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研究者4名のキャリアをご紹介!~研究と事業の両立、弁理士からキャリアコンサルタント、エンジニアから大学非常勤講師&高校理科教師、大学教員など~

研究者を志すにあたって、どんなキャリアを歩むことになるのか、不安に思ったり悩んだりしたことはありませんか?また、働くフィールドや働き方(大学や企業の研究部門、公的機関、非営利団体といった研究機関、独立系研究者)も様々な選択肢がある中で、他の研究者がどのようなキャリアを歩んでいるか知りたい!と思ったことはありませんか?

これまで、エコラボnoteでは研究者の働き方や、キャリアに関するnoteをいくつか書いてきました。


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そこで今回は、弊社所属のパートナー研究者4名に、これまでのキャリアについて以下の順に伺いました。

① これまでのキャリア
② どうしてこの経歴になったか
③ 苦労したこと
④ どう乗り越えたか 





1.Oさん   30代   男性
NPOを退職後に個人事業主として独立、その後スウェーデンで修士を修了し、研究と並行して事業を立ち上げながら博士課程で研究に従事

①これまでのキャリア
大学卒業後、教育NPOで表現教育の企画運営。5年半働いた後、コロナ禍で退職し、個人事業主として独立。地元でアフタースクールを立上げ。スウェーデンの大学院へ留学し教育科学(修士)を修了。留学中に研究と並行して合同会社を共同創業。帰国後、会社でも学びの場づくりをしながら日本の博士課程で研究を続ける。

② どうしてこの経歴になったか
自分が実現したかった留学という夢に向き合った結果、準備のためにNPOを卒業して地元の旭川に戻ってきたため、個人事業主になったのは出会いとタイミングだった。生きた学びを提供する「人生の学校」を作りたいなと大学卒業前から思っていたが、共通する想いを持っていた人との出会いがあって、意気投合してアフタースクールを立ち上げた。

NPOの中でもたくさんの教育の現場を見てきたが、それぞれが素敵な想いをもってやりながらも、経験則でやられていることが多かった。その経験則と蓄積された学術知を繋げられる、社会と接続できるようなコトをしたいと思った。自分でスクールを立ち上げながらも、その想いが大きくなり留学へと踏み出した。

修士留学をした結果、まだまだ研究の入り口を覗いたばかりなことに気づく。本気で研究を深め実践と繋げるには博士課程に進むことが必須だと思い立ち、進学した。


③ 苦労したこと
コロナ禍で接触が禁じられた中での、人間らしいふれあいがある学び舎づくりは苦労した。留学では初めて長期間異文化に飛び込み、マイノリティ、外国人として暮らす中で様々な難しさを経験した。

博士課程は日本ではまだ海外ほどリスペクトされず、経済的にも難しい状況にある。会社事業と何とか並行しながらも、研究を諦めずに両立することには苦労している。


④ どう乗り越えたか
どんな環境も永遠に続くわけではない。また、スウェーデンで「Lagom(程よく、適度に)」という考え方を知ってから、肩の力が抜けながら持続的に努力するというマインドセットを学べたことは大きかった。


2.Fさん 40代 女性
博士課程を修了後、特許事務所に就職、弁理士として活躍後、キャリアコンサルタントへ

①これまでのキャリア
大学院博士課程を修了後、特許事務所に就職。翌年に弁理士試験最終合格。医薬品やバイオテクノロジーの案件を中心に、国内外の企業・大学の特許権取得を18年間に渡りサポートしてきた。その中では、特許事務所の共同経営職への昇格や、大学非常勤講師の兼任なども経験した。

しかし、2018年に自身の体調面で大きな転機を経験したことから、転機を乗り越えていくことや女性活躍などキャリア支援への関心が増し、国家資格キャリアコンサルタントを取得した。現在は、個人支援のほか、大学・企業向けのセミナー、書籍の執筆などの活動をしている。2021年より日経xwomanアンバサダー。著書に『仕事のモヤモヤ・イライラを止めて自分を取り戻す 小さなルーティン』(あさ出版)がある。

② どうしてこの経歴になったか
まず、ファーストキャリアとして特許業界に進んだのは、当時「ポスドク1万人計画」で任期つきのポストが多かったのと、私はもう少し腰を据えて仕事をしたいという気持ちが強かった。大学院在学中にインターンとして在籍した米国のバイオベンチャーで弁理士という職業を知り、目指したい気持ちが強くなった。特許業界は一般的に新卒採用がほとんどないが、博士号を取得した人材が欲しいという事務所とのご縁があり、特許業界に入るに至った。

セカンドキャリアとして、キャリア支援の活動を選択したのは、上述のとおり自身の体調面で大きな転機を経験し、乗り越えたことがきっかけである。

③ 苦労したこと
まず、ファーストキャリア選択にあたっては、博士課程進学者のほとんどが研究職を希望する中、新卒で特許業界に入るというのは異質であり迷った。特許業界に入った後は、働きながら弁理士試験の準備をした。1年半ほどで約1800時間の勉強時間を捻出したが、大学院修了してすぐに受験勉強を開始したのも功を奏したと思われる。

