見出し画像

知っておきたい「多様な特性」を受け入れるということ ①治療をしながらお仕事をされている方編

こんにちは。あらもんです。

今回のお題、「多様な特性」について。
組織をより良くするためキーパーソンとなるリーダーや管理監督者を対象として書きはじてめておりますが、結論から言うとそれらに限らずすべての方に当てはまるか思います。
仕事だけじゃなく、家庭や学校、地域の中などで。

さて「多様な特性」ときいて、みなさんどのような方を連想しますか?

性別?
年代?
国籍?
個性的?

「多様な特性」とは、この3つの分野かなと。
 ①治療と仕事を両立されている方
 ②発達障害を抱える方
 ③LGBTQの方

今回は3つの内、
 ①治療と仕事を両立されている方
に焦点をあて実体験を交えてのお話です。


「大腸がん」 他者から見て分かりにくい病気

父は、50歳超えたとき、がんになりました。
家族の中で唯一、稼ぎのある大黒柱です。

ある夜、病名・手術・入院することを伝えられました。

冷静に聞いてましたが、心の中でものすごくパニックとなり、涙が止まらずあふれてきます。
「お父さん、死んじゃったらどうしよう・・」

「ガン=死」 のイメージがあっただけに、なおさらです。

当時、学校を卒業する前の課題、自動車免許取得の追い込み、就職先への準備等で、非常に自分の事に追われていました。

不安・・不安・・不安・・

人生で初めて、父が病気となり家にいないことを経験したわけです。
ありがたいことに父のお姉さん(叔母さん。叔母さんは看護婦さんの仕事をしていた)が私の状況もあり、家に泊まりに来てくれて食生活などのケアと、心のケアをしてくれました。

「だいじょうぶだよ。お医者さんにまかせたらいいんだから。」
この叔母さんの一言で、また涙があふれ・・
少しは落ち着くことができました。

その後無事に手術が終わり、術後は1週間後に退院することができました。

そして「5年間」再発がないか経過をみていくということで、仕事へ復帰と通院治療の継続も両立していきました。

「椎間板ヘルニア」 他者から見て比較的分かりやすい病気

夫は30歳超えたときヘルニアになりました。
ある朝、急に立てなくなり歩くことができずに本人は会社を休むことに。
病院に複数行っても全くよくなりません。
ちなみにうつ伏せの状態がラクらしく(痛みが少ない)このように生活する日々が続いていました。ご飯もうつ伏せで食べていました。

トイレ、お風呂は私の手助けがないと難しい状態です。
仕事から帰ってくるやいなや、夕飯作り、洗濯に加え、介護をする状態。

知人に話したら「腰痛は、この病院がいいよ」と教えてもらい、さっそく車で連れて行きました。
後部座席をフルフラットにし、布団を敷いて、オットセイ状態のまま。。。

病院へ着くやいなや、普通に椅子に座って待つことができなかったので、腹ばい状態でストレッチャーに乗せていただき待つことに。

各検査を行い、診断後、3日後から即入院となりました。
(病院のベッドに空きがでるのが3日後でした)
いきなり入院とは、心の整理もできません。泣・・
手術の日程は入院しながらの待ち状態とのことで、退院まで約2カ月半病院で生活することになりました。

ちなみに、手術前には病院側から家族に対し同意書を書かされました。
要は「手術の説明及び手術により命を失う可能性についての同意」です。
初めて、配偶者を失うかもしれない「死」が、頭をよぎり不安が募ります。

当時の私は、部署異動したばかりで慣れない仕事をしていました。その上、夫のことがあり、終業後は1時間かけ入院先の病院へ行き、着替えを送り届け、そこから約2時間かけ帰宅し・・・とぐったり。

本人もつらいでしょうが、私個人も環境が変わったばかりでしたのでかなりしんどかったです。
身も心もヘトヘト。。

「自分のことではない家族のことで、残業も出来ず、休まなくてはならず、仕事先に迷惑をかけている」ことへの申し訳なさ、やるせなさ・・があり、さすがに黙っているのはマズイと思い、同僚と「直属の上司の上司(部長)」に伝えました。
ちなみに「直属の上司(課長)」には話せませんでした。

なぜならば。
「直属の上司(課長)」は仕事に厳しくみんながいても部下を罵倒するようなお方で、とても言える雰囲気ではなかったからです。

部長は、私の家族状況と今の心境を課長へと伝えたようで、同日の夕方、課長本人から呼ばれました。

え。。。何を言われるんだろう。。。

課長:「部長からきいたよ。私はね、しんどい時は感情をなくしてやっているんだ。だから〇〇さんも感情をなくして仕事したらいいよ」 

私:「・・・(絶句)」

なんとなく「この人には話してもムダ」と思っていたけれど、ここまで相手のことを想像できない理解できないヤバい人なんだということが、はっきりとした感じでした。
部長は課長に何をどう伝えたんだ?? という疑心暗鬼とともに、目の前にいる上司がどう理解してそんな発言になったのか?・・・。
ああ、自分から直接、課長に話せばよかったという後悔・・・。
こんな人が上司だなんて。。。という怒りさえ込みあがってきました。
いっぱいいっぱいな感情、これが一番つらかったですね。
(当時の同僚達にはホントに助けてもらいました。これが唯一の救いでした!)

