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電通プランナー明円卓が考える「SNS時代に応援されるアイデア」


「テテマーチ勉強会」に参加してきました。

「テテマーチ勉強会」とは、
SNSマーケティングを中心に事業展開しているテテマーチ株式会社が主催している、マーケティング手法について学べる勉強会です。
業界の第一線で活躍するプランナーやマーケターをゲストにむかえて、
定期的に開催されています。

今回のゲストは、
電通のCMプランナー明円卓(みょうえんすぐる)さん。

auの「三太郎シリーズ」や「意識高すぎ!高杉くん」のCMを担当されている方です。

友人の近藤雄介くんが明円さんと会社の同期で「すごいやつがいる!」とウワサに聞いて気になっていて、どんな方なんだ…?とドキドキしながら参加してきました。

勉強会は1時間でしたが、明円さんの手元には、とても1時間分とは思えない量の資料が…すごい!

SNS運用について、タメになるお話たくさん聞けました。

せっかくのステキな話、ひとりじめするのはもったいないからシェアします!!

たまーに憑依したかのように私が言ってるみたいな書き方になってるけど、「わたしの」と前置きしているところ以外はほとんど明円さんのおことばです。誤解なきようよろしくお願いします!

(勝手に書いたレポートを明円さんに送りつけたら「よければ使ってください!」とスライド資料を送ってくれました…ということで、いただいた資料とともにお送りします!なんていいひと…!!)

(黒キャップがゲストの明円さん。白Tが主催のふくまさん)

(勉強会中ツイートをまったくしなかったので、参加者の方々、ツイートお借りします、すみません…!)


SNS時代のコンテンツの見られ方

今の時代は、
ツイッターやインスタグラムで話題になったものが、流行っている。

 誰もが流行をつくれる可能性があって、
「応援されるアイデア」こそ、今いちばん得をするはず。

そういうルールで、SNSが設計されているから、
このルールをどう解釈して企画するのかが大切。

ツイッターを例にあげると、
いまは、RT(リツイート)より、♥(いいね)が大事だと明円さん。

一昔前は「RTお願いします!」「拡散希望!」
というワードが目立っていたけど、いまはあまり見かけなくなった。

その要因として、2017年頃のツイッターの仕様変更で、
他の人の「♥(いいね)」がタイムラインに流れてくるようになったことが大きいのではないかと。


例として、わたしのタイムラインで確認してみましょう。

たしかに、友人のいいねが表示されています。
(くつざわさん、かわいいしおもしろいよね)


炎上だったり悪口ばっかりで「終わってるなー」と批判される側面もあるけど、その一方で、ツイッターにはみんなに「いいね」って言われるコンテンツが集約されている。

他人の「♥(いいね)」がタイムライン上で表示されるようになったことで、新しく知識を得る場として活用されるようになった。

その結果、ツイッターは気張らずに楽しめるコンテンツに。

リツイートするのってけっこう考えちゃうところあるけど、
いいねはわりと気軽にできる。

「かわいい!」「おもしろい!」って思ったらポチッとしちゃうもんね。

だから、自分自身も「いいな」「素敵だな」って思える(思われる)投稿をすれば「♥(いいね)」してもらえるようになるはず…!というある意味単純だけど、みんな意外とできていないよね?なことを、明円さんはお話していました。

ツイッターのあり方は、バズ狙いからコミュニケーションへ。

肩肘張らないやりとりが、結果的に大衆に広がっていくこともあるかもしれない。

ありのままの自分でも認知される可能性を秘めてるなんて、夢があるなあ。


応援される「3つのキーワード」

ここからは、明円さんのお仕事の話も交えつつ、応援される「3つのキーワード」をもとに、それぞれの方法論を紹介します。

①「好き」で応援される

ひとつめは、「好き」で応援される。

ツイッターには悪口を書いている人もいて、それが人気になることもあるけど、やっぱり、何かを「好き」と言っているアカウントのほうが支持される傾向にある。

たとえば、こちらのアカウント。

元宝塚の奥さまとの日常を発信している人気アカウントです。

なかよしすぎて、みてるこっちまでしあわせ気分になれる。

(いいですねえ…うらやましい…)

家族とか恋愛だけでなく、
有名人のなかよしグループも人気があるようです。

芸人でいうと、千鳥やサンドイッチマン。
アイドルだと嵐とか。

仲のいい人たちって、みてるだけで安心するもんね。

愛される要素のひとつとして、
視聴者の気持ちをゆるませるっていうのは、大事なのかもしれません。

ホッとできてハッピーになれるから、なかよし売りは愛される。

なかよしが売れる価値の考察については、こちらのコラムでもお話されていました。もう少し詳しく知りたい方は、どうぞ。


【人は好きを否定できない】

なぜ「好き」が応援されるかと言うと、

と明円さんは言ってました。

この考え方は、仕事で企画をするときも大事にしているそうです。


「○○がいちばんだよね」という言い方をすると、
わたしはそう思わないな〜、と否定する余地ができてしまうけど、

「○○がすきなんだよね」という言い方をすると、
そうなんだね!となり、否定する余地がなくなる。

何かと比較し意見する「Think(思う)」よりも、
「うわー、これすきだなー」っていう「Like(すき)」を表現したほうが支持されやすいんだそうです。


②「超をかし」で応援される

ふたつめは、「超をかし」で応援される方法。

「をかし」っていうのは、
「すごい!」「おもしろい!」「かわいい!」のこと。

ただの「をかし」だとみんな慣れているから、「超をかし」まで持っていくと、興味をひきやすいそうです。

たとえば、これとか。

おもしろいですねー。
ポジティブな笑いと驚きがあって、いいねしちゃう。

あとは、これ。

めちゃくちゃかわいいいい!!!いいねいいねいいね!!!


