味で、しかし目が離せない美しさ、な感じは・・・ということが気になって、長居してしまうのだった。

廃棄されたモノを照明器具に生まれ変わらせるリサイクルセンター
寿荘に残されていたもの、島で見つけたものからピカピカな照明器具を作り、お店に展示し販売する。島の人や来訪者が持ち込んだ不要品を電灯の笠にするなど、加工サービスを会期中に行うことも検討中。

瀬戸内国際芸術祭2022「女木島」より


■≪女木島名店街≫ リサイクルショップ複製遺跡 五所純子

 なるほど面白いなあと、つい参加してしまったのがこの作品だ。

人が物を通して交流し、物に宿るストーリーが交差する場所
島の内外から集まった物品を、一部はその来歴を聞き書きしたテキストとともに漆喰壁に埋め込み、展示販売。売れたものは壁から剥がされ、その痕跡を残していく。人の身体的な接触が制限される時代における交流の試み。

瀬戸内国際芸術祭2022「女木島」より

 床に手書きされた、下記の文章に「もっていかれて」しまった。なんて簡潔にそしてうまく、作品のコンセプトを言葉にしているのだろう。

 人が置いていったものを「遺跡」に見立て、「発掘」して「購入」できる。ふむふむ・・・と、前のめりになったところで、まんまと作家の作品世界に入ったな、と感じた。

 ぜひ「外来種」を置いていこうと思ったのだけど、ホテルに荷物を置いて非常に身軽になって来ているので、適切なものがない。それもまたアートなのだろうと思い、使っていたオレンジ色のポーチの中身を出して、置いてきた(写真奥)。物品提供カードにも言葉を記して。

 この、「人のストーリーを読む」も、とても気になった。次回はちゃんと読んで帰ろう。


■≪女木島名店街≫ MEGI Fab(メギファブ) 三田村光土里

 寿荘を離れた、一軒家にそのギャラリー&ショップはある。風が吹き抜ける、島の工房といった趣だ。

≪女木島名店街≫ MEGI Fab(メギファブ) 三田村光土里

女木島の風景をプリントしたテキスタイルによる一点物の布製品を製造、展示、販売する手芸工房
地元の手芸愛好家も参加して、女木島オリジナルの布製小物を製造するスタジオが登場。空間内ではテキスタイルのインスタレーションも展開され、来場者は作品の鑑賞、購入に加えて、製造に参加することもできるという計画。

瀬戸内国際芸術祭2022「女木島」より

■≪女木島名店街≫ 結ぶ家 大川友希

 同じく、島の一軒家。残念ながら、道に迷っているうちに閉店時間となってしまい、外観のみ。

衣服に宿る生活の記憶 古着を繋ぎあわせるアパレルショップ
作家や関連するアーティストが古着を使ったワークショップを行うスタジオを展開。地元の人たちや来場者が持ち寄る古着の断片を繋ぎあわせ、空き家の外壁を次第に覆っていく。アパレルショップの併設を構想中。

瀬戸内国際芸術祭2022「女木島」より


■16:30クローズド。時間には余裕を持って

 女木島から高松への最後のフェリーは17:20。ただ、有人の施設は、それに合わせて16:30に閉まってしまう。

 女木島は男木島とセットで観光しようとしている人も多いはずなので、時間が限られている場合は、観たい場所から回る、に限ると思う。港のパブリックアート鑑賞は最後に回す、など。

入港中のフェリーと、「カモメの駐車場」 木村崇人

 ちなみに、主なアート作品を観るだけであれば、徒歩でも十分だが、ぐるっと島を回り、中心部にも行ってみたいのであれば、急な上り坂も多くなるので、レンタサイクル等を利用するのが現実的だ。

 では、よい旅を!

 ↓ ※瀬戸芸2022関連記事については、下記にまとめています。


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