その後ですが、無事に夫は退院しました。
そして「5年間」再発がないか経過をみていくということで、仕事へ復帰と通院治療の継続も両立していきました。
私自身、部署異動の希望を出し新たな部署でリスタートしました。

周りの方は「受け入れる」言葉と態度を

いままで元気にしていた人が、急に病名を宣告されたとき、まずはご本人が一番堪えます。
 ・自分の命、体はどうなるのか?
 ・家族への負担
 ・治療費などのお金のこと
 ・仕事を続けられるのか? など
今思うと、父が一番不安だったはずなのに、娘の前では気丈にふるまっていたように思います。
夫の場合は、つらさをダイレクトに伝えてたので、その分私が気丈に振るわねば!と、気が張っていたように思います。
本人もつらいのですが、サポートする家族も結構堪えるんです。

私が経験した「直属の上司(課長)」の対応は、今思うと反面教師です。
病気・治療をしているご本人とその家族にしか、そのつらさはわからないもの。だからこそ外野となる周りの方は「持論」を語って自分の価値観を押し付けてはいけないということです。

まずは、聞くに徹し、目の前にいる相手を理解しようとすること。

ただ「受け入れる」言葉と態度だけでいいんです。
気持ちが錯乱しているので、落ち着いて聞いて理解する。

「大丈夫? 本当に大丈夫?」と、周りの人が焦って対応するのも考えもの。余計に不安感を助長する可能性があります。

治療通院のため仕事を休まなくてはいけなくなったとき、
「あの人また休んでるから、こっちに仕事負担がかかってホント迷惑!」とおっしゃる方も少なからずいます。
こういう時、病気であることの理由を開示したくない方と、相手に対し無意識の偏見・見方をしている方があり、仕事の押しつけといったもめ事、結構あるのではないでしょうか。

別件ですが、知人は自分が入院手術することを上司に伝えました。
伝えたときは理解を示したのですが、休暇に入ろうとする1週間前にこう言われたそうです。

上司:「今繁忙期だし納期も押しているから、その入院手術一週間先延ばしにできない?」
知人:「・・・・(あり得ない)」

もちろん、丁重に断ったようです。

病気でも仕事ができ豊かに生きていける社会へ

現代は少子高齢化時代です。
日本の発展のために労働力確保が必要です。
人手不足と言っているわりに、無意識に排除したりと矛盾していることはありませんか?

誰もが働きやすい社会に向けた多様な働き方を支援することで、豊かに生きていく社会になる。
これを信じて、そのために協力者の輪を広げて実行する。

実際に、当人が病気を隠して働くこともあるでしょう。
働く世代の約3割が、何らかの疾病を抱えながら通院しながら働いている というデータがあります。
出典:平成30年度版 厚生労働白書―障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に―P.106
all.pdf (mhlw.go.jp)

医学の進歩もあり、がんの場合、不治の病から長く付き合う病気となっています。
がんと診断された人の5年相対生存率は男女計で64.1 %(男性62.0 %、女性66.9 %)です。(2009~2011年)
出展:国立研究開発法人国立がん研究センター
最新がん統計:[国立がん研究センター がん統計] (ganjoho.jp)

病気は、中長期に渡ってつきあっていくもの。
中には、心理的な理由からキャリアを断念する方もいるでしょう。
・仕事を続ける自信がなくなって「退職」
・会社や同僚、仕事関係の人々に迷惑をかけると思って「退職」

疾病による従業員の離職を防ぐことで、人材資源の喪失を防ぐことにもなり、従業員のモチベーション向上にもつながります。

いままでずっと元気な人、これまで身内に大病を経験していない方は、なかなか想像することが難しいかもしれません。
その場合は、実際に体験した人の話を「知る」行動をし、「これから・未来へ」対策できることはないか考えられるのではないでしょうか。

命あっての人生です。

みなさんの周りには、治療と仕事を両立される方はいらっしゃいませんか?
それはどのようなお方ですか?
その方をみてどのように感じますか?

ではあなたのいらっしゃる環境の中でどのような課題がありますか?
そしてあなたができることはなんですか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?