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京都外国語大学との新しい取り組みについて

京都外国語大学グローバル観光学科の学生たちといっしょにつくった、修学旅行生向けの英字観光パンフレットが完成しました。宝泉院と泉涌寺・雲龍院のお茶席、下鴨神社のさるやと八坂神社の二軒茶屋、それに佛光寺のd食堂と二条城の茶房前田、コラムで通圓も紹介しています。

学生たち自らが企画、取材、日本語原稿、英訳、そして取材先へのアポ入れからやり取りまですべて担っています。もちろん、ぼくが編集に携わる上で必要なことをサポートし、ふだんENJOY KYOTOなどで翻訳やデザインを担当してくれているメンバーがクオリティチェックなどの監修はしています。

このプロジェクトは、現在のコロナ禍において外国からの観光客が入国できない状況が続くなか、ENJOY KYOTOにとっても、またグローバル観光を学ぶ学生にとっても、それぞれの能力や役割を、別のかたちで活かせないか?という問いから始まったプロジェクトでした。

プロジェクトがはじまったのは昨年の9月中旬。コロナのいわゆるデルタ株による第五波がようやくおさまって、大学でも課外活動がようやく解禁されたばかりの頃でした。
そこからぼくは、まるで非常勤講師でもあるかのごとく、ほぼ毎週のように大学に足繁く通ってミーティングを行い、まずはどんなパンフレットを作るべきか?という企画に着手します。企画を考えるにあたっては単に思いつきアイデアを並べるのではなく、社会的な動向やニーズ、リサーチするところから始めました。

そうしたなかで浮かび上がってきたテーマが「修学旅行」。

最初は大学生がオススメするスポットだったら年齢も近いし共感を呼びやすいのではないか?というきわめてシンプルな動機がきっかけでした。

まあでもそれだけではちょっとコンセプトとしては弱い。それでもぼくがこれをテーマにしたらおもしろいと感じたのは、もともとENJOY KYOTOにはいくつかの高校から、英語教材として使いたいというオファーが来ていたこと、しかもそれらのなかには修学旅行で京都に行くので、その事前授業として活用したいという声もあったりして、そうした需要があることは把握していたからでした。

そこでまずは修学旅行のニーズについての報告書やデータを集め、文部科学省が各学校向けに出している通達なども参考にディスカッションをしていくところから始めました。

まず文科省は修学旅行を現地文化の理解・体験などが可能な場所を訪問先に盛り込むよう通達しています。また学校の先生は訪問先の現地情報を持っていないので

旅行代理店や現地コーディネーターに依頼して(いわば丸投げ)魅力的かつ文科省の方針にかなうスポットやルート、ツアープランを決定しているということがわかりました。

ここから「学び」というキーワードが重要であること、さらには伝統文化だけではなく広範な現地の文化理解につなげられるほうが良いということが結論づけられました。

また他にも「高校生が主に話題にしているテーマは何か?」「学習指導要領では年々、実践的な英語力が求められている」「京都外国語大学に入学する高校生の出身県割合は?」などをリサーチして議論していきました。

そして最後に、大学生自身の経験や高校のときの修学旅行での記憶を語り合い、「基本はタクシーで移動していた」「高校生はスマホを活用できる」「班ごとに分かれて自分たち自身で回る場所を決めた」といった意見が集まり、最終的に「とにかく修学旅行生は時間がないよね」ということもわかってきました。

こうしたいくつかの前提条件を書き出したうえでそれらを俯瞰しながら、さまざまな議論を経た結果の結論として導き出されたのが「観光と飲食(休憩)を同時にできる場所」という視点。そこから「寺社仏閣の中でお茶しよう」という企画の方向性が導き出され、最終的にすべての要素を整理・統合した結果、

