見出し画像

ボーカルの喉を守る

ボイスケアによってボーカルの喉を守るお話です
これはとても大切で、歌唱や発声において、なぜボイスケアが必要なのかということに繋がってくるお話です

[ここでは俳優、声優、アナウンサー、ナレーターなど、あらゆる声を使う職業の方を「職業歌手」や「ボーカル」と表現します]

まず、ボイスケアで何をするのかというと、簡単にいえば、喉のマッサージをします

職業歌手であるボーカルを、スポーツでいうところのアスリートだと考えてみて下さい

アスリートなら勝つためやパフォーマンスを上げるために、トレーナーの指導を仰ぎます
走り方や飛び方、コツなどを教わったりします

怪我をすれば、医師による診察を受け薬物療法など治療を受けます

あと、練習後の日々の身体のケアは必須ですよね
マッサージを受けたりリカバリーをして、怪我の後ならリハビリを受けて早期の復帰を目指します

ボイスケアはまさにこのリカバリーやリハビリの部分になります

声を使うアスリート、ボーカルの喉をリカバリーしたりリハビリするのです
また、レコーディングや収録本番前のウォームアップであったり、すぐに本番に臨めるように喉の筋肉を調整するといった役割があります

ボイストレーナーとも医師とも違う役割を請け負っています

実際に、声帯や喉の粘膜に異常があるなら耳鼻咽喉科を紹介し、歌い方や発声の仕方を聞かれればボイストレーナーを紹介しています

では、ボイスケアで具体的に何をするのかを書いていきます
これらが全てボーカルの喉を守ることに繋がっていきます


発声関与筋を柔軟にする

厳密にはストレッチをかけているのでボイスケアストレッチ VOICE CARE STRETCH と呼んでいますが、外喉頭筋のリラクゼーションになります

しかし、ただ揉んで伸ばして気持ち良くなれば良いわけでもありません

発声に関与する筋肉はとても多く、ここではすべてを書きませんが、そうした発声関与筋の状態を柔軟にすることが目的の一つになります

ある筋肉はゆっくり優しく伸ばし、別のある部位は血流改善の目的で筋肉ではない部位へモビリゼーションなどを施します


バランスを整える

次に、人の身体は、全身的に診ても左右差があり、それはもちろん喉頭周囲でも同じことがいえます
ですので、そうした左右差、前後差、高低差、位相差などを埋めるべくバランスを整えます
むやみやたらにバランスを整えても、音が変わってしまい、逆効果になってしまうこともあるので、クライアントの声を聞きながら調整することになります


目に見えない筋肉を動かせるようにする

最後に、動きの出しにくい部位の筋肉の動きを良くする目的があります
動きが出せていないと判断した場合は動かせるようにするところまでを目的とします

目に見えていない部位の筋肉の話なので、この能力を高めるのは難しいですが、
施術後、思いがけず共鳴腔が広がり、いつもにない声が出た時、クライアントの皆様が感動される瞬間は、私にとっても嬉しい瞬間となります

その声が出たポイントを身体で覚えてできるようにすることが、目に見えない身体のパーツを動かせるようにするということなのですね


このように多くの目的を持って施術をすることで、ボーカルの喉を守り、パフォーマンスを向上させていきます



続いて、全身にも共通することですが、ここではボイスケアに特化して、発声するうえで大切なことを大きく分けて2点お伝えします


力を抜くこと

当然のことですが、身体を使うということは、全身の動かしたい部位の筋肉を収縮させて動かすので、発声においても発声関与筋を収縮させて声を出していきます

収縮させて声を出すのに力を抜くとは、矛盾した真逆のことを言っているように感じますが、

力を入れすぎない、や、あるところまでは力を入れるけど、あるところからは抜く、であったり、ここは力を入れて動かすけど、そこから先は力を抜く

といった何のことやらさっぱり分からないことをコントロールできるようになるために、VOICE CARE STRETCH が有効になってくるんですね

もう少し分かりやすくすると、声帯は縮めたり閉じたりする筋肉が存在するわけですが、無理に大きな声を出そうとしたり、出せていない高音や低音を出すために無理に気道を閉じたりするような、自分から収縮させる力ではなく、呼気の量やスピードに応じて声帯が閉じて、止まればパッと元に戻るというのが正しい筋肉の使い方なので、過緊張させなくても良い声が出せる状態にしていくということになります