③「困ってます」で応援される

「好き」はなかよし売り。
「をかし」はポジティブな発見で興味をひく。

どちらも、いいねを獲得するためのアイデアでした。

さいごの「困ってます」は、
RT(リツイート)も♥(いいね)もされるという、無敵の方法論。

まずは、例をご覧ください。

おかしの「プリッツ」の広告です。

毎年11月11日は「ポッキー&プリッツの日」なのに、
世間では「ポッキーの日」になっている。
という理由で「プリッツ」がつらがっています。

知らなかった!という方もいると思うので、日本記念日協会(記念日の申請登録を行っている団体)のホームページで確認してみました。

完全に「ポッキー&プリッツの日」ですね…
プリッツさん、すみません…

認知が得られなくて「困っている」を全面に押し出した新聞広告がキッカケで、プリッツは応援されるように。

「#プリッツがんばれ」で検索をかけたら、
たくさんの応援ツイートがみつかりました。


(ほほえましいですね…!)

プリッツ現象を例にあげましたが、人間でも同じことです。

「産まれた猫もらってください」とか「レストラン予約ドタキャンされた食べにきて」とか。困っている系のツイートには、みんな反応するんですよね。

結論、

SNSは、困っている人にめちゃくちゃやさしい。

すばらしき世界。


SNS時代の企画の見られ方

SNS発信で流行が作られていく今の時代。
広まっているものの中身を分解していくといい。
広告以外のところにヒントがあるから、
それを広告とかマーケの企画に生かすようにする。

たとえば、この動画。

2019年の春、工事中の渋谷のシャッター壁画を一般の方が撮影したもの。

この動画、きれいに編集された本家ものがyoutubeにあがっていたのですが、本家動画よりも、ツイート動画のほうが人気があったそうです。
(本家はこちら

SNS発信で流行がつくられる今、
みんな「つくられた美しさ」よりも「多少崩れていてもリアルなもの」「体験」を求めている。

少しくらい手ブレしたり、影がうつっているような、
人間臭い、生っぽいものが好かれるんです。

だからこそ、

見られ方にめちゃくちゃこだわろう!!

という気持ちを仕事する上でも大事にされているそうです。

駅の壁一面に広告をだすとなったら、
原寸大のコピーをとって、会社の壁に貼って検証してみたり。

チームで共有できるツイッターのアカウントを作って、
ツイート時のレイアウトの検証をしたり。

仕事でのポジションも中堅になったいま、
施策に再現性があるか?に重きを置いて企画を練っているのだとか。

いい施策に出会えた時は、
自分ならどう思いつけたか?辿り着けたのか?を深く考えるそうです。


カンヌライオンズ2019の事例を考察してみた

後半は、明円さんが参加された「カンヌライオンズ」というクリエイティブアワードの事例をもとに、マーケティング手法について勉強しました。

カンヌライオンズとは、毎年6月にフランスのカンヌで開催されている、全世界のクリエイティブやプロジェクトのアイデアを集めて「いいアイデアってなんだろう?」を考えるイベントです。

カンヌについては、広告超好き!って人じゃないとむずかしい話なのかなあと思ったので、明円さんが紹介されていた事例の中から、特に興味深くてわかりやすかったお話をふたつほど、シェアします。

広告あんまわかんないな〜って方も、よかったら見ていってください!


【ウェンディーズが流行に乗っかって、グランプリに!】

みなさんご存知のウェンディーズ。日本でもおいしくて人気ですよね。

その海外ウェンディーズのCMが、カンヌライオンズのソーシャルインフルエンス部門でグランプリを獲得。

ソーシャルインフルエンスとは、社会的影響をさす言葉です。

欧州で社会現象を起こしたウェンディーズのCM。
さっそく見てみましょう。

おもしろくないですか?

