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「輝いた日々」



「元気してるか?」

 夜中に突然メッセージが届いた。
 奥山さんにはもう十年以上会っていなかったし、その間にこうして連絡が来ることもなかった。

 僕が大阪で芸人を始めて、最初に声をかけてくれた先輩が奥山さんだった。
 養成所を卒業した後に劇場のオーディションライブを受け始め、半年ほどで合格した。その後のライブも勝ち進んだ結果、事務所所属の芸人としてレギュラーライブの出演が決まり、そのライブのメンバーに奥山さんは名を連ねていた。
 奥山さんは僕よりも五期先輩で、毎週行われるレギュラーライブの中心的なメンバーだった。「さざ波」というコンビを組んでいて、初めて一緒になったライブ終わりに声をかけられた。

「お前らまだ一年目とかやろ?めっちゃおもろかったわ。最近の芸人は漫才でもすぐにキャラに入る奴が多いけど、ちゃんとしゃべくりだけで勝負してんのがええな」

 喋ったことのない先輩がわざわざ声をかけてくれるだけでもありがたいのに、当時の僕は「なんかコンビ名ダサい先輩が偉そうに褒めてきたな」と、かなり失礼な印象を抱いていた。
 そのまま飲みに誘っていただき居酒屋に向かうと、奥山さんが仲良くしている後輩芸人の三人がすでに案内されたテーブル席に座っていた。

「お疲れ様です!結構早かったですね」
 
「うん、今日は作家の都合でダメ出しなかってん。あっ、お前らより後輩を一人連れて来た」

「お疲れ様です、パターソンフィルムの酒井です」

 元気よく挨拶したつもりだったが、奥山さんに「声ちっさ」とツッコまれ、先輩達三人は笑いながらちゃんと敬語で挨拶をしてくれた。
 当時の僕はまだ二十一歳と若く、些細なことにも反応してツッコむ奥山さんや、それに合わせてゲラゲラ笑う三人の先輩に対して、「こんなおもんない人達と関わってたらあかんなぁ」と顔に出さずとも冷ややかな目を向けていた。
 三時間ほど飲むともう終電近くの時間になっていたが、そこからもう一軒行くぞとカラオケに連れて行かれ、奥山さんが電話で指示を受けながら入った部屋には数人の女性が僕達を待っていた。
「これは合コンだ…」そう思って奥山さんの方を見ると、奥山さんはニタニタした表情で僕の肩を抱き、「緊張するなよ」と揶揄うように言ってそのまま勢いよくソファーに腰をおろした。
 そこからの記憶があまりないのだが僕は緊張から慣れない酒を飲み続け、最終的には女性メンバーを集めた奥山さんの知り合いの女の子と、抱き合って腰をくねらせながらずっとキスをしていたらしい。


 アイスピックでこめかみを刺されるような頭痛と、全身の筋繊維を引き千切られたような激痛で目を覚ました時には、すでに僕は劇場の大楽屋でリュックを抱えたまま横たわっている状態だった。
 辺りを見回すとコントでも使われる小道具のソファーの上で奥山さんが寝ていて、携帯には先に帰った先輩からメーセージが届いていた。そこには僕の醜態の様子と奥山さんがわざわざ劇場に残ってくれたという内容が綴られていた。

