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誰しもがドラフト1位の即戦力ルーキーではない

唐突ではありますが、日本のプロ野球のドラフト会議というものをご存知でしょうか?

ざっくりと説明しますと毎年プロ野球の12球団が高校生、大学生、社会人、あるいは独立リーガーのプロ志望届を出した選手から自球団に欲しい選手を指名していきます。

ドラフト1位となるとその世代のトップレベルの選手が指名され、複数の球団が競合した場合はくじ引きで交渉権を獲得します。

多くの場合の1位指名の選手は、即戦力となる選手です。

それは投手でも、野手でも。

才能豊かな選手が1位指名となり、堂々たる振る舞いでチームに加入します。


ドラフト会議についてはこれくらいにしておいて、僕が伝えたいことをこれから書きたいと思います。

新年度が始まり、新社会人の方が多くいらっしゃるでしょう。

毎日の通勤、毎日の慣れない業務、
毎日の慣れない環境。

入社する前に思っていたものと違うと感じている方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

新社会人と聞くと、「新生活の始まりでもあり新鮮だね」と、耳触りのいい言葉が並ぶのかもしれません。

ですが現実はどうなのでしょう。

楽しく働けている方もいれば既に仕事が辛いと感じる方も、両方いらっしゃることかと。

僕は情け無いことに、今となっても完全に所謂いわゆる社会人になれている訳ではありません。

介護職員をしてはおりますが、パートアルバイトの非正規雇用で働いています。

また、持病の精神疾患との兼ね合いもあり、週の中でも少なめのシフトで働いています。

今の職場で勤務を始めて2年近く経ちますが、それでも1人でこなせる業務もあれば、入浴介助などまだ自分1人だけの力ではできない業務もあります。

これは自身の不徳ふとくの致すところではありますが、未だにお顔とお名前がぼんやりとしか覚えられていないご利用者様もいらっしゃいます。

介護の仕事を始めた頃、いち早く仕事を自分の力で出来るようになろうと気が急いていました。

恐らく空回りもしていたのだろうと思います。

気合いを入れている分、ミスをしたり、上手く業務をこなせないとそんな自分自身に落胆することを繰り返していました。

そんな時に思いました。

自分は元々資格も持たず、実務経験も無い。そんな人間が初めから何もかも上手くやれるはずがありません。

僕はそもそもがドラフト1位の即戦力ルーキーではなかったのです。

這い上がっていくしかない、育成枠の選手のようなものなのです。

施設の主任の方から以前こうお話しをして頂きました。
「プレッシャーには感じないで欲しいけれど、〇〇君には当施設としては非常に大きな期待をしています。ただ、だからといって無理はしないで下さい。心と身体が健康で元気な状態でないと本当の寄り添った介護はできませんから」と。

期待というのは僕がまだ26歳という若さ、そして男性職員ということだと思っています。

そんなお言葉をかけて頂けることは僕としても非常にありがたい限りなんです。

ただし、僕は即戦力ではない。

それは施設の方々も重々承知の上だと思います。

施設の理事長が精神科の先生というところも理由のひとつかもしれませんが、施設長も主任も先輩職員の方々も、僕の抱えている精神疾患のことに理解を示して下さっています。

こんな言い方が適切なのかはさておき、とてもぶっ飛んだ優しさのある職場です。そんな環境で働けることを、本当に自分は恵まれているなぁと思うばかりです。


介護の仕事に限らず、どの仕事でも、どの職場でも誰しもが即戦力とは限りません。

時間をかけて研修を行い、1人の社員として育っていくのだと思います。

そして、例え研修が終わったからといって急いで戦力にならなければならないなんてことはないと僕は思っています。

素早く上手く出来る人もいれば、ゆっくりと時間をかけてしっかりとひとつずつ覚えていく人もいます。

ここで間違いのないことはどちらも貴重な人材であるということです。

何もかもが最初から出来なくて当然です。

それを押し付けられて、あなたの心をむしばんで心を壊すようなところにあなたが身を置く必要はありません。

なによりも健康な心と身体を保つことが大切です。

もちろん仕事を覚えていくにあたってある程度の期間の目安はあるかとは思います。ですが猶予ゆうよは最大限使っていいのではないでしょうか。

少なくとも僕はその猶予を最大限以上に使わせてもらっています。

そんな僕でもなんとか働きながらこの生きづらい世の中を生きていけています。

ひどく抑うつ状態におちいってしまい、出勤のシフトの日を休んでしまう時もあります。
どうにも心と身体が一致せず、約数ヶ月休職状態だった時期もありました。

ですがそこで無理をして期待を潰してしまうよりも、小休憩を挟むのも大切なのではないかと、精神的な疾患の悩みを持つ僕は思っています。

これに関する意見や考え方は多々あるかとは思いますが。

だからあなたもそんなに急がず、まずは目の前のことを着実に、丁寧に。

もしかしたらあなたの目には、同期で入ったドラフト1位の即戦力ルーキーのような人がうらやましく目に映るかもしれません。

ですがあくまでもその人はその人。

あなたはあなた。

あまり周りの人達を必要以上に自分と比較しないで大丈夫なんですよ。

今の僕のこの言葉には何の保証もありませんが、いつかあなたの頑張りが実を結ぶ日が来ると祈っています。

いつかあなたの這い上がってきたど根性、踏まれても根を張る雑草魂を認めてもらえる日が来ると信じています。

そもそも即戦力ルーキーとして入ったものの、実際は即戦力にはなれない場合だってあります。

それはそれでも大丈夫。

会社は、社会は、世の中は1人の力でできあがっている訳ではありません。

誰かに教えを乞う時もあるでしょう。

誰かに悩みを相談する時もあるでしょう。

だってそれは1人ではできないことだから。

頑張れる時は頑張ってみましょう。

どうやっても頑張れない時は頑張らなくても大丈夫。

責任感は確かに大事です。

ただ、責任感のせいであなたが潰れてはなりません。

そんなに大きな輪で考えず、まずは自分のキャパシティの輪っかの中での責任感を大切にすれば大丈夫だと思います。

そこで生きることがどうしても苦しくて、逃げたい時は逃げてもいい。

何もかもが辛くてたまらない時は、枯れ果てる程に泣いてもいい。

さあ、これからをときめく名もなきルーキーさんたち。

あなた達の記念すべき門出を、僕は大きく手を振ってここから応援しています。

何かあったらいつでもここに帰っていらっしゃい。

その時はその時ですから。

たかだか26年しか生きていない僕みたいな若造の言葉に、重みなんてものはあまり無いのかもしれません。

ですが背中をどんと押して欲しい時は背中をどんと押すし、背中を優しく撫でて欲しい時はその背中を優しく撫でますから。

慌てなくて大丈夫。
急ぎ過ぎないで大丈夫。
生き急がないで大丈夫。

僕はいつでもここであなたの人生を応援し続けていきましょう。

あなた達のこれからの人生にどうか幸あれ。


ひろき

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