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パラパラなチャーハンとあるべき社会のために

パラパラのチャーハンを作りたい。 炊き立てアツアツのお米を使うのではなく、冷やご飯を水洗いしてからざるで水を切って、そこから炒めるとどうやらパラパラになるらしい。いつもその加減がよくわからなくて、これが正解のチャーハンか?と思いながら食べることになり、鍋肌に醤油を回し入れる行程で焦げついたフライパンをがしがしと洗う羽目になる。 パラパラのチャーハンは難しいが、それでも私たちはパラパラのチャーハンを時に自分の手で作ることができる。「作るって本当に楽しい!CANMAKE チャ

    • いびつな並列のために

       私は、現行の法整備では意中の人と制度的な婚姻関係を結ぶことが叶わない。今後の人生において、事実上の配偶者と遺産を分配することも、病院で相手の死に目に立ち会うことも、養子を迎えることも叶わない。異性婚ならすんなり手に入れられる自由や権利を、私たちはなぜか戦いとらねばならない。愛する人と二人でいるための理由に大層な肩書きは要らないが、性急な用事を目前にして社会的なハシゴを外されるようなことがあってはならない。不遇な差別を受けるなんてことも、もってのほかだ。  今後、社会的な不

      • あわや、皿の塔に卒倒

        ショッピングモールに並ぶ衣類の山を見ては吐き気を催すようになった。白物家電が並ぶ家電量販店の情報の多さにも耐えられない。「省スペースを叶える」「春に備えた」「今より少し便利な」雑貨の数々、消費のために踊る謳い文句たち。それがどうしたのだろう。流通の波に乗るべく規格化された「商いのための品」が嫌いになって、もうすぐ一年が経つ。 何かを新調することや新しくものを生み出すこと、例えばスニーカーをひとつ買うとか、土を焼き締めて自然に還らない状態にするとか。そういうことに抵抗感が芽生

        • すくわれた季節

          ずっと張り詰めていた、長くて長くて一瞬だった。終わってくれるな、と思いながら目に写るすべてを焼き付けて過ごしたこの一週間の、この一年の、どの瞬間も忘れることはないだろうな、それくらい、自分にとっては大きな意味を持つ展示だった。自然光がドカンと入るあの教室のまんなかで、木をやすったりペンキを塗ったり、完成した展示を見て、いろんな人と言葉を交わしたりしているうちに、宝物になった。今後どれだけつらくて大きくて分厚い壁に道を塞がれたとしても、強く生きていける。自分の作品の足元に金色の

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          ヤンキーになる

          優秀学生賞ザヤンキーなるものを開催しました。 四年間(三年間か)頑張ってきた人が、四年次の前期に表彰される制度が大学にあって、それのヤンキー版。GPAとかでは計れないけどそれぞれなりに矜持をもって頑張ってきた人たちをまるごと祝福するための場を作りたいと思ったのが、優秀学生賞のパネル展示が終わる3日前くらい。学内のギャラリースペースが空くのを見計らって、みんなからテキストと写真を集めて実際の優秀学生賞パネルのフォーマットみたいにして、カッティングもステートメントも揃えて、みん

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          2672gの履歴書

           「この選考シートが一目であなたのものだとわかるように工夫してください」  先頃受けていた会社の一次選考。規定のシートのいくつかの設問に答えた最後、そんなお題が書かれてあった。制約はA3サイズでの出力ということのみ。紙面をデザインしろという意図なのだろうけど、なにか分厚かったり重みがあればより自分のものだとわかりやすいかと考えて、2kgのクソ分厚い塊にして新卒採用宛てに送りつけた。1週間後、一次選考通過の連絡が来た。  私は、人よりも少しか弱い体で生まれてきた。生まれた瞬

          2672gの履歴書

          豊島美術館をチョコレートで作る

          はじめに私たちの生活はあらゆる社会基盤、いわばインフラストラクチャーにアクセスすることで成立している。蛇口をひねれば水が出て、スイッチを押せば電気がつく。amazonで注文した商品は翌日手元に届き、ゴミ置き場に出したごみは定期的に回収され見えなくなる。建築の壁を挟んで、こちらと向こう。ブラックボックスとなったその入力と出力に、私たちは曖昧なままでいる。大元が寸断されることで機能不全に陥る社会システムの脆弱性を、私たちは先の災害で幾度となく経験してきた。いま自分たちがいる環境を

          豊島美術館をチョコレートで作る

          6月25日

          台所は、不思議な場所だな と思う。 一日ひとつ、料理を作るようにして、一週間が経つ。テレビで見たのや、フォロワーの人が作るもの、同期や後輩の子たちがインスタに載せる料理などなど。とりあえず自分がおいしそうだ(かつ、できそうだ)と思ったものを片っ端から真似をして、朝のうちに買い物に出る、一日のどこかで作る。作っているうちは他のことを考えなくて済むから(というよりは、そんな余裕がなくなってしまうから)、少しだけ健康でいられる。洗い物もごみ捨ても全部後回しにして食べることができれ

          6月25日

          9月16日

          マジで貧弱だし、そういえばムキムキになったことないな と思ったので、とりあえずムキムキになろうと筋トレに励んでいます。腹筋運動にさしかかると「この運動は尾てい骨のことを考えていますか?」と尾てい骨からエラーが出ておわるのでなかなか続かない。 弱すぎる

          9月16日

          乳首のプレゼンをした話

          昨年あるコンペで賞をいただくことができた。8分間のプレゼンを経て。 __ 何の気なしに応募したコンペの事務局から電話があったのは、8月も終わろうとしていた頃。クーラーが少し効き始めた部屋で朝ごはんを食べていた時のことだった。 「あなたの応募した(作品名)が一次選考を通過しました。2次審査に向け8分間のプレゼンをご準備ください。」 衝撃だった。通った、ということよりも、途方もなくぶ厚すぎる二次審査の壁。こんな思いつきのどうしようもないアイデアで8分間どないして喋れ言うんや 

          乳首のプレゼンをした話

          自己肯定感を上げる話

           年明けからこんなことを言うのもなんだけど、僕はかなりダメダメな方だ。なんというか、人間生活全般において。  アルバイトは続かないし、人とはうまく喋れない。部屋が散らかっている。機転が利かない。人参とかもできるならあんまり食べたくない。自分のだめなところなんて挙げはじめたらキリがなくて、今だって年末から始めたうどん屋のバイトを辞める口実を考えている。根気がなさすぎる。だって向いてないんだもん、接客。  地元の大型複合施設、名の知れないうどん屋チェーンのホールスタッフ。

          自己肯定感を上げる話