 僕が携帯の画面を見て青ざめていると、ペットボトルが滑るようにこちらに飛んで来た。

「ポカリ飲んだら楽になるから、とりあえずそれ全部体に入れろよ」

 奥山さんはソファーに座って眠そうに煙草を吸っていた。

「すいません、奥山さん。僕めっちゃ酔ってたみたいで….」

「いやめちゃくちゃおもろかったで。ちっちゃいお立ち台みたいな上で、女と腰くねらせながらずっとベロチューしてたぞお前」

「全く覚えてなくて」

「なんでやねん!」

「お前がベロチューしてる隣で、違う女の子が一青窈を熱唱してるのもおもろかったし」

「カオスですやん、てか僕がキスしてた女性って、あの..」

「あぁ、全然気にせんでいいよ、知り合いってだけで俺の女ちゃうし」

「そうなんでうすね。すいません、それなら良かったです」

「五回くらいヤッてるけど」

「どういうことやねん」

 二日酔いでしんどそうな奴がちゃんとツッコまんでいいねんと奥山さんは笑い、煙草を吸いながらトイレに消えていった。
 奥山さんも含め会ったばかりの人間の前で醜態を晒したということよりも、自分が馬鹿にして軽んじていた人達に助けられ、許され、重んじられていることが情けなかった。
 帰りに二人で寄った早朝の立ち食いうどん屋で、なぜかサングラスをかけたままできつねうどんを啜る奥山さんの方が、僕よりもずっとカッコよく見えた。


 それからライブの日やネタ見せの日など、週に三回は奥山さんと飲みに行くようになった。昼間から飲む時でも、他の後輩や女の子が合流しても、必ず奥山さんはお会計を支払い、僕らにお金を出させることは絶対になかった。劇場には頻繁に出演していたが、テレビでの活躍がなければギャラなどほとんど貰えない僕らの世界で、どうやって支出を捻出しているのが心配になり一度奥山さんに聞いたことがある。
「奥山さん何かバイトしてるんですか?」と質問すると、奥山さんは薄暗い居酒屋でサングラスをかけたまま、「デパートの婦人服売り場」と答えた。
「サングラスかけたまま答えることか!」とか、「芸人やのにがっつりしたバイトし過ぎや!」とか色々言いたかったが、不思議と明るい声でマダム達の心を掴んでいる奥山さんの姿は想像できたし、この人と仲良くなれて良かったなぁとなんだか嬉しい気持ちにもなった。

 私生活では驚かせれることの多い奥山さんも舞台の上ではとてもストイックで、一度舞台で披露したネタをやることを極端に嫌った。 

「俺らは歌手とかパフォーマーとはちゃうやん、そういう人らは一度披露したものでも同じような感動とか、逆に知ってるからこそ盛り上がるなんてことがあるけど、劇場に出続けてる芸人のありネタは確実に鮮度が落ちるからなぁ。
 初めてネタ見た時の腹ちぎれるほどのおもろさを、一度見たネタから客は絶対に感じられへんし、俺らは初めてやったネタが渦巻くほどウケた時の、全身が震えるような快感をありネタからは得られへんやろ。
 ある程度ウケるの分かってるネタしても生きてる気せえへんし、若手の劇場に通うお客さんはどうしても被ってくるやろ、だからこそなるべく最高の状態を味わって欲しいねん」

「でも新ネタて逆にスベることも結構あるじゃないですか?」

「それはなぁ…しぁないねん。これは難しい部分なんやけど、スベるのはええねん。いやウケた方がええねんけど、そこはもう力量の問題やから。
 問題は絶対にウケると思って挑んでるかどうかやねん。たまにおるやろ、ウケるかどうか微妙やけど自分らは好きやしやってみようとか、大会用にブラッシュアップしたいから試しにこのボケ変えてみよとか、そんな奴らは論外。
 そんな奴らは客舐めてんねん。俺らの出るライブて安くてチケ代千円で、高いのでも二千円とかやろ、それくらいの金額やと思ってるから自分らの試しの場に使えんねん。
 名もない俺たちのライブに千円も払うて凄いことやぞ。王将で腹一杯食えるし、ドンキでたこ焼き器だって買えるねんぞ。腹にも溜まらん、形にも残らん、ただ俺らの脳内で創り上げた保証のきかんモノに価値を感じてくれてるってことやからな。
 だからもちろん好きなネタしてもいいし、ブラッシュアップの為にボケ変えてもいいねんけど、お客さんの前でやるからにはそれが一番おもろい状態やと信念もって全力で笑かしに行かなあかんねん」

