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私の物語

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今までの記憶へ、ひとつまみの嘘をまぜながら綴った私の物語。
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2020年7月の記事一覧

あなたの後ろにできた道は

あなたの後ろにできた道は

今、目の前にいるその人が
“今”に至るまでにどのような人生を歩んできたのか

そんな話を聞くことが、私は好きだ。

笑顔で微笑んでいる人ほど、たくさんの涙を隠している。

外見だけではみえない物を、それぞれが背負って生きている。

*…*…*

数年前、丁度今のような梅雨の時期
なんの用事だったかな…私はその日ハローワークにいた。

待合室、私の斜め前に座っている男性。
金髪で身体が大きい。
腕や

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むかしむかし、冬のとある小さな街で。

むかしむかし、冬のとある小さな街で。

1990年2月26日。

雪がしんしんと降るその日、1人の赤ん坊が今にも消えてしまいそうな産声と共にこの世界へと引っ張り出された。

彼女は自分が思っていたタイミングとは全く異なる瞬間に世界へと出されてしまった為、自分の身に起きたことを理解するまでに時間がかかった。

空気は想像していたよりも少しひんやりとしていたし、世界の全てが霞んで見えるので不安になったりもした。

思いきって声を出してみると

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花紺青色の海に浮かぶ。

花紺青色の海に浮かぶ。

浮かんだり沈んだり、ただそこにいるだけなのに
まるで広い海に放り出されて
プカリプカリと漂っているような気持ちになる。

あまりにもそれは不安定なので
最初は例えようも無いほどに恐ろしかったのだけど
最近はそれほど恐ろしいと感じる事もなくなってきた。

流れていく雲や
時間と共に変わっていく空の色なんかを
ぼんやり眺めながら、ただ、そこにいる。

嵐の日は荒れ狂った海の波にのまれないよう
身体をち

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