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超短編「Barの女の子」

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毎日Barに来ている、とある女性。 彼女の真っ白な言葉。 僕はその言葉をひたすら聞く。 お酒のお共に、いかがでしょうか。
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「Barの女の子」⑺

「Barの女の子」⑺

ある人が言ったわ。
"僕は夢を叶えてしまったから、生物的な欲を無くしてしまえば別に死んでもいい"と。

そう考えると、夢を叶えても、夢を叶えられなくても、きっと最後は虚しさが残るのかもね。本当の幸せなんて、きっと誰にもわからない。

強いて言うなら、夢を歩んでいる時、その道のりこそが、"本当の幸せ"なのかもね。
だから思い出はいつまでも、輝いて見えるのかも。

それに誰しもが最後は死んでしまう。全

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「Barの女の子」⑹

「Barの女の子」⑹

あなたは何でも聞いてくれるのね。

でも酔っ払った女の発言にしっかりと耳を傾ける必要なんてないわ。

その時の感情がどれほど強くてもね、数時間後にはこれっぽっちも覚えてないんだから。

私の言葉も、生きている中の風景の一つくらいに思ってちょうだい。

真剣に聞いても、あなたの人生を彩りはしないわよ。

でもその風景がいつの日か、ふとした瞬間に思い出すような、少しでもあなたの脳裏に残

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「Barの女の子」⑸

「Barの女の子」⑸

私ね、やはり恋愛はまず"顔"だと思うのよ。「性格が良ければ」なんて二の次、三の次よ。

私たちは生きてる上で書類審査をして、生物的に異性か異性じゃないかを勝手に判断してしまってるでしょ。

お互い自分の基準値に満たなければ、いくら性格が良くても恋愛になんて到底到達しないのよ。お酒があれば過ちの一つや二つはあるけど…あれは例外ね。

第一関門は、容姿で決まり。
マッチングアプリが良い例じ

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「Barの女の子」⑷

「Barの女の子」⑷

人間は誰しもが自己中心的な生き物だし、それで良いと思うの。

だって誰かに親切にしてあげて、その人からは自分は嫌われている。その連続だったら生きていけないわ。
誰しもが報われたいし、人に好かれたいものでしょ?

支え、支えられる。
その為に生きているのであるならば、それは回り回って、全部が自分のためにやっていることだと思わない?
だからモノは言いようなのよ。

例えば、自分が死ねば、世

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「Barの女の子」⑶

「Barの女の子」⑶

私、ちゃんと企業で仕事してみようと思うの。体の方はだいぶ良くなったもの。

私はね、私であるということをしっかりと見つけていかないといけないのではないかしら?

楽しい、嬉しい、悲しい、悔しい、憎らしい、そういったものをね、ちゃんと想像ではない形で手を入れないといけないのよ。

いずれ無くなるのは分かっているけど
"どうせ無くなるから何もしない"のとね
"どうせ無くなるんだからやってみ

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「Barの女の子」(2)

「Barの女の子」(2)

この間ね、「銀河鉄道の夜」を読んだのよ。

私はあの物語で、誰が一番、悲劇なのかなと考えるとね
何度読み返しても「ザネリ」だと思うの。

誰かの代わりに犠牲になる人間がいて、犠牲者はそこで終わり。
でも、その"誰か"は生きているからね。残酷よね。

この物語の続きが、ザネリが少しでも救われるような、そんなお話であったことを心の底から祈っていたけど

でも作者も未完のまま死んでしまった。

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「Barの女の子」(1)

「Barの女の子」(1)

あなたは私?私はあなた?
もし私が死んだら、あなたも一緒に消えるのかしら?
それとも私だけが消えて、あなた達は生き続けるのかしら?本物なのかしら?

だって、私はどんなに懸命に頑張ったって、あなたにはなれないもの。
私の脳みそが作り出した偽物かもしれない。本物って誰が保証する?あなた?

だから真実なんて、うんと頑張ったって存在しないのよ。
真実なんてものが本当に存在してしまったらきっと、私も

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