 確かに若手である僕らは、売れる為に少しでも自らの地位を上げることを優先して、戦略的や打算的にネタを選ぶことがあった。それが悪いことかどうかは僕には分からなかったが、奥山さんの言う通りそこから全身が震えるような快感を得ることは出来なかった。
 実際に奥山さんは、お客さんの投票で順位を決めるライブでも新ネタを披露して、ギリギリでライブからの降格を免れることもあった。僕は自分の順位なんかよりも、奥山さんと同じライブに出られなくなることをいつも心配していたが、ライブが終わり舞台袖に捌けた奥山さんは、「危なかったぁ〜!」と大声で叫んで笑いを取っては何食わぬ顔で僕を飲みに誘うのであった。

「売れる気あるなら確実にライブで残れるありネタしてくださいよ」

 僕が呆れるような口調で注意すると、奥山さんは笑いながら一杯目のビールを流し込み、「まぁ、俺らしくていいやろ」と嘯いた。

 明るく飄々とした奥山さんに、ふと翳りのようなものを感じる瞬間があった。当時はその翳りの正体が何なのか分からなかったが、もしかすると奥山さんはどこかで自分達の限界を悟っていたのかもしれない。どれだけ漫才が好きでも、その熱量だけでは超えられない壁を感じていたのだろうか。
 奥山さんが自らに課していた制約も、今思えばその翳りを必死で振り払う為のものだったかもしれないし、僕や他の誰にも悟らせず隠し続ける為のものだったかもしれない。

「そう言えば、この前一緒に飲んでお前と連絡交換した子が、お前から全然返信がないって悩んでたぞ」

「いやいや、それをなんで奥山さんが知ってるんですか」

「ちゃうねんこの前合コンした時にたまたまあの子も来てて、席替えで横になったらずっとその話を俺にして来たんや」

「頭おかしいでしょ、そもそも他の芸人との合コンに参加してる女が何を悩んどんねん」

「いや、もしかしたらお前のことが本気で好きでやな、俺の来る合コンやったらお前が来てるかもって淡い期待で参加してたかも知らんぞ」

「優しいな、相談され過ぎて向こう側に感情持っていかれてません?」

「そんなことはないけどさ、おはよーとか、それぐらいの返信はしてあげてもいいんちゃうか」

「だいぶ持っていかれてんなぁ、俺から軽く言ってあげるわとかなってそうやな」

「そんなことないけど、今日たまたま友達と近くで飲んでるみたいやから後で合流してみいひん?」

「嘘つけ!今日他に後輩芸人いっぱいおったのに、僕だけしか誘わへんの変やなと思ってたんや」

 居酒屋を出てからカラオケ屋で女の子達と合流すると、奥山さんは相談を受けた女の子と度々わざとらしいアイコンタクトで合図を送り合ったり、妙なテンションで場を盛り上げ僕と女の子の距離を近づけようとしていた。
 解散後にまた二人で立ち食いうどん屋に行くと、奥山さんはサングラスをかけたまま別人のように静かにきつねうどんを啜っていた。

「さっきの飲み、あの子を応援してる感じ出して、ほんまはそういうキャラのコント楽しんでましたよね?」

「お前失礼やな、俺がそんな最低な男に見えるんか」

「カラオケの間はずっと見えてましたね」

「違うねん聞いてくれ、連れてきてた友達の子がめっちゃタイプで、その子にいい人と思われたかってん」

「何も違うことないやないか、そっちの方が最低や」

 実際に茶化して演じていた部分はあったろうが、きっと奥山さんはあの時少しだけ女の子の為にも動いていたのだろうと思う。
 僕の気持ちも知っている奥山さんは、わざとらしく演じることで僕が面倒だと思わないようにしつつ、期待してやって来た女の子へもがっかりさせないよう配慮していたのだろう。
 そんなことをしたって奥山さんには何一つ得などないのに、無茶苦茶な相談をされてもあの人は放っておけなかったのだ。
 僕を初めて飲みに誘った時も奥山さんは泥酔した僕を後輩に任せて帰らずに、一人残って介抱をしてくれた。
 あの時はただ単純に酒を飲ませ過ぎたお詫びに残ってくれたのだと思っていたが、奥山さんの優しはいつでもどこか憂を帯びた、まるで償いのような優しさだった。
 ただ奥山さんの性格上、本当に友達の子によく見られたかっただけという可能性も否定できないからややこしい。


