10月の輪舞

君はいつまでも僕だけの王女様で
トランプを敷き詰めた小部屋で
クッションの綻びに爪を立てる
舞い上がる幻想に 薄桃の白昼夢を見ていた

君が生まれた季節をセピア色に染めて
現実は噴水の向こうへ置き去り
日付けが変わって 君は灰の中から生まれ変わる
ハッピーバースデー 私の愛しい人

僕が嫌った太陽が 優しく微笑んで
青銅の鎧が溶ける
分かっていた これは現実なのに
何故だろう 今日は 泣いてしまいそうさ

おどけた振りして たくし上げる スカートの裾
痩せた肩 流れ落ちる髪
白いブラウスが日に透けた

夢占いのガラス玉 裸足で弾いて笑う
運命が扉を叩く音は もう聞こえない

10月の輪舞から目覚めるまで
この夢幻の中で ありふれたお伽話 聞かせて

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