人への依存を、ちゃんと過去にする
ある人からの連絡をずっと待っている。
こちらからメッセージを送らない限り、向こうから私に連絡してくることは、もうない。以前は向こうからまめに連絡が来ていたこともあるけれど、私が国を離れ、お互い顔を合わせる機会がなくなったことで、向こうの心が自然と離れていったのだと思う。
以前までは、連絡が来ないことがずっと不満で、忘れられていくのが不安で仕方がなかった。けれど今は、前向きにあきらめることができつつある。向こうは生活の中で、私のことをもう必要としていないだろうし、私にも同じことが言える。
自分に自信がない時ーー例えば、実家を出たばかりだったり、将来が見えなくて必死にもがいてる時。そういう時期に他人から優しくされると、だめな自分も全部そのまま受け入れてもらえた、と思ってしまう。その他人からの優しさが、あなたに安心感だったり、幸福感をもたらす。明日も生きていこうと思える元気が湧いてくる。
けれど、その優しさをくれた相手と、その幸福感が頭の中で直結してしまうと、厄介なことになる。少しでも苦しい時があると、その人に縋ろうとするようになる。依存だ。こんな状態でいるのは良くないと頭の中では分かっているのに、幸福感をその人から与えてもらおうと貪欲になる。鳥のひなと似ている。普段は不安げな顔で巣の中に縮こまっていて、親鳥の姿が見えた途端に、巣穴から身を乗り出し騒ぎ立て、餌をねだる。自分で自分を満腹にする術を知らないから。
なぜ自分が苦しいと感じるのか、しばらくの間わからなかった。その解決策を見つけたくて、webで自分の悩みと関連していそうな記事を読み漁っていたところ、こんな言葉に出会った。
かまってもらうために、「成長しない」「幸せにならない」っていう選択を無意識にしちゃってる女子、います。
今はもう更新されていない古いサイトのものだったけれど、すとんと納得がいった。
温かい巣の外の世界は、暗くて冷たくて、怖いことだらけに思えて。そう思い込んでしまったら最後、安全な巣穴に留めてもらうために、なんでもするようになるだろう。自分にとってそれが良くない環境だと、分かっていても。...そういう状況にもし陥ってしまったら、あなたはどうするだろう。
当たり前のように、依存関係は長続きしないことが多い。
依存相手がだんだん自分がら離れていくか、もしくは自分から連絡を絶つか、どちらかの方法で終わる。どちらにせよ、餌を充分にもらえなくなったら、自分から外の世界に出て行くしかない。
勇気を持って巣の外に飛び出したら、案外なんとかなる。空は広くて自由だし、危険はあるけど、食べるものも寝るところも見つかる。案外ひとりでも、ちゃんとやっていける。
向こうから連絡が来ないことは分かっている。けれど、こちらからは連絡しないのが最善なのだろう。
依存していた自分はちゃんと過去にして、自分が本当に欲しいものを、自分で掴みに行けるように。未来の自分のために、今の時間を使うことにした。
読んでいただき、ありがとうございます!