中森明夫

作家/アイドル評論家

中森明夫

作家/アイドル評論家

最近の記事

お笑いと文学ー談志・やすし・たけし・人志

 文芸誌「文學界」1998年3月号に発表したコラム「お笑いと文学」を以下に公開します。この時、立川談志は62歳、ビートたけしは51歳、松本人志は34歳、横山やすしは1996年に死去(51歳)。私の38歳の時の文章です。           *  立川談志と横山やすしとビートたけしと松本人志には共通点がある。いずれも名前の最後に「シ」という字がついていて、密かに私は彼らのことを「シ」系のお笑い芸人と呼んでいる。ところで、さて、その「シ」とは何だろう?  まずは「詩」。彼らは

    • 寺山修司の没後40年

      2023年は、寺山修司の没後40年です。寺山は歌人、詩人、劇作家、映画監督、作詞家、競馬評論家など多彩に活躍した。元祖マルチクリエイターですね。1983年5月4日、病没。享年47。 「ビッグコミック・オリジナル」1月20日号のコラム欄で寺山のことを書きました。 いかにスキャンダラスで面白い人物だったか。存命なら87歳、もし生きていたらいったい何をやっただろう? …アイドルグループをプロデュースしたんじゃないか。その名も、TRY48だ! という小説を書きました。新潮社より、2

      • 2023年は #中森明夫復活祭

        あけましておめでとうございます! 私が「中森明夫」のペンネームを初めて名乗ったのは1982年、そう、新人アイドル・中森明菜にあやかったものでした(雑誌の編集長が名づけてくれました)。昨年で満40年、まさかこの名前で、ずっとライター生活を続けるとは…。 未だ、一人暮らしで、ここ数年の事態があって誰とも会わず、鬱々とした日々を過ごしていました。人と会ってしゃべるのが大好きな私にとって相当にきつい、正直、精神的危機でした。しかも自分はもう若くない。この間、同世代の知人が何人か亡くな

        • 宮台真司とは何者か?

           2022年11月29日、宮台真司氏が暴漢に襲われた。彼が教授を務める東京都立大学のキャンパス内で何者かに背後から頭を殴られ、刃物で首や背中や腕などを斬られて、救急搬送された。犯人の男は逃走し、警察が行方を追っている。そのニュースは大きな衝撃をもたらした。  宮台氏は、30年来の私の友人である。愕然とした。身が震え、その夜は眠れなかった。  宮台氏は重傷だが、命は助かった。数時間もの大手術を受け、何十針も縫ったという。心配でたまらない。どんな痛い、辛い、恐ろしい思いをしている

        お笑いと文学ー談志・やすし・たけし・人志

          寺山修司を小説にしました!

          やりました! もし、寺山修司が今も生きていてアイドルグループをプロデュースしたら? 小説「TRY48」の連載完結を果たしました。執筆に至る経緯は以下に記しております。 https://note.com/a_i_jp7/n/n14f8b3f6c777 そもそもnoteを始めたのも、この小説を皆さんに知ってほしかったからなんですね。で、連載開始(2021年12月号)から10か月、10回=10章の物語を書き終えました。あ、気がついたら、これまで「東京トンガリキッズ」はじめ短篇連

          寺山修司を小説にしました!

          オシャレ泥棒と宮沢りえ

          東京トンガリキッズ、復活! と題してnoteに連続投稿しています。少々間があいたので、今回は番外編。1988年に私は小説『オシャレ泥棒』を出版しました。 この本は、スゴいですよ! 我ながら、本としてのツクリが破格です。カバーなしで、背が布張り、タイトルが金箔押し! もちろん、岩波書店のエーリヒ・ケストナー少年文学全集『エーミールと探偵たち』等へのオマージュです。出版元は当時、単行本部門を発信したばかりのマガジンハウス、「オリーブ」の本の一冊として出ました。イラストは「オリー

          オシャレ泥棒と宮沢りえ

          東京トンガリキッズ・21ct 「岡崎京子のように」

          以下に公開するのは、「宝島AGES」第3号(2015年8月号)に掲載の中森明夫<東京トンガリキッズ・21ct>第3回の全文です。掲載写真の撮影は代田康彦氏です。           ☆ 東京トンガリキッズ・21ct 「岡崎京子のように」 BGM=フリッパーズ・ギター『全ての言葉はさよなら』    岡崎京子を知ったのは、いつのことだったろう?   高校生の時、映画『ヘルタースケルター』を観たんだ。蜷川実花さんの写真が大好きで、カラフルでラブリーな実花ちゃんワールドにひた

          東京トンガリキッズ・21ct 「岡崎京子のように」

          東京トンガリキッズ・21ct 「いつまでも青い心で」

          以下に公開するのは、「宝島AGES」第2号(2015年5月号)に掲載の中森明夫<東京トンガリキッズ・21ct>第2回の全文です。掲載写真の撮影は代田康彦氏です。           ☆ 東京トンガリキッズ・21ct 「いつまでも青い心で」 BGM=パーランマウム『リンダ リンダ』    ボクは30歳のビジネスマン。  いや、営業マンといったほうが正解だ。  中途採用で事務職募集、高級好待遇なんておかしいと思ったよ。すぐにバケの皮がはげた。  大量採用で強度の負荷をかけ

