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復活、東京トンガリキッズ! 第3回

『東京トンガリキッズ』は月刊雑誌「宝島」に1985年から1989年末まで連載していました。そこから派生して、単行本に収録していないいくつかの作品があります。

まずは、これですね…

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『はじめて!』、漫画雑誌「少女フレンド」1989年6月20日号の別冊付録です。文庫サイズで100ページ程の作品。15歳の少女が初めてライブハウスへ行って、一夜をすごす物語。表紙と本文イラストは、折原みとさん。その後、ジュニア小説の大ベストセラー作家になりました。折原みとさんとは「少女フレンド」本誌で対談もしました。同誌の編集者の方が『東京トンガリキッズ』の愛読者で「トンガリキッズの少女版みたいなものを」とのご依頼でした。小中学生の女の子たちからいっぱい感想レターが届きましたね。これは超レアで、持ってる方も少ないのでは?

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続いて、もう私の手元にもないんですが…トンガリキッズの読者の方に依頼を受け、ミニコミ雑誌に「20世紀サッチン物語」という短篇を書きました。これに書きたしたものが『ベッドタイム・ストーリーズ2』というアンソロジーに収録されてます。

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男の子と女の子が自転車で東京タワーへ行く…的な話だったかな? 担当編集者は「宝島」の『東京トンガリキッズ』の連載をサポートしてくれた菅付雅信さん。
続いて、「東京シド&ナンシーの伝説」。1994年に「クイック・ジャパン」の創刊号に掲載。1990年の正月に投身自殺した10代のパンクス少年とその恋人についてのルポルタージュです。取材したら、亡くなった少年が「東京トンガリキッズ」の愛読者で、連載が終了することをとても残念がっていた…と少年の友人に聞きました。当初は「ポップティーン」に発表したのを大幅に書きたしたもの。担当編集は赤田裕一さん。最近でも、こんなツイートをされている方がいました。

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赤田さんには「ポップティーン」時代に依頼されて、「街」と題するブルーハーツのライブへ行く女の子の短篇を書き、これは『東京トンガリキッズ』文庫版に収録されてます。
ここまでが、番外編というところでしょうか?


さて、ここからは復活した『東京トンガリキッズ』を紹介していきます。
2011年3月11日の東日本大震災後に「早稲田文学」から依頼されてチャリティー小説を書きました。ノーギャラで執筆して募金をつのり震災復興支援に寄付されました。
「東京トンガリキッズ2011」と題して、1987年に書いた「世界の終わる日、僕たちは…」と併録、同題の2011年版を執筆発表。世界の終わる日、僕たちは…」という短篇は本当に反響、大きかったですね。

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ことにラストのこの部分…

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鶴見済『完全自殺マニュアル』、浅羽通明『天使の王国』、宇野常寛『リトル・ピープルの時代』等に引用されました。
2011年版では、神聖かまってちゃん『ロックンロールは鳴り止まないっ』をBGMに一転、明るい作品になりました。
プリントアウトした小冊子を文学フリマでサイン&トンガリキッズバッジつきで売るとツイッターで告知したら、読者の方がたくさん駆けつけてくれて、完売!
2012年3月に出版の「早稲田文学」増刊「震災とフィクションの距離」というアンソロジーに収録されてます。

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なんと英訳までされてるんですよ!

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続いて、2015年に「宝島AGES」という雑誌が創刊されました。

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かつての若者向けロック&サブカルチャー雑誌「宝島」の大人版だというのですよ。「ぜひ、『東京トンガリキッズ』の復活連載を!」と依頼されて、少々悩みました。編集長の方がものすごく熱心に口説いてくれて、ああ、これはもうやるしかないか…と執筆を決意。
「東京トンガリキッズ21ct」の題名にしました。東京トンガリキッズの21世紀版という感じです。第1回は<忌野清志郎が死んだ日>。

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RCサクセションのファンだったかつてのトンガリキッズが、大人になり、母校の学園祭で校舎の屋上で再会する…というお話。
このまま懐かし路線に走るのもなんだかなあ…と思い、第2回<いつまでも青い心で>、第3回<岡崎京子のように>では現在の若い世代を主人公としました。
「宝島AGES」は季刊雑誌でしたが、その後、3号で休刊。残念。もっと書きたい話がいっぱいあったのに…。続いていたら、単行本になっていたでしょう。『東京トンガリキッズ』の30年後の続刊、完全復活になったのになあ…というわけです。
(つづく)

<中森明夫の最新情報>
『東京トンガリキッズ』は27歳で出版した私の初単著、デビュー作です。今、また新しい小説を書いています。<サブカルチャーのカリスマ・寺山修司が今も生きていて、アイドルグループをプロデュースする…その名も『TRY48』!>と題する、ぶっ飛んだ物語。文芸誌「新潮」で連載中。第1〜3章が以下のサイトで無料で読めます。ぜひ、ご一読を!

https://www.shinchosha.co.jp/shincho/special/try48/

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