銀河フェニックス物語 <ハイスクール編> 第一話(11) 転校生は将軍家?!
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その時、授業終了のチャイムが鳴った。
「勝手にしたまえ。きょうの授業はこれで終わりだ」
それだけ言うと、教師は部屋を出ていった。
この一件以来、物理の授業中にレイターが何をしていても、教師は文句を言わなくなった。ただし、レイターは物理でどんなにいい点を取っても、追試を受けさせられた。
*
レイターの奴は、どうやら本気で『銀河一の操縦士』を目指しているらしい。
サッカーの練習が無い日は、二人でゲーセンへ行く。
あいつは、片っ端から宇宙船のレーシングゲームを制覇していく。
それにしても、器用な奴だ。
レイターは、レーシングゲームに限らず、どんなゲームをやらせてもうまい。音ゲーもシューティングゲームも、パーフェクトだ。
その腕を使ってあいつは、オレの二百リルを元手に夕飯代やら夜の遊ぶ金を生み出していた。
ほんとは禁止されてるけれど、ゲームで獲得したコインをほかの奴に安く売るんだ。
闇両替だ。
店側にばれるとやばい、っつってあいつはちょくちょくゲーセンの場所を移して出没した。
手慣れている。
それだけじゃなかった。
「どのゲームでもいいぜ、一万リルで勝負しようぜ」
あいつはスクールギャングたちを相手に、金を賭けてゲームをした。賭け金は、オレの金だ。
*
その日の相手は、隣町のハイスクールの制服を着ていた。「不良」ってレッテルを張って間違いがないスクールギャングだ。
そいつらはバトルロイヤルゲームをやろう、って言いだした。相手は三人参加すると言う。それはインチキだろ。三対一かよ。
「いいぜ、生き残った奴が、総取りで三万リルもらえるってことで」
レイターは問題ない、って顔でオレの一万リルをだした。お前に問題なくてもオレにはあるぞ。
それにしても、レイターの空間認識能力ってどうなってるんだろう。
飛んだり跳ねたり走ったりしながらのシューティング。どうして敵に当たるんだ?
相手の連携を、みるみる崩していく。
戦い慣れている、っていうか、こいつ、本物の戦場にいたんだよな。
金がかかった時のレイターのプレイは、凄みを増す。
ゲーム開始五分で、三万リルが手に入った。
*
「女の子誘って、この金で飯食おうぜ」
レイターは女共と遊ぶのが好きだ。
「いいぜ」
街で見知らぬ女子に声をかけ、その場で食事に誘う。つまりナンパだ。
レイターが誘って、失敗したところは見たことがない。
背が低くて、幼く見えるから、女どもが警戒しない。
こいつ、オレと違って門限がないから、しょっちゅう朝帰りしている。
(12)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」