銀河フェニックス物語 <ハイスクール編> 第一話(12) 転校生は将軍家?!
・銀河フェニックス物語【出会い編】スタート版
・ハイスクール編:第一話 (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)
・ハイスクール編 マガジン
「一緒にご飯食べないかい? おごるよ」
レイターが屈託のない笑顔で、女子二人組に声をかけた。かわいい部類だ。大人っぽい格好をしているが、おそらく俺たちと同じハイスクールの学生だろう。
「いいわよ」
四人で繁華街を歩き、食事の店を探す。
レイターの金銭感覚はちょっと変わっている。
金を貯めている、って言うだけあってがめついが、稼いだ金を使う時には躊躇しない。
オレにも気前よくおごってくれる。
その時、
「おい、ちょっと、顔貸してくれねぇか」
がたいのでかい、見るからに筋の悪そうな成人男性に声をかけられた。
マフィアの構成員だ。
その後ろに、さっき、ゲーセンでレイターに負けた隣町の不良どもの姿があった。
レイターは女子との楽しい時間を邪魔されて、明らかに不機嫌だという顔で言った。
「確かにあんたの顔、俺の顔がはずせるなら貸してやりたいところだ」
「ば、ばか」
オレは思わず固まった。
何、訳のわかんないこと言ってるんだよ。相手がやばい奴だってわかんないのか。
マフィアが目をむいて怒っている。
「先輩、こいつがシマを荒らしてるんです」
不良どもがマフィアに声をかけた。この怖い兄さんはスクールギャングのOBってところだな。
あいつら、さっき負けたことを根に持ってやがる。
「ったく、イカサマやった訳でもねぇのに、ゴタゴタ言うなよ」
レイターは平然としているが、オレの心臓はドキンドキンと大きな音をたてた。
女共も怯えている。
「レディーがびっくりしてるじゃん。ロッキー、あんたは二人を送ってやってくれよ」
そうだよな、女共二人は関係ない。だけど、
「お、お前どうするんだよ?」
オレは聞いた。
「ちょっと顔貸してくるさ。あいつの顔じゃ、利子付けて返してもらってもいらねぇけどな」
こいつ度胸があるっていうより、本当にバカなんじゃないだろうか。
喧嘩が強いといっても相手が悪すぎる。
「貴様、ぶっ殺してやる!」
マフィアの怒りはさらに激しくなった。
*
オレは、足早に女共とその場を離れた。
レイターが言うとおり、この二人を送らなくちゃと思いながら、巻き込まれなくてほっとしている自分がそこにいた。
心がざらっとする。
「あの子どうなっちゃうの?」
女が心配している。
オレが聞きたい。あいつどうなっちゃうんだろ。
あいつの金で飯を食おうとしていたオレも同罪なのに。
何であいつを置いて来ちゃったんだろ。女共を送るってことにかこつけてオレだけ逃げてきたんだ。
オレって卑怯だ。
「やっぱりオレ、様子見てくる」
オレは女どもの元を離れた。
いざとなったら走って逃げればいい。オレは足は速いんだ。
自分に言い聞かせながら、元来た道を戻った。
もしかしたらレイターが、血まみれで倒れているかもしれない。
さっきまでいた通りに着いた。
レイターとあのマフィアの姿はない。
スクールギャングの奴らは残っていた。ちょっと怖いが、そんなこと言ってられない。
「おい、オレの連れ、どうした?」
「あいつは、白豹会の事務所に行った」
白豹会、この辺りを牛耳っているマフィアだ。オレは頭が真っ白になった。 最終回へ続く
・第一話からの連載をまとめたマガジン
・イラスト集のマガジン
ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」