日々是メモ 「『生き物の死にざまーはかない命の物語ー』を読んだ」

7月21日水曜日の気づき

・植物 過去にメモした「ヘクソカズラ」の花が庭の柵になっている。
つるを元気に伸ばし、その長い茎の合間合間でヘクソカズラの地味な花(すまん)がちょいちょい咲いている。この花の落ちた姿が、どうしてもぱっと見、死にかけか、もしくは脱皮前後のダンゴムシに見えて、「これはっっ」と凝視してしまう。まぎらわしいヘクソカズラの花である。
そして申し訳ないが、本当に非常に地味な花だなぁと毎日思う。(秋になる実はかわいい)


・読書 『生き物の死にざまーはかない命の物語―』稲垣栄洋(草思社)を読んだ

まず表紙がかわいい。かわいいのになかなかな本のテーマ。
見た目を裏切ることなく、とても読みやすい。文字が大きめで内容は動物ごとに分けられている。動物ごとに、おそらく著者の目にとまる(著者の気になった)生き死にについてまとめられているので、内容構成もとても読みやすい。気になる動物から読んでもいいのだろう。子供も読みやすいと思う。

かわいく、よみやすく、やさしい印象なのに、本題とは少し別の場所(表紙の裏にあたるような場所など)にちりばめられている言葉が、ダイレクトに生死を突きすような言葉なのが、またいい。
「生きるということはなにかの命をいただいていることだ」という言葉のように、生きる残酷さというか過酷さも、本のデザインからすら察することができる。(この言葉は今回のこちらの本とは関係ない)

動物の生きざま・死にざまを読んでいくうちに、母性愛のようなものに感動して生き物への愛で胸がいっぱいになることもあれば、子供から成長して大人になるまでの過酷さや食物連鎖に負けていく生き物への思いで胸がいっぱいになることもあり。そんな中でも私が一番刺激を受けたのは「ヒョウ」の項目だった。

八月になると大阪の天王寺動物園では、たくさんの動物たちの剥製がならべられた展示会があるそうだ。この剥製となった動物たちは「戦時中の動物園」の動物なのだそう。この戦時中の動物園の話が、私にはとてもとてもととても、衝撃的な内容だった。

動物たちの知らなかった生態についてたくさん知ることができるのが、この本を好きだと思う最初の理由。また、文章や着眼点から著者の人柄も感じられて、その人柄が好きだと感じる。もうひとつ、とはいえ「生きる」ことの残酷さも思い出させてくれるのがこの本の好きな点である。

のうのうと暮らしていると(これはこれでとても大切なことなのだが)ついうっかり忘れてしまう、生と死のことと、周りの生き物のこと。
かわいい本なのに、それをふと思い出させてくれそうのが、この本の魅力だと感じた。
今回は図書館で見つけて読むことができたが、ぜひ購入して手元に置いておきたいと思った。ふと気が付いたときに、大局観のようなこの気持ちを思い出すのにこの本がトリガーになってくれるような気がする。(こんなにかわいい本なのに)

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単純に「生き物としての命」として考えれば、自分の命だって牛のいのちだって近所の猫の命だって、家族の命もミミズの命だって等しいと思う気持ちを根底に。この本を読んでいて、ある生き物のその死に際に人間がかかわっていると、自然のなかで自然の摂理で死ぬ生き物よりも、人間がかかわって死んでいく生き物の死のほうが、感情が揺り動かされてしまう自分がいた。

これが人間の性なのか?と、命は平等だと思っていながら感情の揺れ方が違う自分がいかにも人間であることを痛感して、少し嫌にもなったのだが、嫌になること自体がおこがましいのかもしれない…とまるで哲学か!というドツボにはまりかけて、「だって人間だもの。」とこれまた都合のいい着地で考えるのを終わりにした。

そして気づいたが、この悶々とした生物と人間と生死とかいった大きな悩み(語彙力がない)に向き合っていたのが漫画版のナウシカな気がする。一瞬、私もナウシカの境地にほんの一瞬(片足のつま先の先だけ)立てた気がした。「だって人間だもの」で私は投げ出したが、少しうれしかった。
しかし、こんな大変な境地に向き合ってきた宮崎駿はそら大変だったというかキツイというか早く終わりにしたいと思っただろうなぁと、宮崎駿って(いろんな意味で)やっぱり普通じゃないなぁと思ったのであった。




・育児 明日からの4日連休がこわい。わが子の体力についていけるのだろうか。仕事のプレゼンでもあるときのように今週はずっと週末への不安が頭の片隅にある。


・人間 8月にむかって季節がすすむ中、真っ青な青空に一筋のとても長い飛行機雲があるような情緒的な思いになりやすい空を見ると、どうしても過去の戦争のことを考えてしまう。梅雨が明けて少しして、いよいよ夏本番だよ、と毎日セミの声が聞こえ始めるこの時期特有かもしれない。
 こんなに晴れて「あぁいい天気だなぁ」と空を見上げるような日に、原爆が落ちたのかなと考える。
空を見上げた同じタイミングで、もしいまあの時と同じ状況になったら、と考えてしまう。ただでさえ夏で暑い中、人工的にあんな悲惨な世界になる日常が起きたら。青空に異物が落ちてくるイメージまではいつもするのだが、すぐに思考を止めたくなり、空から目をそらしてしまう。その日はしばらく空をみあげられない。
過去の日本に思いを馳せたあとの青空は、どうしてもどこか涼しく悲しく見えてしまう。ここまでがこれまでの私だが、これからはこんな気持ちになったときは、せめて過去つらい状況を生きて死んでいった当時の人々へ、心のなかだけでもいいから合掌をしようと思った。


・エンタメ 30歳を過ぎてから博多・華丸大吉さんが好きになり、タイミングが合えばNHKの朝の「朝イチ」で二人の顔を見るのが好きなのだが、今日からオリンピック特集番組になっていた。朝から櫻井君が見えたのもまたうれしい。嵐のカイトも朝から聞けてうれしい。リフレッシュモーニング!


・ニュース 今も熱海の土砂災害の捜索を行っていたり、京アニ事件から数年のタイミングだったり、池袋の車暴走事故の裁判のことが新聞にあったり。オリンピックの祭典に入っても、気にかけている内容はしっかり追いたい。


・今日のおめでとう 少し前まで録画したお笑い番組を見て笑っていた午前中の時間を、読書タイムにできたこと。
お笑い番組を見ることも、笑顔になれて表情も気持ちも前向きに明るく過ごせるので大好きなのだが(時にイライラしているときは重要な気分転換の時間になる)、読書から得られる脳みその活性化具合は、一日をとても充実した気分にさせてくれる。新聞を読むことがつらい時期があったが、(活字が頭に入ってこないのだ、あの現象は辛い)今は新聞も難なく読める。
読書時間の影響があると思う。活字離れという教育?の問題は、確かにあるような気がする。




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