報われなかった努力に救われた


(続)肯定材料







ー 人のいる世界で、私が生きていく





3月に入って暖かくなってきた頃、
ちょっとずつ仕事も復帰してなんとか動けるようになった。

メンタルに蓋をするように、またたくさん働いた。

2回目の休業もあったけど、他店舗にヘルプ行ったりして結局30連勤とかしてた。
よく倒れないと思うよ我ながら。

5月、嫌な事があって、ご飯が全く食べられなくなった。2週間足らずで体重は5.6kg落ちた。
色んな人が話を聞いてくれて、遊んでくれて、一緒にいてくれて、吹っ切れられて、めちゃくちゃ人が嫌いだった私が

「人っていいな」

って思えた。
人に苦しめられてきたけどその分人に救われて、この歳になってようやく人間を好きになれた気がする。

仕事でも業務と責任に押し潰されそうになってたけど、助けてくれる人がいるから頑張れた。

ありがとう、みんな。


6月頃、とある人と仲良くなった。
ご飯とか行くようになって、私の過去の話も聞いてくれて。
全部隠してヘラヘラ生きてきた私が、弱いとこ見せられるのは自分でもビックリした。
直感でこの人だったら話しても大丈夫って思ったんだと思う。
甘えすぎるのは良くないけど、信頼できるって思った人。
信頼できるって思った私を信じようって初めて思えた。


あと一番大きかったのは
「自傷を辞めたい」
って私が思った事。


「辞めなきゃ」
じゃなくて「辞めたい」


これは黒田さんの声でもなく、茜さんの声でもなく、私の意思。
そのためにどうすればいいか、たくさん悩んで考えた結果、


《黒田さんと茜さんを消す》


つらくなったとしても、私が私を守る。信頼できる人を頼る。

2人がいる限り私は傷付ける事を辞められない。

覚悟を決めた。

今度こそ。絶対に。もう私は負けない。
その覚悟を形に残した。

私が私でいられる唯一の場所、ライブハウス。大好きなアーティストの音楽のある場所。
散々苦しめられた大嫌いな右足に大好きなアーティストに関するデザインを刻んだ。居場所を教えてくれた大切なアーティスト。

大嫌いな体を好きになるために。これからもこの体と共に生きていく。私が私として生きていいんだよ。
その想いを込めて。

このやり方が正しいのかどうかはわからない。
人に勧めようとも思わない。
だけど私が正解だと思った事だから、私の意思で決めた事だから、
誰になんと言われようと一生この覚悟を守り抜く。

動かなきゃ何も変わらない。







ー 大切




夏から年末まで仕事がとてつもなく忙しくて、毎日12時間労働でほとんど休みがなくて。
そんな中でも大好きなライブに行ったり友達と会ったり。

私を大切にしてくれる人がいるから、
私が私を大切にしたいと心の底から初めて思った。


地獄の9月を迎えて相変わらず漠然とした恐怖に襲われる日々。

初めて人前でフラッシュバックを起こした。
どうしようもないほどパニックになった。

けどパニックを隠せないほど、この人の事を信頼出来ているんだなと思ったのも事実。

本当に感謝しかないです。
ありがとう。出会ってくれて。









ー 逃げる事






25歳になった秋、新しい目標を思いついた。


《年内に家を出る》


ずっと阻まれていた事。動くなら今。
私を大切にするためには家を出なければ。

もちろん母親に相談はしなかった。
何を言われたとて強行突破できる状態にしてから報告しようと思った。
テニス辞める時と一緒で。


二十歳で家を出ると決めてから5年かかって12月、私は家を出た。
私が私のために生きる空間を手に入れた。地獄から逃げた。


気が付けば私は、
‘ 障害を持つ可哀想な娘を育てる立派な親 ’
の演出材料だった。
両親はいつでも、人に私の姿を見せて「可哀想でしょ〜」って言ってた。
だけど「悲劇のヒロインぶるな。」って言うし。その割には、「どうせひとりじゃ生きられないんだから障害者らしくしてろ」って言われてきたし、最終的には、「全部あんたのせいだ」って丸め込んでくるところまでがデフォ。



知らねえよ!!私は私の好きなように生きるよ!!!
もう操り人形でも駒でもなんでもねえ!!!!!私は私だ。



友達みたいに家族みんなが仲良い人たちを見て嫉妬した事も、たくさん褒められたり可愛いって言ってもらえる子を羨ましいと思ったことも、もちろんある。
いつだって祖父に欲しい物ホイホイ買ってもらえる弟に反して誕生日すら忘れられる自分に劣等感を感じた事もある。
親に「気持ち悪い。」って言われるの、普通じゃなかったんだなあ…。

今となっちゃ、この世にいない人を恨んだって仕方ないし、’ 旦那を亡くした人 'に感情移入してしまうんだけども。

私は、辛かったら逃げて良いって事を学んだ。四半世紀生きてやっと。
私として生きて良いんだよ。戦い続ける必要は無い。

今まで育ててくれてありがとう。

言われた言葉、された事、態度、きっと一生忘れないんだけど、
そのおかげで障害を感じさせないくらいに強く生きてやるよって根性で今日も生きてる。いろんなとこ悪いけど。
たくさん背負った分、自分に強く、人に優しく生きようって思ってる。

強くなった、と言えば嘘になるかもしれないけど。
この一年は私にとって大きく変わる年になったのは間違いないです。
報われない努力なんて腐るほどにあるけど、死ぬ努力が報われなくて良かった、と心から思えた1年だった。

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