溢れるということ

愛が溢れるというのは、こういうことかもしれないと思った。
言葉を大事に生きている私たちが、言葉を使わないで愛を伝えることがあるのか、と思った。

永遠の沈黙の後に、光の届かない部屋から更に深い暗闇になって、全ての神経があなたに繋がる。

ぷつん、と紙に針で穴を開けた。
またひとつ、もうひとつ、

光に透かして見てみると、それは私たちの星空だった。

そう、こんなふうに。

こんなふうに、私たちは光を見て、
目を閉じて、また暗闇に戻って、
そうして言葉を失って、
ひとつになった。

誰かといる時、人間の輪郭ははっきりして、
そうして自分を自分だと感じることができるから
私は人といることを選んでいたけれど。

だけど初めて、
誰かといることで輪郭を溶かすことを選んだ。

ぷつん

星を紡ぐ。

ぱちん。

暗闇に戻す。

こんな小さないとなみが、
私たちをひとつにした。

溢れるということ。
これが、私たちの。


「星」「紙」

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