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大好きな看護助手Nさんの話

閉鎖病棟3回目の入院はコロナが流行っていた頃で入院初日は保護部屋に収容された。
閉鎖病棟での一人部屋は初めてで、室内にはトイレ、洗面台まで付いている。頻尿の私にとってありがたすぎる。嬉しいYO!

翌日、陰性だと判明したけどそのまま保護部屋にいさせてもらう事になった。ありがたい!!

 保護部屋。 別名・天国部屋

 保護部屋は看護師や助手が食事の上げ下げをしてくれたり、トイレと洗面台の掃除をしに来てくれる。そんないたせりつくせりの状況で私は王様気分。苦しゅうないぞ。洗面台も付いているのでドリンクバー気分。1人ガスト。

保護部屋は自分の意思では外に出られないと思い込み家族に電話する時だけしか出なかったが勘違いだった。そもそも部屋に鍵が掛かっていない。
そうとは知らず、今回の入院は部屋でこもって自分の心の中の整理をしようと常にノートに向き合っていた。体が疲れたらヨガ。のどが乾いたらドリンクバー。当時の様子をマンガにしていたけど、紛失してしまった。見つかったら後日アップするね。

そんな中、よく掃除に来てくれる助手のNと出会った。Nさんは顔も体もまん丸でいつもニコニコ元気いっぱい。すごく明るくてすごく面白くて大好き。
Nさんが部屋に来てくれると嬉しくて「やったー!Nさんだ!」と喜んでいた。

Nさんはここの患者を愛していた。
「うち、ここの患者はんがえらい好きでね。
床に伏せてる人、話せへん人、認知症の人もおるけどなぁ、みんな愛しいんや。
みんな生まれた時に名前を付けてもろうてる。そら愛された証拠やんな。みんな一人一人愛されてる。一人一人大切な人間。
うちはそれが愛おしいんや」
そう言ってニコニコ笑っていた。私はそんなNさんが大好きだった。この世の看護師と助手がみんなNさんみたいな人だったらいいのになとも思った。


それからなんやかんやで退院し、なんやかんやで閉鎖病棟4回目の入院でまたNさんに会えた。この時はいつでも絵が描けるようにとエスキース帳とシャープペンを持参していたけど、途中でシャープペンの芯がなくなってしまい、だからといって80円の鉛筆を売店で買うのも悔しくて拗ねていたら患者仲間がクリップペンをくれたのでそれを愛用していた。ありがとうね。すごく嬉しかったよ。ちゅっ。

 競馬とかでよく使われてる

 クリップペンを手に入れた私は早速Nさんを描いた。自分でも驚く程に早く描けた。1分くらい。絵を見せると「うわ!似てる!」「そっくり!」「私も描いてー描いてー」と周りの看護師が集まってきた。周りがキャーキャー騒いでいる中、Nさんは「うれしいで。ほんまにおおきに」と言って笑ってくれた。

Nさんの似顔絵  2021年12月13日


「この絵あげたいんだけど、私も持っておきたくて。あ、Nさんがスマホでこれ撮ればいいのでは?」という私の提案に頷くNさん。就寝前に私のベッドまで来てくれた。この時は4人部屋だったのでNさんは音を立てないようにコントでよく見る泥棒の様な仕草だった。
Nさんが絵を持って私がスマホのシャッターを押す。殺した声で「はいチーズ」
ニコッ!
思いのほか音量大きめの「カシャ」
あわわ!どうしよう?バレた?バレた?大丈夫?大丈夫?あははーと2人で笑う。
シー、と人差し指を口に当ててNさんが紙切れをくれた。LINEのIDが書いてある。嬉しい。退院したら絶対LINEする、しますとも。

それから数日後、退院してすぐにLINE。私が口説き落としてNさんとガストでお食事することになった。通称ガストの会。
大好きなNさんへの愛を伝える為、Nさんの人形とペットの猫2匹を作ってプレゼントすると大喜びしてくれた。

Nさんとニャンコ

この時も色んな話をした。
Nさんはヘルニアでコルセットを巻いてどうにか仕事をしている。家に帰ると腰が痛くて泣いてしまう。色々な悩みがあって実は精神科に通っている。

驚きの連続だった。いつもニコニコ笑顔で元気なNさんがこんなに大変な思いをしているとは微塵も感じなかった。入院中、私が踊りながらNさんに近づくとNさんも踊りながら話をしてくれた。そんなNさんが。信じられなかった。
けれどもNさんのすごさはここからだった。

「そやけどなぁ、うちは仕事好きやで。
患者はんのおおきにっちゅう言葉で疲れも腰の痛みも吹き飛んでまう。まあ、後で痛いんやけど。
うちには子どもがいーひんの。そやけど患者はうちにとってのこども。そやさかいうちは幸せやで」
そう言っていつも通りの笑顔のNさん。私はNさんを愛の人だと思った。
私はNさんと出会えただけで入院した価値があった。Nさんという素晴らしい人間と巡り会えた事に感謝して止まない。

この記事を書いていたらNさんからLINEがきた。
「こんばんは🌙 暑さに負けてしまいました」
なんだかよく分からないけどNさんらしくてかわいい文章。また近々Nさんとガストの会を開きたい。もちろんドリンクバー。色んな話をしたい。楽しみだな。私はNさんが大好きなんだ。



終わりに
Nさんは京都弁なんだけど、私は京都弁が分からないので方言変機を使って書いた。多分変だと思うけどごめんね。許してね。ちゅっ。

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