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復活、東京トンガリキッズ! 第2回

『東京トンガリキッズ』、復活! をめぐる連載の第2回です。

「東京トンガリキッズを復活させましょう!」と若い編集者に言われた。そこから話は始まります。1987年に単行本発売、2004年に文庫化。その後、文中の「NO FUTURE NO CRY (未来はないけど、泣いちゃだめだ)」を銀杏BOYZが歌にしてくれた。前回はそこまででした。

2010年春、私は久々に小説を発表しました。「新潮」5月号に一挙掲載の『アナーキー・イン・ザ・JP』です。

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100年前のアナーキスト・大杉栄が、現代の17歳の少年の脳内に甦る…という、ぶっ飛んだ小説です。出だしは、こんな感じ…

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「新潮」は1904年(明治37年)創刊で100年以上も続いている、我が国でもっとも歴史ある文芸誌です。太宰治「斜陽」、坂口安吾「堕落論」、三島由紀夫「金閣寺」も載りました。大杉栄が執筆してもいます。小説『アナーキー・イン・ザ・JP』で現代の少年の脳内に甦った大杉栄は100年ぶりに新潮社に乗り込みます! この小説(『AIJP』と略します)は大いに話題を呼んで、たくさん取材もされました。
実は『AIJP』には、1980年代の『東京トンガリキッズ』のいくつかの要素が組み込まれています。
主人公は17歳の、にわかパンク少年で近所の美容室スミレへ行ってパンクヘアにしてもらう。これは『東京トンガリキッズ』第6話「仰げば尊し」で主人公の少年が同じく美容室スミレでモヒカン刈りにする逸話の反復です(ライター石丸元章氏の高校時代の実話エピソード!)。

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また、『AIJP』には桜木りん子(りんこりん)というアイドル少女が登場します。見かけは、ぶりっ子アイドルですが、中身は過激なパンクス少女という設定で、これは『東京トンガリキッズ』第15話「TVの国からファック・ユー」の主人公のキャラ設定まんまです。

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『AIJP』は2010年秋に単行本出版、同時に私はツイッターを始めました。パソコンすら持たず、ガラケーの私に強くツイッター開始を進言してくれたのが、「新潮」の矢野優編集長でした。おかげで2010年代の私の行動形態や交際範囲は激変したように思います。
ツイッターで不意に告知して、書店に乗り込み、『AIJP』の突発サイン会もやりました。名古屋のジュンク堂で突発的にやった時には、わざわざ京都から駆けつけてくれたかつてのトンガリキッズ読者もいました! いや〜、うれしかったですね。
『AIJP』は2013年秋に文庫化されました。こんな感じです…

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おっと、小説内のクライマックスをちょい紹介しますね。

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そう…NO FUTURE NO CRY! 銀杏BOYZが歌にしてくれた、かつての『東京トンガリキッズ』の名フレーズを、ここぞという場面で復活させたんですよ(わかるやつだけ、わかればいい…©️フレディ・マーキュリー花巻byあまちゃん😄👍)
ところで『アナーキー・イン・ザ・JP』は三島由紀夫賞という文学賞の候補となりました。残念ながら受賞ならず。もし受賞していたら、授賞式のスピーチで「これが僕のメッセージです!」と壇上へと銀杏BOYZの峯田和伸さんを呼び入れ、突発的に『アナーキー・イン・ザ・JP』を歌いまくってほしかった! そしたら間違いなく文学シーンは真にアナーキーな空間となり、『東京トンガリキッズ』の魂は劇的に21世紀に復活を遂げたんじゃないでしょうか?
(つづく)

<中森明夫の最新情報>
『東京トンガリキッズ』は27歳で出版した私の初単著、デビュー作です。今、また新しい小説を書いています。<サブカルチャーのカリスマ・寺山修司が今も生きていて、アイドルグループをプロデュースする…その名も『TRY48』!>と題する、ぶっ飛んだ物語。文芸誌「新潮」で連載中。第1〜3章が以下のサイトで無料で読めます。ぜひ、ご一読を!

https://www.shinchosha.co.jp/shincho/special/try48/ 

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