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エンプティスペースの夢

ただただ真っ白でなにも物がない空間に私1人。窓も扉もないその空間から抜け出せないことを悟って沈黙し座り込む。誰も助けになんてこない。そんな夢を何度見たことだろうか。外の世界が朝なのか昼なのか夜なのかもわからない。私は真っ白な空間に身を委ねて横になりうずくまった。


夢から覚めてもその奇妙な感覚はまだ身体になまぬるく絡みついて倦怠感に襲われる。頭は痛いし、あの空間で吸い込んだ重い酸素が二酸化炭素となって吐き出される。圧倒的な圧力感と閉鎖感は切羽詰まった心の底に落ちた感覚に似ていた。そうだ、あれはきっと私の心の底の空間だ。私以外に誰も入ることは許されない。


昔からそうだった。何かしら緊張や不安、嫌な事があると眠っても夢の中で意識がはっきりしていて身体の重さも引きずったままだった。現実世界とかけ離れた空間に心身がそのまま飛ばされてしまう。本当は怖くて寂しくて堪らないのに何故かほんの少しだけ空っぽになれる私は束の間の安堵感を得ることができる。ここに居れば誰にも、何にも、追われることはなく焦燥感に駆られることもない。だけど、いつまでもここに居たいわけではない。それでも今だけはこの閉鎖的で真っ白な空間に身を委ねてくるまれていたい。

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