 それから二年が経った頃、僕らの劇場では大きな改変が行われた。
 元々いた典型的な関西のおっちゃんという感じの支配人から、東京で何人もの売れっ子芸人を育てた敏腕女性マネージャーに劇場の支配人に変わったのだ。
 それに伴い今まであったピラミッドの図式は全て解体され、所属芸人を一から編成し直すべく大規模なネタ見せが行われた。
 その結果、僕らは劇場の看板芸人が集まるピラミッドの一番上に配属され、奥山さんのコンビは今までよりも下の、劇場のレギュラーを目指して毎月何十組かで争うステージに配属された。
 劇場を新しくするという意味で、長く劇場で燻っていた奥山さん達は改変の対象になってしまったのかもしれない。
 奥山さんのことは気がかりだったが、ほとんど経験のない状態で今まで以上のライブや仕事をこなさなければいけない僕には余裕がなく、出演するライブが変わって奥山さんと劇場で顔を合わせることもなくなってしまった。仕事終わりにも新しく知り合った先輩達と飲みに行かなければならず、断らなければいけない僕を気遣って奥山さんからの誘いの連絡は遠のいていった。

 ある日打ち合わせで事務所に向かうと、大楽屋のベンチに座り壁にもたれながらぼんやり天井を見つめる奥山さんを見つけた。奥山さんは天井に向かってため息みたいな煙草の煙を吐いていた。

「お疲れ様です」

「おー久しぶりやんけ、何してんねん」

 奥山さんはもたれた体を起こして、煙草を咥えながら僕の座るスペースを開けてくれた。
 僕は奥山さんの隣に座り、向かいにある壁一面の大きな鏡に映った奥山さんに話しかけた。

「僕は打ち合わせですけど、奥山さんこそこんな時間に何してるんですか?ライブでもまだまだ後でしょ?」

「今日やるネタがなぁ…全く思いつかへんのや」

「やばっ、新ネタ作りまくってるんやから前やったので誰も覚えてないのとかあるでしょ」

「いや大丈夫や、ライブいうても2時間後やからなぁ。あと一時間で新ネタ作って、十五分でノートに書いて、ダッシュで相方の分をローソンまでコピーしに行って…」

「間に合わんて、その後リハとかもあるのに」 

「からあげ君レッドを…」

「買うなよ」

 鏡に映る奥山さんは、笑いながらベンチ下の空き缶を手に取り煙草を押し付けた。

「最近飲みに行けてないけど、お前らは順調か?」

「まぁ、そうですね。もしかしたら東京の所属になるかもしれないです」

「めちゃくちゃ出世してるやないか」

「でも、怖いです」

「何が怖いねん」

「同じ舞台に立つ芸人、みんなウケるんですよ。僕ら一番後輩で、僕らだけスベるのが怖くて、最近はネタ作っても面白いことじゃなくてウケそうなことばっかり考えてて。ちょっとそれが上手くなって来てたりして、奥山さんの教えを全く守れてないです」

「まぁ俺が言うてんのは、そんなシビアな舞台を経験してないから言える台詞やからさ」

「どうしたらいいんすかね、三組ぐらい連続で大爆笑起こった後に自分達が出て行って、最初のボケがウケへんかったら今までそんなん無かったのにめっちゃ焦るんですよ。全身から変な汗吹き出して、漫才やってるうちに相方のツッコむタイミングがどんどん速くなってテンポが悪なってる気がしてきて」

