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#宿命の泡沫紋章 外伝Ⅰ

さて、しばらくぶりですが、今回より続編の外伝を載せていきたいと思います。

今回のお話は、本編の第Ⅵ章の最後で「いつか外伝で詳しく書く」とか言っていた内容ですね。



まさかこのお話の「神様(創造主)」を主人公にして書くのかと思われたかもしれませんが、これはかなり前から構想にあったお話です。

なにせ宿命物語の主題の一つである「五百年前」のお話より更に前の時系列に属するお話ですし、神様が普通にそこら辺をうろつき回っていますし(笑)

(今回のお話を要約すると、「獣牙アウズフムラ族の始まりの物語」と「夢魔エインヘリヤル族の前身に当たる存在の物語」といったところでしょうか。)

そういえば神様は「青年」と書かれたり「ひょろっちぃ兄ちゃん」と呼ばれたり、自身の事を「僕」と呼んだりしていますが、これは全てあくまでも「仮の姿」上の事で、本来は性別も無ければ人間としての姿も持っているわけではありません。

ただ自分が「楽しい」と思ったり「美しい」と思ったりする事物が大好きで、嫌だと感じたものは即座に消してしまったりと、人間のような自分中心の感情を隠す事なくぶちまけたりします。

あと神様扮する青年が日が昇ると共に起き、日が沈むと共に眠るのは、神=太陽のイメージから来ています。

そう考えると、自分達にとっては日が出ていない夜の間でも星の反対側には太陽が存在しているワケなので、いずれにしても神=太陽はいついかなる時も消滅しない普遍的な存在という事になりますね。

(神様は常に起きているのか?眠っているのか?「シュレディンガーの猫」の問いみたいですね。

 あと神様が「輪廻」とか「転生」とか「流転」とか何とか言っている箇所がありますが、この当たりはまた後々外伝で書いていきたいと思っております。)


神様がコウモリ君に特別な姿を与えたのは「君は何を以て強いと考えるのか?」という問いを与えたかった為と思われます(気まぐれとも言う)。

腕っ節の強さ?頭の回転の速さ?見た目の威圧感?どんな力を持っていれば強いのか?ではその強さは何の為?その強さを以て何をしたいのか?

そこで神様が最後に与えたのが、守るべき存在への強い感情という事ですね。

・・・まぁ、本編の第Ⅵ章のお話を見ていると、神様がそのまま放置してしまった所為かは分かりませんが、夢魔エインヘリヤル族の現族長はなかなか困った人になっていましたが・・・。

守るという事は、必ずしも「誰も触れない鍵付きの箱に大切なものを閉じ込めて、決して外に出さない」という事ではありませんよね;

しかもその割に、感情が暴走して更に迷惑な事になっていましたし σ(^_^;

(神様が「可能性を与える」というような事を言っていますが、続編本編の第Ⅷ章第77節でファエラル達に魂の石を与えたのも同じ流れですね。)


ところで獣牙アウズフムラ族の暮らすギンヌンガガプ市はデンマークのヒレレズという場所をモデルにしているのですが、デンマークにいるコウモリは「ベヒシュタインホオヒゲオウモリ」という、肉食ではありますが特に吸血などはしない昆虫などを主食とするコウモリです。

(そもそも吸血するコウモリは、南米辺りに生息するごく僅かな種類だけだそうですね。)

なので本編中の夢魔族に関する吸血の話は、コウモリ自体の特性ではなく、ゲルマン神話などで語られる事の多い「吸血鬼」的な存在から持ってきています。

(これから下に言及する白狐は、アイスランドに人間が入植する前から現地に生息していたとされている「ホッキョクギツネ」がモデルです。)


さて、長くなりすぎると思ったので物語中にはワザと詳しく書きませんでしたが、突然現れた白狐耳の少女は、物語の途中で狼が言及している「年上の友」の娘です。

世界各地を旅して歩いた白狐は、(獣である故に)決して長くないであろう自分の生を思い、その最後に様々な研究を行なう為、滅多に誰も来ないような場所に居を構えました。

そして「天文学」「不老不死学」「魔術」「錬金術」等々、怪しいものも含めて様々な研究を行ない、自分自身が特別な力を持つ種族などでなくとも、不思議な力を持つすべを得て寿命をも延ばそうとします。

しかしそれが叶った結果が「自分だけが長生きしたとしても、全ての人にそれが適用出来るワケではない」という残酷な事実でした。

(この事実は、本編の時代に至るまでずっとエインヘリヤル族を頑なにさせていた問題でもありました。)

実際にその実験を行なった白狐の妻である人間族の女性は娘を置いて亡くなってしまい、白狐は娘にも同じ実験を施した後に、愛する妻を亡くした絶望に駆られて森の中で衝動的に自ら命を絶つという事をします。

あとに残された娘はいわゆる「不老長寿」の実験には適応出来たが、何が起きたのか理解出来ないほど幼く、帰って来ない親をいつまでもずっと一人で長年待っているという状況になっていました。

そこに現れたのが(というか神様が導いたのが)、コウモリの青年だったという事ですね。


白狐の少女が「温泉がある」と言っていますが、夢魔エインヘリヤル族の暮らすヴァルキューレ村はアイスランドのジュパロゥンサンドゥルという場所をモデルにしているので温泉がたくさんあります。

アイスランドは火山活動が活発で、寒い土地ながらも間欠泉がたくさんあって定期的に熱湯を噴き出しています。

五年に一回くらいはどこかで火山が噴火し、その熱や温水を利用してハウスで野菜や果物を作るというのはアイスランドならではの生活の知恵でしょう。

雪や氷の多いイメージのアイスランドですが、温泉に入りに行ってみたいものですね。

(余談ですが、かつてヴァルキューレ村で囚われていたモニカさんが、囚われの身でも毎日入れてもらえる温泉がとても楽しみだったという密かな設定があります(笑)

 もうひとつ余談ですが、アイスランドの灯台がオレンジなど明るい色が多いのは、氷河や雪などの青や白の世界でよく目立つからですね。)


そしてこの物語の最後は、獣牙アウズフムラ族の現族長であるライズが、ヴァルキューレ村を訪れた後にゼラフィー達の話を(電話で話している時に)聞き、実際に開放されたヴァルキューレ村を訪れ、自分達の街の歴史聖書と色々話を突き合わせた結果導かれた物語を、自分が族長になってから毎日書いている日記に書き留めた、というようなところで終わらせています。

もちろん最後の方の問いかけは、ライズから続編の主人公であるゼラフィーに向けたものとなっています。

(ゼラフィー達がギンヌンガガプ市を訪れた際にゼラフィーが狐耳だったのは、実はこのお話に出てくる白狐からの血の流れの由縁でした。)



今回も、ご愛読いただき感謝致します。

長くなってしまいましたが、いつも読んでいただき本当にありがとうございます m(_ _)m




中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。