****号室、16:47
壁。壁にひたすら書かれた羅列。羅列というのは、文字が並んでいる。縦に、縦に、横糸はない。壁にびっしりと。最小限の隙間だけが許された。壁は斜めに立っていない。壁は斜めに聳えていない。90度に囲まれた四角の空間。90度。壁は文字が書かれていることを知らない。人間は壁が無くては生きていけない。そのことを壁は知らない。生かすものは大抵殺すことが出来る。壁。襞。波打つ壁。襞。酸素も同じ、人間も同じ、関係も同じ、薬も同じ。それらと同列に語られたことを壁は知らない。共通点を見つけようとす