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2018年12月の記事一覧

遠く

遠く

「あいたいって、あたためたいだ」
駅の売店のテレビが、そう嘯く。

なんだ、自分のことじゃないかと
影響されがちな自分は、誰かを想う。

首からヴィンテージのカメラを下げ
空に向かいシャッターを切る自分を
誰かは「トランペット奏者」と呼ぶ。

抜けるような青空、冬の訪れ、氷点
深緑のピーコートから覗く肌色
紅いチェックのマフラーの上の笑顔
その頬は、少しだけ赤らんでいた。

頭に浮かぶ誰かは、特定

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鼠

濡れ鼠のようになって
僕は公園に立っていた
両腕に夢と希望を抱え
涙を流して立っていた

負けてたまるかと思い
しかし絶望に咽び泣き
自分の意味を考え込み
生を授かる意味を探し
だがそんなの簡単には
目の前に現れないから

皆んな吹き飛んじまえ
そう言って爆弾を投げ
誰も振り向いてくれず
生きることが辛くなり

もう自棄になる事すら
赦されないと思い込み
そして自分という生は

公園に泣き立ってい

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昏い笑顔で

昏い笑顔で

目の前に拡がっているのは
希望じゃなかったのかよ
一旦絶望した人は
そうし続けなければならないのかよ
聞いてねえぞこんなこと

深い海に堕ちて絶望して
生きる気力すら失くして
何時になれば救われんだ

希望に満ち溢れてた頃に
帰りたい
「あの頃はよかった」って
言っても何も変わらないよな
忌むべき懐古厨だ

結局、自分が分からねえんだ
何の為に息を吸って
何の為に歩いてんだ

誰か

教えてくれよ