こちらの動画、世界的に大流行しているオンラインバトルロイヤルゲームFORTNITE(フォートナイト)に、ウェンディーズのマスコットキャラクターの女の子、ウェンディーを登場させているんです。

フォートナイトって、もともとはキャラクターとキャラクターが殺しあうゲームなんですけど(過激な表現ですみません…)ウェンディーが向かう先は、人ではなく冷蔵庫。

冷蔵庫に入っている大量の冷凍肉と戦う!という名目で、
冷凍庫をどんどんぶった切っていくんです。

これが、世間に大ウケ。

影響をうけた子供たちが、もともとのルールを無視して、冷蔵庫をぶった切りまくるウェンディーズルールが大流行。

社会現象になるほどソーシャルインフルエンス(社会的影響)したため、ウェンディーズは評価され、グランプリに輝いたのです。

この広告でウェンディーズが伝えたかったのは、

ということ。

社会現象になるほどのブームを起こしながらも、
伝えたいことはちゃんと伝えている。
すごいですね。

ブームを起こすには「有名人に宣伝を頼む」というイメージが根強いけど、
これからの時代は、ウェンディーズのように流行に乗っかりブームを起こすことで、ソーシャルインフルエンス(=社会的影響)していくスタイルが主流になる。

みんなに応援されることで、人や会社が広まっていくのです。

とはいえ、やみくもに行動するだけではダメ。

技術をみせつけるのではなく、その技術を使ったのはなぜなのか?を語れないとブームは起こせません。アイデアを深く掘り下げ、価値をみえる化することは、応援されるために必要不可欠なんですね。


【ボルボは、よりよい社会を願う】

続いては、クリエイティブストラテジー部門でグランプリを受賞したボルボのCM。

クリエイティブストラテジーとは、伝えたいメッセージと広告の目標を一致させるためにつくる広告メッセージ開発の骨組みのことです。

こちらもまず動画をご覧ください。

なんだろう。当事者ゆえにか、すごく切ない気持ちになります…。

女性は交通事故の際、男性よりもむち打ち症になるリスクが高いそうなんです。

なぜかというと、2019年になった今でも多くの自動車メーカーでは、衝突実験で使っているダミーが男性のもので検証されており、その実験データに基づいてクルマが設計されているから。

そんな中、ボルボは、1970年代から実際の事故データを収集し、1995年からは女性のダミーを用いた実験も行っている。そして、40年以上に渡り集めた事故分析のデータを、どの自動車メーカーでも使えるように情報公開。

この研究結果を誰でもダウンロードできるようにすることで、
あらゆるクルマがより安全になることを願っています。
なぜなら、ボルボは常に人を第一に考えているからです。
クルマはすべての人を守るべき。
E.V.Aプロジェクト公式ホームページより)

商品を売るためでなく、よりよい社会を作るために情報をシェアする。

月並みだけど、こういう思想こそが、会社やクリエイティブの本来あるべき姿なんだなって思ったりしました。そして、社会や人への思いやりのあるスタンスが世間に愛され、応援されるようになっていくのかなと。


「応援されるアイデア」こそ、今いちばん得をする

いままでの話をまとめると、

国内 ➡︎SNSでみんなに「いいね」と言われるものが広まって流行になる。
海外 ➡︎企業を売り出す際、突き詰めたブランド価値を忍ばせることで、爆発的に売れる。


明円さんは、

と言っていました。

広告マン的な視点でみると、

ということになるそうです。

わたしなりの解釈だと、
これってきっと、ものづくりだけのことに限らない。
人間関係にだって応用できるんじゃないかって思いました。

もっとなかよくなりたい友だち。振り向かせたい片思いの相手。
力を貸してほしい仕事仲間。

相手に対して、自分の見せ方をちゃんと考えることで、
ぐっと近くなれるかも。すきになってもらえるかも。手を貸してもらえるかも。

すきになってほしい人にすきになってもらえるって、めちゃくちゃうれしいし、そういう自分になれたらもっと人生たのしめそうだよね。

だから結論

(まさかの、さいごのさいごに誤字をする明円さん…素で誤字したのだろうけど、勉強会の内容的に「これも応援されるアイデアのひとつ!?」なんて勘ぐってしまう参加者たち)

この日学んだことは、SNS運用や仕事のためだけでなく、
ひとりの人としての見られ方を考えるきっかけにもなりました。

わたしも人にすきになってもらえるように、明円さんに習った「愛されアイデア」を参考にして「応援される人」を目指します!!!


【おまけ】

勉強のあとは、懇親会へ。

太っ腹のテテマーチさん、お酒とピザを用意してくださっていました。

(写真とっておけばよかったなあ…)

みんなで広告やマーケについて話し、とってもたのしく有意義な夜。

明円さんともお話したけど、
ゆったりした口調で、やわらかい空気をまとった癒し系な方でした。

今後もイベント登壇などされると思うので、
気になった方は会いに行ってみてはいかがでしょうか。

明円さんの日々の発想や活動については、こちらでチェックできます。
広告の事例についての考察をよくツイートされていて、勉強になりますよ!

テテマーチ勉強会について気になった!という方は、主催のふくまさんのツイッターをチェックしてみてください。次回開催が決まり次第、告知があるはずです!


【レポート後記】

このレポート、登壇された明円さんと、主催者のふくまさん、おふたりにチェックしていただきながらつくっていきました。おふたりの協力がなければここまで書けなかったと思うので、感謝感謝感謝です!!

ふたりともめちゃくちゃすてきな方なので、
これからも応援してゆきたい!!!

タメになる話が多すぎた結果、つめこみすぎて長いレポートになったけど(総文字数6400字ごえ!)ここまで読んでくださってありがとうございました。

すこしでも学びのおすそわけができていたらうれしいです!

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しんみはるな
さいごまで読んでくれてありがとう!うれしいです!🌷

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