          東京トンガリキッズ・21ct 「いつまでも青い心で」

          東京トンガリキッズ・21ct 「忌野清志郎が死んだ日」

          以下に公開するのは、「宝島AGES」創刊号(2015年2月号)に掲載の中森明夫<東京トンガリキッズ・21ct>第1回の全文です。掲載写真の撮影は代田康彦氏です。            ☆ 東京トンガリキッズ・21ct 「忌野清志郎が死んだ日」 BGM=忌野清志郎『Oh!RADIO』  2014年秋、俺は母校の学園祭へと行った。昔の仲間とはSNSでつながってる。久々にみんなで会おうぜ。ほら、例の場所で。  校舎の最上階、扉を開けると、真っ青な空だった。  屋上ーー。  そ

          東京トンガリキッズ・21ct 「忌野清志郎が死んだ日」

          復活、東京トンガリキッズ! 第3回

          『東京トンガリキッズ』は月刊雑誌「宝島」に1985年から1989年末まで連載していました。そこから派生して、単行本に収録していないいくつかの作品があります。 まずは、これですね… 『はじめて!』、漫画雑誌「少女フレンド」1989年6月20日号の別冊付録です。文庫サイズで100ページ程の作品。15歳の少女が初めてライブハウスへ行って、一夜をすごす物語。表紙と本文イラストは、折原みとさん。その後、ジュニア小説の大ベストセラー作家になりました。折原みとさんとは「少女フレンド」本

          復活、東京トンガリキッズ! 第3回

          復活、東京トンガリキッズ! 第2回

          『東京トンガリキッズ』、復活! をめぐる連載の第2回です。 「東京トンガリキッズを復活させましょう!」と若い編集者に言われた。そこから話は始まります。1987年に単行本発売、2004年に文庫化。その後、文中の「NO FUTURE NO CRY (未来はないけど、泣いちゃだめだ)」を銀杏BOYZが歌にしてくれた。前回はそこまででした。 2010年春、私は久々に小説を発表しました。「新潮」5月号に一挙掲載の『アナーキー・イン・ザ・JP』です。 100年前のアナーキスト・大杉

          復活、東京トンガリキッズ! 第2回

          復活、東京トンガリキッズ!

          「東京トンガリキッズを復活させましょう!」 若い編集者にそう言われました。何度かそんなご提案があり、実は部分的には復活してもいるんです。けど、これまで、まとめてお話する機会がなかった。う〜ん、よっしゃあ…そのへんのことをnoteで書いてみよう、と決意しました。かつてのトンガリキッズも、トンガリキッズ? えっ、何それ? …という新しい世代の方も、まあ、おつきあいください。 さて、『東京トンガリキッズ』は、東京に生きる若者たちを描いたショートストーリー集です。1987年11月

          復活、東京トンガリキッズ!

          寺山修司のアイドル市街劇

          もし寺山修司が今も生きていてアイドルグループをプロデュースしたら? 通称「もしテラ」、小説「TRY48」を文芸誌「新潮」に連載しております。第1〜3章まで、こちらのサイトで全文無料公開されてます。ぜひ、ご一読を! https://www.shinchosha.co.jp/shincho/special/try48/ さて、いよいよ物語もクライマックス、最新回の第8章は<寺山修司、アイドル市街劇を仕掛ける>。アイドルたちが劇場を飛び出して、ストリートでスキャンダルを巻き起こ

          寺山修司のアイドル市街劇

          寺山修司、ももいろクローバーZを論じる

          もし寺山修司が今も生きていてアイドルグループをプロデュースしたら? 通称「もしテラ」、小説「TRY48」を文芸誌「新潮」に連載しております。第1〜3章まで、こちらのサイトで全文無料公開されてます。ぜひ、ご一読を! https://www.shinchosha.co.jp/shincho/special/try48/ さて、「新潮」3月号に掲載の第4章のタイトルは…<寺山修司、ももいろクローバーZを論じる>。えっ? えっ? となった方もいるかと思います。寺山とももクロ…時代

          寺山修司、ももいろクローバーZを論じる

          60年代テラヤマ演劇を生きる

          もし寺山修司が今も生きていたら…「もしテラ」と呼んでください! 80歳代半ばでアイドルグループをプロデュースしたんじゃないか? その名も、TRY48だ。「TRY48」と題する小説を文芸誌「新潮」に連載中。執筆の経緯についてはこのnoteの初回に書きました。あ、第1章、第2章がwebで全文無料公開されています。ぜひ、ご一読を!→ https://www.shinchosha.co.jp/shincho/special/try48/ この小説ではアイドル志望の女子高生・ユリコが

          60年代テラヤマ演劇を生きる

          2022年、小説から面白いことをやります!

           YOASOBIというユニットが彗星のように登場して一年余り、あっという間に大ブレイクしました。面白いのは同グループが「小説を音楽にするプロジェクト」から出発したということ。そういや2020年末、初出場の紅白歌合戦では本棚の森のような場所(角川武蔵野ミュージアム)で唄ってましたね。  私は今、小説を執筆しています。あの寺山修司が今も生きていて、アイドルグループをプロデュースする! その名も『TRY48』…という、ぶっ飛んだ小説です。これが日本でもっとも歴史ある創刊117年の

          2022年、小説から面白いことをやります!