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なんで82歳のおばあちゃんが32歳の私の悩みに共感するんだよ

今年32歳になる私は、2年ほど前から白髪に悩まされている。

両親共に白髪が生えていたし、特に母方の祖父や叔父は黒髪より白髪の方が多かったので、遺伝から考えて、私も将来は白髪が生えるのだろうとは思っていた。思ってはいたのだが、まさか20代後半から生え始めるだなんて思っていなかったし、まだまだ先のことだと思っていた。

「あ、白髪生えてるね」とご丁寧に教えてくれたのは、いつも担当してくれている美容師さんだった。毎日鏡で自分を見ているにも関わらず気付かなかったのは、白髪が生えていたのが後頭部だったからだろう。
美容師さんに言われて初めて、自分に白髪が生えているということを知ったのだが、本数としては多くないだろうと思っていた。すると、なんと「いや、結構あるよ」と言われてしまったのだ。
この瞬間から、私と白髪の戦いが始まったのだ。

そこから遺伝の問題なのか、ストレスの問題なのか、生活習慣の問題なのか、何なのかはよくわからないが、前頭部・後頭部・左右に関わらず、私の頭に白髪が発生するようになった。毎朝毎晩、鏡の前でひたすら髪の毛を掻き分け、白髪を発掘し、できるだけ根本に近いところで切る日々が始まった。朝には絶対になかったのに、夜のチェックではある程度長さのある白髪がひょっこり出てきたことは、一度や二度ではない。「お前、どこにいたんだよ……」と、白髪相手に呆れた顔をしてしまうことも、一度や二度ではない。

一旦の解決策として、全体的に髪色を明るくし、ハイライトを入れることで白髪をぼかすことにした。白髪がなくなったわけではないし、毎朝毎晩のチェックは引き続き抜かりなく行っているのだが、かなり目立たなくなった。

そして先月。
白髪チェックを終えた私は、眉毛を整えていた。洗面台の蛍光灯をつけて、抜いたり剃ったりして形を整え、量を調整していた。その時、右眉の真ん中あたりに、やたらと光る眉毛が1本見えた。蛍光灯を点けていたので、光の加減か? と思いながら目を凝らして見てみたが、よくわからない。量的にも、抜いても問題なさそうな場所だったので、抜いてみた。抜いた毛を見た瞬間、私は「ひえぇ……!」と思わず小さな悲鳴をあげてしまった。

白髪の眉毛だった。
毛根から真っ白な、紛れもない白髪だった。
しかもめちゃくちゃしっかりした、硬めの毛質だった。
なんで白髪ってこんなに力強いんだよ。

ショックだった。頭髪ならまだしも、眉毛が白髪だなんて。
この1本だけだろうかと怖くなり、念入りに捜索したところ、右眉に2本、左眉に1本の白髪眉毛が発見された。嘘だろ。私、まだ32歳だよ。なんで眉毛に白髪生えてんだよ!!!

……ということを、年末に帰省して、祖母・母とこたつを囲んでいた時に、1つずつ打ち明けた。

「白髪がめっちゃ増えてさ……」
「わかるわ~」

と答えるのは祖母である。
祖母82歳、私32歳、ちなみに母は59歳。
59歳の母を押しのけて、82歳の祖母が、32歳孫の私の悩みに激しく共感しているのである。

そして
「ついに眉毛にも白髪が生えてさ……」
「おばあちゃんもやねん」
と。

まじか。これもか。
82歳の祖母と同じ悩みを、32歳にして私は持っているのか。

「おばあちゃんも最近眉毛に白髪が生えてきてやな……」

え、おばあちゃんの眉毛に白髪生えたの、最近なのか?
私、先月生えたのだけども、祖母が82歳にして眉毛白髪デビューならば、私が32歳で眉毛白髪デビューするの、どう考えても早すぎないか? え、どうなってんだ、私の眉毛!!!

50年後に抱えるべき(?)悩みをすでに抱え、少し茫然としている私を前に、「まぁ、若いあんたも同じ悩みやったら、おばあちゃん大丈夫か」と安心している祖母がいた。そんな私たちを困ったような、どう声をかけたらいいのかわからないような、複雑な顔をした母がいた。

頭髪、眉毛、と来たら、次はどこに白髪が出現するのだろうか。
きっとどこに出現しても、祖母に話すと「わかるわ、おばあちゃんもな……」と言われるのだろうが。

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