地元・京都の大学生がオススメする修学旅行向けお寺・神社のお庭カフェツアー

なるコンセプトに帰結した、というわけです。

今回は大学の教室に担当デザイナーにもきてもらって、レイアウトや写真と文字のバランスなど見せ方についても学生たちとディスカッションしました。

また、あるオンラインミーティングの際にはENJOY KYOTOでも翻訳をしてくれているネイティブの翻訳担当者にも参加してもらい英訳する上での注意点、とくに茶屋、仏教、神道、小豆など日本固有の文化を英語という器に移し替える際のポイントを教わったりもしました。

また細かなところでは、ENJOY KYOTO創刊時にはまだQRコードが浸透していなかったことと、当時はまだWifi環境が薄く旅行者がスマホを活用できない状況だったため基本的には紙面だけをみて情報を得ることを前提にお店やスポットのインフォメーションはすべて掲載していました。しかし今回は日本人の高校生であることを考慮してインフォメーションは最低限にして詳細はQRで対応しました。こうしたアップデートに気づけたのも良かったことですね。

ちなみに余談ですが僕がそのことに気づいたのは、ちょうどスーパーボウルのCMでQRだけが浮遊するCMが話題になったこと。ああいまやアメリカでもQRコードが浸透してるんだなあと実感しました。

さて、そうやってじつにおよそ半年にわたって取り組んできたプロジェクトがいよいよ形になった、というわけです。基本的にはこれまで通りのホテルなどの他に、希望する学校や教育機関に納品するかたちになりますが、もし学校関係者の方で必要だという方を紹介いただいたり、あるいは個人的に読んでみたいという方がいらっしゃいましたらぜひお声がけくださいませ。

さて、われながらけっこう個人的に意義深く広がりの大きなプロジェクトになったんじゃないか、という想いもあって、じつはこのプロジェクトは継続的な活動をしていくチームとしてこれからもいろんなコンテンツを作っていこうと考えています。

たとえば専用のnoteやinstagram、TikTokやYouTubeのアカウントを開設して、継続的に日本語と英語で情報発信をしていくことや、いずれはこのチームを「学生による京都案内ツアー企画チーム」として、旅行コーディネーター的なことにも取り組んでいくこともやってみたいという意見も出てきています。

またいろんな企業とコラボして海外発信のお手伝いだったり、産学連携によるビジネス創出なんかにも関わっていきたいと思います。とにかく「若者(次世代)+英語(グローバル)+文化交流+観光」という今日的で京都的なキーワードがいっぱいのチームだし、いまの京都の課題が集まったプロジェクトでもあると思うのです。お困りごとあれば、気軽にご相談いただ木、若者と一緒に解決する若者を京都の課題に巻き込む、そういう機会になればいいなと思います。

さらには高校生向けに「英語で京都を学ぶための教科書を作ろう」という企画なんかもあったりします。たとえば「源氏物語などの恋愛文学を若者感覚で英語で読む」とか、あるいは「京ことばを英語に訳してみよう」などなど。ウェブにしてダウンロードしてもらう?それとも出版がいいのかな?といった具合に、こちらもゆくゆくはかたちにしていきたいと考えています。

まあそんなわけで、学生らしく夢がいっぱいのチームではありますが、きちんと地に足ついたプロジェクトとして運営していく責任はぼくたち大人にあるので、そこはしっかり支えていきたいと思っています。

いずれにしても、疫病や戦争、経済危機に少子化などなど暗い話が多いなか、本来なら海外留学したり、旅行会社や航空会社に就活していただろうはずの、未来しかない、可能性いっぱいの若者の夢が、目の前潰えていくのは、本当に見ていて心苦しくそして悲しい気持ちになってくるので、自分のできる貢献といったらこのくらいかなあと思って取り組んでいます。

「一緒にこんなことやろう」とか、「こんな人紹介するよ」から「知り合いに広めといたわ」とか「シェアするよ」でもなんでもオッケーなので、どうか応援のほど、よろしくお願いします!

共感いただけたら、サポートをお願いします!活動資金にさせていただきます。