アイソメトリックスに近い運動になるのですが、閉じる側の力を強くするのではなく、逆側の負荷をコントロールする

この正しいコントロールができるようになるためのフィジカルメンテナンスをすることが VOICE CARE STRETCH となるわけです

このコントロールができるようになってくると、声帯を傷付けずストレスフリーで綺麗な発声ができるでしょう

これも、結果的に喉を守ることに繋がります


喉 [声帯や共鳴腔] を思い通りに動かすこと

発声関与筋は、鏡などを使わなければ、自身で見ることはできません
深層の筋群や、声帯、共鳴腔などは当然見ることができません

その、目に見えない発声関与筋を思い通りに動かして音に変えていきます

例えば言葉を話すのも、舌や口の中を上手く動かして言葉にします
舌や口の中が思い通りに動かせないと言葉を話せません

言葉を話したり、歌を歌うということは口の中や喉、声帯を思い通りに動かすという能力なんですね

その能力をさらに人を魅了するまでの歌声にするには訓練で動かせるようにして、その音を出す形を作れるようにしなければなりません

こうしたらこの音が出せると教わった時に、その音を出すために自分の身体をコントロールして、教わったことと身体のズレの差を、反復練習で埋めて、能力を高める必要がある訳です

ところが、発声関与筋が思い通りに動かせないとそのズレは埋まりにくく思い通りには動かせないということになってきます

そのため、筋肉を思い通りに動かしやすくするように、VOICE CARE STRETCH で動かしていきます

能力を高めるという観点からいくと、筋肉以前の問題にもなり、感覚的にどこをどう動かして構音するということになるので、意識的に今ここを動かしているとか、軟口蓋を挙げた下げた、どこまでどのように挙げたとか、範囲をより広げてこのくらいとか、それらを意識的にどの程度できるかということが能力になってきます

自身の身体の見えない場所を、形としてどこまで思い通りに動かせるかという能力ということです

まずは右と左、次に前後、高低など、感覚的にどの程度コントロールができるのかを実践していく必要があります

こうしたことができるようになってくれば、そこに呼気をどれだけ当てるのかなど、エネルギーをどれだけどう放出するかの話になってきます


こういった謎めいたことを頭で理解しようとすると、必要になってくるのが解剖学や運動学、発声医学、音声医学などといった分野の学習になります

頭で考えてできることでもないかもしれませんが、勉強していないのに理解することは、もっと難しくなってくるでしょう

この思い通りに動かせる能力を身に付けることが、前述のコントロールにも繋がり、喉を守ることにもなってきます



こうして、結果的に喉を守る

長くなりましたが、こうしたこれらのことが結果的に職業歌手など、多くの声を使う方たちの喉や声帯を守ることに繋がってきます

力まず楽に簡単に声を出していこう的なことですが、その逆になると、力んで力一杯叫ぼうになってしまいます

叫び続けて、粘膜でできた声帯に負担が掛からない訳がありませんよね

本来と違った声の出し方で無理をしていれば、喉や声帯が炎症したり、血腫ができたり、酷い場合にはポリープや声帯結節にまでなりかねません

そうならないためにも、予防のため、パフォーマンスを上げるため、治療のため、目的はいろいろになると思いますが、思い通りの発声を手にいれるために、喉を守りながらアーティストの皆様の力になれればと思っています


and VOICE CARE 南青山

ご予約はLINE公式アカウントからどうぞ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?