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子どもも子どもなりの世界で

私が所属する幼児教室では、
0〜3歳までの
「大好き」
「かわいい」の愛情表現を
1日100回伝えて下さいと話している。

今日、3歳を過ぎた子のお母さんから、「いつ頃まで大好き!かわいい!
と伝えるものなのでしょうか?
いつまで伝えて大丈夫でしょうか?」
と質問があった。

3歳までは、
自己肯定感を育て
愛情形成を強固にするためにも
お願いしていることだが、
この生徒はしっかりと
自分の存在に対する自信が
育っていたので、
「言わなければならない!と
プレッシャーに感じなくて大丈夫ですよ。
そう思ったときに
自然と伝えてあげてください。」
と返したところ、
「私、もうその気持ちが止まらなくて!
親バカだと本当思うのだけど、
言い過ぎちゃうかもしれない!」
とのことだった。


思えば私の母は、
私をかわいいと思いつつも、
「調子に乗ったら困る」
と、あえて
「大好き!」や「かわいい!」を
あまり口にしてこなかったとのこと。
今でこそ、
それも母なりの
愛情の一つと思えるが、
根っこにあるのは
「調子にのったら困る」。

母のそれは
調子に乗りようのない
「カエルちゃんみたいでかわいい顔」や
「金魚みたい」と
いったひねくれた表現で、
当時はその愛情が伝わらぬままに、
今もその言葉を
覚えてしまっているのであった。

自分が
『うまく写れた!』と
思う写真が偶然撮れたら
報告したいと思っても、
母に見せたところで
けなされるだろうな、と思うと、
咲きかけていた会話のきっかけは
急速にしぼんでしまう。

会話の一つがなくなってしまうのだ。

子どもたちだって、
幼稚園、小学校、中学、高校と
母のもとも離れ、
自分だけが特別でないことを
嫌でも実感してゆく。

どんなにちやほやされてきた子でも、
必ずしもいつも一番ではないこと、
自分の得意なことと
相手の得意なことは違うこと、
一人ひとりが
特別であることを学んでゆく。


「あなたは、
超かわいいわけではないかな」
思春期の中高生時代、
そう母に言われたときには
「そんなこと分かってるよ!」
思わず叫んだ。

子どもたちも子どもたちで
調子に乗り切れないほど、
親の知らないところで
必死にもまれているのである。

だからこそ、一人くらい
いけないことは別として、
全面的に
受け止めてくれる人があっても
いいのかもしれない。

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