ひとりぼっち

外の広場にあるベンチで休憩していたら、電話をしている女性の声が耳に入った。悩み相談みたいな感じで話を聞いているようだった。

「それはつらいよなあ」とかそんなことを話していた。
どうやら父親に問題があるらしく、それで大変な思いをしているようだった。

途中、向こうの人がかなりしんどいらしく、電話をしているその女性もだいぶつらそうだった。「あなたは悪くないよ」「でもお父さんも変わらないんだもんなあ」「つらいなあ」……かなり長い時間話していた。私は時間になったのでそこを離れた。

気になって耳を傾けてしまったけど、聞いていて苦しかった。自分もそんなふうに辛い思いをしたことを思い出してしまった。胸がどくどくした。

親への恨みなどはない。思うことは色々とあるけれど幸せを願っている。精神病の親の言動で傷ついたけれど、親が苦しまなければならなかったことも含めて私は悲しいのだ。

ただ、やっぱりあの頃を思うと今でも苦しい。つらい。そして、あの電話の女性のような人が当時の私にもいてほしかった。それを強く思ってしまった。

今日のこんなことだって、話せる人がいない。
あの頃からずっと私は話を聞いてほしかった。

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