あの人に貰ったバターサブレより、 あいつにもらったやっすいチョコの方が美味しかった あの人に貰ったバターサブレを食べてから、 あいつにもらった甘ったるいチョコを飲み込んだ あの人に貰ったバターサブレにも あいつにもらったスーパーのチョコにも 特にお返しはしなかったけど あの人に貰ったバターサブレはカバンの中で割れてて あいつに貰ったチョコは手の中で溶けてた あの人に貰ったバターサブレと あいつにもらったチョコレートに どっちの方が良いとか悪いとかなくて もしあいつに
今からまとまらないことを書くことで無理やりまとめてみようと思うのだけれど、 衣服は絵なのか?額縁なのか? これを考えるには絵と額縁の相互の役割をしっかり理解しておくべきなんだろうけど、私が話したいのは学術的なことではなくて感覚的なものなので 一旦置いておいて… 私は自分が絵でありたいと思うんだけど、 その理由はやっぱり自分のことが大好きで、自分を最も魅力的に見せる額縁(=服)を自分で選んでいるって思いたいから。 でも例えば、どんなにチープな服でも、着る人が魅力的だと高
1度死んだなと思うのは、筆を取れなくなった時。 自分でも驚くほどにゆっくりと、無意識のうちに、何も書けなくなっている。 久々に文章を書くと、自分がこの間まで信じていた文章の形が全く分からなくなる。 言い訳は山ほどある。 でもそれを言ってしまうと、 「言葉にすることは現実逃避の手段だ」 と言っていることになるから言わない。 ふと、自分が生きていた頃のことを思い出して そうしてゆっくり苦しくなる。 現実しか見ることができずに何も作り出せない自分は、 本当の本当に凡人になってし
日課
春は好きですか
絶妙な関係の境目
思い通りにいかないのなら、死んじまいたいなー と、思うことが結構あります あの人と上手くいかないのなら 今日やる気が出ないのなら この気持ちが伝わらないのなら 忘れ物をして怒られるのなら いなくなってしまうのなら だって思い通りにいかないのは辛いからさー と、ボヤいています どうもがいたって決まってる事だから、どんなに苦しんだって泣いたって無駄なんだから、と そんなことが分からない子どもでもなくなってしまいました だったらまあいいかと諦めて、少し経ったら忘れている
「次はー、〇〇ー、〇〇ー、」 1つ前の駅ではっと目を覚ます。 カードの残金を見た。 行先まで必要なのは1166円、入っていたのは1045円。 あー足りなかったか、と寝起きの頭でぼんやり思った。 100円と少しの金額が足らなくて、私はたどり着けないのかーと思った。 いや、別に乗越でチャージすれば降りれるのだが。 多分そんな感じだ、私の人生。 せっかく前もって入れて置いたのに足りなかった交通ICカードみたいに、連れて行ってくれないものに中途半端に託すんだ。 まあ別に、それが悪い
いつもは短い創作小説を書いている私ですが、書き始めて気づいたらもう長いこと経っていて、よくよく考えたら教壇に立つ日もそう遠くないのではないか?とか考えまして、今一度、教室に想いを馳せて、廊下側、後ろから三番目の席に着席してみようと思います。 起立 礼 お願いします 教壇に立つのはT先生。教科は国語です。 私が教員になりたい、と明確に考え始めたのは中学生のころですが、なったときのビジョンを想像するきっかけになったのは恐らく彼女との出会いでしょう。 言ってしまえば彼女は魔女の
拝啓貴方 いかがお過ごしですか。 最近の貴方はどんなものかと、まあ、知る由もないのですが、先程ふと思うことのありましたもので、 これから先のことは、ご内密にお願い致します。 …なんて、そんな堅い話はやめにして、私たちが大好きだったあの食べ物のお話をしましょう。 わたしね、今でもよく食べるんです。そう、コーヒーゼリー。 背の低い硝子の器にそれを取りだします。 元はひとつの固形だったのを、スプーンで潰して、 仕上げにかけるのはミルクと、そうして人さじの銀の粒。 あの時見た景
愛が溢れるというのは、こういうことかもしれないと思った。 言葉を大事に生きている私たちが、言葉を使わないで愛を伝えることがあるのか、と思った。 永遠の沈黙の後に、光の届かない部屋から更に深い暗闇になって、全ての神経があなたに繋がる。 ぷつん、と紙に針で穴を開けた。 またひとつ、もうひとつ、 光に透かして見てみると、それは私たちの星空だった。 そう、こんなふうに。 こんなふうに、私たちは光を見て、 目を閉じて、また暗闇に戻って、 そうして言葉を失って、 ひとつになった
血というのは、ほかの何にも例えられない不思議な感じがする。 床に落ちた白い破片を拾って、それが親指の先に当たった後にふと床を触ったら、ぬるりと赤い液体が弾けた。 どこから弾けたかと周りを見渡すとそれは自身の親指の爪の間で、気づいた途端に痛みがじくじくと現実になる。 おや、と思って人差し指で親指に伝う赤色をつまんだ。 やはりぬるりと人差し指に拡がった。 この「ぬるり」は、自分の血のみに感じる音だと思った。 どうしてかな、と人差し指を見つめて考える。 これはさきまで私の中に
彼女はそこに世界を描く。 机の上に広げられたノート。 柔らかな筋肉が紙を滑る音と、世界を創る音。 教室には、彼女の音と教師の声が響いている。 彼女のノートは、まとまっていて、見やすくて、なんなら黒板に書かれた手本よりも美しくて、僕の書くのよりもずっと色んなことが書かれていて、受けていたのは同じ授業なのかと疑いたくなるほどだ。 春からずっと隣の席で、僕は窓の外を眺めるふりをしてその手前の彼女の机に時たま目線を落とす。 彼女はじっと黒板を見つめて、時々ゆっくり目線を紙へ動か
花を生ける。 この花は、要る。 この花は、要らない。 ここはちょっと、短く。 ここはこれじゃ、足らない。 彼の花器は、完成してるな、と思った。 いや、完成はしてないんだけれど、何を創ろうとしてるのかが見える。 横に置かれた色とりどりの花たちを、好きなだけ生けて、彩っていく。 私は、要らない花だな、と思った。 「そっか、就活だもんね」 簡単に未来のことを言ってのける。 私は来年の話をするのが、こんなに難しいのに。 「そうですね だからここにもいつまでいるか、って、思っ
「悪いことをしようか」 彼女はそう言って真直ぐ僕の目を見た。 「悪いこと?」 「そう、悪いこと。」 「例えば何を?」 「終電で帰るとか」 「帰るんだ」 「帰るよ、困るもん」 「まあそうだけど」 「これは終電なの。」 時刻は10時半。 終電には程遠い。 「そう、私はまだ未成年で、クラスの男の子とどこか遠くへ行こうって電車に乗るの。」 「どこへ」 「どこか遠くへよ。」 ふうん、と気のなさそうな返事をした。 「それでね、怒られるのを分かって、終電で帰る
『だって、自分だけは自分のこと、愛していたいじゃないですか。』 口から出た言葉に自分で驚いた。 こう考えている自分が不思議なのではない。 これを目の前にいる彼に言ったことが不思議だった。 毎日髪型を変えるのも、ピアスを忘れずつけるのも、褒められなくてもネイルをするのも、あれもこれも全部自分への愛だ。 「誰も私を一番にしてくれなくても、自分だけは一番だって、思ってあげたいじゃないですか。」 そうやって自分を大切にすることが、いつか何かに繋がるかもしれないじゃないですか。