「お前の相方の場合、実際に緊張でツッコミ速なってる可能性はあるぞ」

「そんなん気にしてたら一瞬ネタ飛んで頭真っ白になってもうたりして、そっから必死に戻して、何の手応えもないのに漫才終わったらバスケの試合後ぐらい汗びっしょりなんですよ」

「それでいいんちゃうの、今の流れ聞いてたらめちゃくちゃおもろいけどな。
 ネタ飛んだなら、ウケへんからネタ飛んでもうたやんけて客に怒鳴ったらいいねん。それにツッコむ相方にも、お前のツッコミ速なってるのもこっちは気になってんねんてキレたらいいねん。
 ほんで台本取りに行くからちょっと待っとけ言うて舞台から捌けたったらいいねん。
 すぐ帰ってくんなよ、ちゃんと一分ぐらい間をあけて相方に、ほんまに台本取りに言ってるやんてツッコませろ。
 その後に台本見ながら、ほーほーそういうことねって言いながら戻ってこい。あとは漫才続けようとするお前と、もう出来るかってスタンスの相方との喧嘩を見せてもうええわで終わりや」

「それって漫才になるんですかね」

「一番の漫才や!俺らはそのリアリティーを出すために毎日ネタ合わせしてるに過ぎひんねんから。
 そら毎回そんなんしてたらネタ覚えて来いやてなるし、客も飽きるで。でも俺らは最後にそれが出来るんねんからビビらんでいいねん。
 そうか考えたら少しは楽になるやろ、お前らがおもろいと確信を持てるものを思いっきりやったらいいねん。
 ネタという形式を取ってるだけで、俺らが客に見せてるのは生き様やねんから」

 そう言って奥山さんはいつものサングラスを装着した。

「ダサいなぁ、決め台詞あとのサングラス」

「懐かしいやろ、この俺」

「懐かしいです、居酒屋で店員呼んだ後にサングラスをかけて注文する奥山さん思い出しました」

「やめてよー」

「でも本当にありがとうございます。今日奥山さんに会えて、こうしてお話しさせてもらえて、ちょっとだけ救われた気がします」

 僕は立ち上がり、隣に座る奥山さんに頭を下げた。

「俺の問題はまだ何も解決してないけどな、また今度飲みに行こうぜ」

「はい、よろしくお願いします」

 しかしその約束が守られることはなかった。
 その数ヶ月後に奥山さんのコンビはもう一つ下のライブに落ちてしまったと人づてに聞き、一度僕から連絡したが予定が合わずにそのままになってしまった。
 僕が東京に移ってから二日後ぐらいに、「お前らやったらいけるから頑張れよ」と奥山さんからメッセージが届いた。


 僕らは東京で結果を出すことは出来なかった。
 要因は様々だろうが、曲げてはいけない部分を曲げてしまった結果、勝負どころで自分達を信じることが出来なかった。結局は奥山さんのような真っすぐさを僕は持ち合わせていなかった。
 今僕は就職をして、それなりに平穏な時を過ごしている。バラエティー番組の中で見知った芸人がネタをしていても素直に笑えるようにもなった。
 それでもこうして夜中に一人で酒を飲んでいると、奥山さんの言っていた全身が震えるような快感の残り火を、体のどこかにじんわりと感じることがある。
 缶ビールを片手に窓を開けて月を眺めていると、まだ自分だってやれそうな気がしてくる。
 それは奢りでも、過去への執着でも、現状への不満からくるものでもない。
 明日からまた日常が始まると分かっていても、ただこの夜だけはもう一度あの輝きに照らされたいのだ。

「元気してますよ」

 この僕の返信に、きっと奥山さんは何も返してこないだろう。
 懸命に足掻いたあの日々を、奥山さんもまたどこかで酒を飲みながら懐かしんでいるだけだから。
 奥山さんの名前とコンビ名を携帯で検索をしてみると、来月大阪にあるどこかの公民館で単独ライブをやるという情報が出てきた。
「いつまでやっとんねん」と思わず笑ってから、僕は新しいビールを冷蔵庫へ取りに向かった。

 

 




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