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あと少し、身体の欲求と脳の欲求の狭間で揺れ動いて涙する。

食器も洗って、髪も乾かして、明日着る服も用意して。
準備万端で寝床へと潜り込む。
そこからが私の読書タイム。
つまり夜。
眠りにつく前のひと時。

以前までは、揺れる電車内で読書をすることが多かったけれど、今はテレワークで電車に乗ることがほとんどない。
定期券がないというのも地味に痛い。

眠る前に読みだした本は、時に私を眠りから引き離す。

あともう少し。
きりが良いところまで。
この章を読み終えるまで。

なんだかんだと理由をつけては、指がページをめくり続ける。
物語は続く。世界が広がる。

けれど限界は訪れる。

私の意志とは関係なしに脳は眠りの沼に沈みたがる。
支えきれなくなった本が私の視界を塞ぎにかかる。
抗う瞳が涙に濡れる。
悲しい物語でも、感動に打ちひしがれる物語でもないのに。

それでも私の指はページをめくる。
たまに思う。
こんなにも必死になって、今この瞬間にこの本を読む必要性があるのだろうか?

眠りの沼に落ちるのか、本の鎖に捕らわれるのか。
身体の欲求に身をゆだねるのか、脳の欲求に身をまかすのか。

ゆらり、ゆらり。
たゆたう狭間を行ったり来たり。

分かっていることは1つだけ。
どちらにせよ、翌朝のけたたましく鳴る目覚ましが恨めしい。

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