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DAY 52:「ぎゅ」JIMMY SMITH AT THE ORGAN / Blue Note 1552 / Volume 2

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娘がコップで、牛乳を飲めるようになった。



2回に1回くらいの割合で。



残り1回はこぼすか、
かぶるかしている。


こぼしたらテーブルか椅子か床か、
または全部拭かなきゃいけない。
けっこう大変。


あげくテーブルに
こぼした牛乳を手で広げて遊んだりしている。
掃除する場所が増える。
これまた大変。


それでも「ぎゅ!」と牛乳をほしがるのが
かわいくてしかたない。

オヤジは鼻の下が伸びっぱなしなのである。


いいよ、いくらこぼしても、かぶっても。


ふと、そこで思う。

こぼしたり、かぶったりするのは
なぜ、いけないことなのだろう?

大人の都合?社会のマナー?

あるいは単純に、もったいないから?


本人にとっては、こぼしたり、かぶったり、
遊んだりすることは、新鮮な刺激で、
それが興味の対象になっているんだよな。

それって、
とっても大事なことなんじゃないかな。

こぼしたらのめない。

かぶったらつめたい。ぬれる。


でも、こぼした先にひろがる牛乳の形は、

きっと、娘にとって、とってもおもしろい。


初めて見る世界。

初めて感じる感覚。


もちろん親としては、
食事の仕方を教えなきゃいけないのだろうけど、

娘がいま、
はじめて目にしているもの、
体験していることを、
たいせつにできるといいな、とおもった。


やっぱり歳を重ねていくと、
どうしても固定観念とか、
既成概念みたいなものが、
いやでも身についてしまう。

「〜しなければいけない」とか、

「ここはこうあるべきだ」とか。

ある程度の社会生活を
送っていく上では身につけなければいけない
礼儀みたいなものはあるだろうけど、

それよりもまず、
大事にしなきゃいけない部分…

感覚とか、感情とか、そういうもの。

それを否定せずに、育てていきたいな。

そうおもったよ。


こぼした牛乳を拭きながら、

流れてくる

「JIMMY SMITH AT THE ORGAN 
 Blue Note 1552 
 Volume 2」

に、耳を傾けながら。


きっと、この演奏をしたジミー・スミスも…
彼だけじゃなく、ほかのジャズメンも、
そこにある、
「固定観念・既成概念」
みたいなものを
壊そうとしてきたんじゃないかな。

ある人は感覚的に、ある人は理論的に。

それがわかるから、ジャズは面白い。


ね、この「THE DUEL」を聴いてみてよ。
途中からもう、
ジャズを聴いている感覚じゃなくなってくる。

音楽にそもそもジャンルなんてないことを
知らしめてくれる。

すごいなあ。

他にももっと聴きやすい曲はあるけど、 
この曲が、私はとても好きだな。


牛乳は、オルガンの音のように、広がっていき、
私は何度もふきんを絞って、それを拭いた。

さて、今度は牛乳をかぶった娘を、
シャワーで洗わなきゃいけない。


シャワーのあと、
娘を着替えさせて、立ち上がると
私の股下にも満たない身長の娘が、



また「ぎゅ」といって、笑いかける。



私の、ショートパンツの裾を握って。

どうやら、今度は、
牛乳のことではないらしい。


ひとつのことばも、
ひとつのおとも、
いろんな意味を持つ。


決まってることなんて、
ほんとは、あまりないんだよね。



私は、もう一度、娘と同じ高さまでかがんで、

娘をぎゅっと、おもいきり抱きしめた。

ここまでお読みくださり、
ありがとうございます。


今後も、
あなたのちょっとした読み物に、
私のnoteが加われば、
とても嬉しいです。

じぶんを、抱きしめてあげてくださいね。

今日があなたにとって、
いい、いちにちでありますように。

アイ



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