セカンドキャリアの選択にあたっては、特許事務所で共同経営職に昇格して3年ほどが経過して、まさにこれからという矢先に突然原因不明の自己免疫疾患を発症するという大きな転機に見舞われた。服薬で症状はコントロールできるようにはなったものの、以前のように多数の案件に関与することが難しくなってしまった。案件数を減らして同じ職場で働き続けることも可能ではあったと思うが、自分を成長させる機会や自分だからこそできる仕事から遠ざかってしまうことが非常に残念で、このままでいいのかという思いがつのった。

④ どう乗り越えたか
ファーストキャリア選択に際しては、就職活動をする中で様々な方と話をする中で希望する働き方を実現できる職場であると感じられ、ご縁をいただいた事務所で働きたいという思いが強くなった。

セカンドキャリア選択に際しては、信頼しているコーチのサポートも受けながら自分のあり方や、特許実務のスキルに拘らず広く自分の興味を見つめ直した。そうしたところ、これまでに学んだ脳科学コーチングのスキルやマネジメント経験を活かしてキャリア支援をしていきたいという思いを抱くに至った。その上でキャリア支援の専門知識を得るべく国家資格キャリアコンサルタントも取得し、現在の活動につなげている。

現在の状態は通過点と捉えており、今後はこれまでの経験をさらに統合していくべく、理系人材の育成や、経営という視点でキャリアも知財も俯瞰できる活動にも繋げていきたいという夢を追いかけている。


3.Tさん 60代 男性 
30年以上にわたりエンジニア兼研究者として活躍後、現在は大学で非常勤講師を務めながら、高校理科教師に

①これまでのキャリア
30年以上にわたり、大手IT企業でエンジニア兼研究者として活躍。プリンターや液晶ディスプレイなどの素材開発から情報処理装置など幅広い製品開発に携わる。また、現在は大学で教鞭をとるかたわら、A-Co-Laboパートナー研究者としても活動。今年度より高校理科の講師として、理科好きを増やすことを目的に活動。


② どうしてこの経歴になったか
元々パソコン好きが高じてIT業界を目指し、入社。当初は予想外の機械設計を担当することになったが、CAE(Computer Aided Engineering)の導入などを通して着実に実績を積み重ね、様々な製品開発に携わることになる。また、製品開発における問題解決のために大学院で研究を行い、博士号を取得したことも、その後のキャリアに大きな影響を与えた。


③苦労したこと
物理学のバックグラウンドを持ちながら、入社当初は製図も書けない状態からのスタート。また、製品開発においては、予期しない不具合の発生など、様々な問題に直面し、原因究明のために大学院で改めて研究を行うなど、大きな苦労を経験する。


④ どう乗り越えたか 
持ち前の探求心と粘り強さで様々な苦労を乗り越えた。周囲のアドバイスを受けCAEをいち早く学び、製品開発に適用したことで、エンジニアとして大きく成長することができた。また、解決困難な課題に直面した際には大学院での研究などを通して、新たな知識や技術を積極的に習得することで問題解決に導いた。


4.Yさん 30代 女性 
博士課程で海外留学し、帰国後大学へ就職。子育てを機に一度アカデミアを離れた後に再度大学教員として就職

①これまでのキャリア
大学院進学後、博士課程で海外留学。帰国後、大学に就職。その後、子育てを機に一度アカデミアを離れ、経済的事情で再度大学に助教として就職。

② どうしてこの経歴になったか
家庭と仕事の両方を大切にしたいと思い、その都度家族の事情に合わせて選択。

③ 苦労したこと
自分の想像以上に、社会が「健康で昼夜問わず働くこと」を前提に仕事が組まれていることや、プライベートを大事にしながら研究をしていくロールモデルが見当たらなかったこと。


④ どう乗り越えたか
まだ何も乗り越えられておらず、毎日を切り抜けている状態だと思っている。ただ、学生時代の知り合いや先生方に声をかけていただいて、アカデミアとの縁が切れなかったことは幸運だった。


・・・


パートナーはそれぞれ様々なキャリアを歩まれています。それぞれの道に正解や不正解はありません。理想とするキャリアを追い求める中で困難なことや、壁が立ちはだかる時もあるかもしれません。また、人との出会いやタイミングも環境や状況によって異なりますが、どうしたら自分のやりたいことを実現できるか、どうするのが自分にとって心地よいか、その都度向き合うことが大事なのかもしれませんね🚶‍♂️😌✨️

その他のパートナー研究者のキャリア変遷についてまとめたnoteは、こちらからご覧いただけます。


A-Co-Laboについて

A-Co-Laboは研究者のキャリア問題に課題を感じている研究者3名で立ち上げました。弊社では、研究者が持つ、研究経験・知識・スキルを活かして企業の課題を解決することを目的としています。


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〈特徴〉
1.プロジェクト単位でナレッジを活かせます。
2.専属のプロジェクトマネージャーが伴走します。
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〈専門分野〉
・生物 ・医学 ・工学 ・物理 ・生態学
・化学 ・薬学 ・情報 ・言語 ・心理
・教育
など分野は多岐に渡り、生物系・医療系工学系研究者から人文科学や社会科学など幅広い分野の研究者が登録しています。

〈年齢層・所属〉
パートナー研究者の半数が30代ですが、20代〜60代まで幅広くご登録頂いています。博士号取得者が80%いらっしゃいます。 
所属としては、大学が約40%、独立・起業が約40%、企業が約20%となっています。
現段階では全国海外含め250名ほどの研究者の方に登録頂いております。


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