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イラスト付き縦スク小説『銀河フェニックス物語』の内容が一目でわかる目次を作ってみました。 <出会い編>第一話 永世中立星の叛乱 記念すべき第一話。新入社員のティリーが「厄病神」のレイターの船で初めての出張に出かけますが、革命規模の大規模デモに巻き込まれて…… 第二話 緑の星の闇の向こうに第一話の一週間後のお話。同期の代わりに出張へ出かけたティリーは、今度は環境テロに巻き込まれます 第三話 レースを観るならココ!と言われて宇宙船レースを観るのが趣味のティリーが、研究所のジ
厄病神の宇宙船って、本当にあるんです。 先輩たちから聞かされました。その船『フェニックス号』で仕事に出かけると、禍が降りかかり契約が結ばれなくなってしまうと。 あれは初出張の時でした。 取引先の目の前でクーデターによる銃撃戦が起きたんです。契約どころではなくなってしまいました。 その一週間後には、宿泊したホテルが爆破されました。 テロリストによる爆弾テロでした。命からがら逃げ帰りました。 さらにわたしはハイジャックにも巻き込まれたんですよ。 これだけ聞いても、厄病神
銀河フェニックス物語の見出し画像を連載順にまとめました。 <出会い編>第一話「永世中立星の叛乱」<出会い編>第二話「緑の星の闇の向こうに」<出会い編>第三話「レースを観るならココ!と言われて」<出会い編>第四話「朱に交わって赤くなって」<出会い編>第五話「今度はハイジャックですって」<出会い編>第六話「アステロイドと美味しいご飯」<出会い編>第七話「真っ赤な魔法使いはパズルもお得意」<出会い編>第八話「唇よ、熱く営業トークを語れ」<出会い編>第九話「風の設計士団って何者よ?
新入社員のティリー・マイルドは大手宇宙船メーカー、クロノス社の営業部に勤めています。 田舎のアンタレス星系から銀河連邦中心部のソラ星系へと出てきました。 そんなわたしのお仕事小説、・・・かと思いきや。 出張先で、大規模デモに巻き込まれたり、環境テログループに襲われたり、ハイジャックにあったりと大変な目に。 それというのも、みんな『厄病神』のせいなんです。 ボディーガードのレイターの船で仕事にでかけると契約が成立しない、というのが営業部のジンクス。 また、今
「『厄病神』の宇宙船・・・」 はぁああ。わたしは肩を落としてため息をついた。 新入社員のわたしだって知っている。その船で出かけると契約が成立しないという噂を。今回、初めての出張なのに。 一緒に営業部に配属された同期のベルがわたしの肩をたたいてはげましてくれた。 「船は『厄病神』だけど、トップセールスマンのフレッド先輩と一緒なんでしょ。ティリーがうらやましいよ」 フレッド・バーガー先輩は、営業部一の腕利きで、成約率は百パーセントと言われている。その手腕を間近に見ら
第一話「永世中立星の叛乱」 一・厄病神とダメ営業部員 「三十九度の高熱が出て、自宅で寝込んでいる」 と、オフィスで隣の席のベルから連絡が入った。同期の中でも姉御肌でいつも元気なベルの声がかすれていた。 ベルは明日からパキ星へ出張に出かける予定が入っているのだけれど・・・。 部長が申し訳ないという顔で、わたしに近づいてきた。 「ティリー君、休暇の日程をずらせないかね。ベル君の代わりに出張へ行ってもらいたいんだが」 わたしは明日から三日間、特別休暇をもらえるこ
第一話 永世中立星の叛乱 第二話 緑の森の闇の向こうで 会議が始まる前、配られた社内報を興奮しながらティリーはめくった。 S1特集と題された記事には宇宙船レーサー『無敗の貴公子』エース・ギリアムの写真がふんだんに掲載されている。 非売品のお宝だわ。この会社に入社できてよかった。 わたしはエースの大ファンで写真集やブロマイドを買い集めている。 呼び捨てにしてしまうけれど、エースはわたしが勤めるクロノス社の御曹司で専務、そして次期社長だ。 入社以来、会った
<これまでのお話> 第一話 第二話 第三話 「君のことを信頼して買ったのに、ひじょうに残念だ」 その言葉はティリーの胸にずしりと響いた。自分の読みが甘かったことを思い知るのに十分だった。 「申し訳ございません。工場で船を調べさせていただいて・・・」 「その必要は無いだろう」 ムルダさんにはとりつくしまもなかった。 二ヶ月前、小型宇宙船マロドスの納入書に快くサインをくれた人と同一人物とは思えない。 あの時、ムルダさんは笑顔で言った。 「君は若いのによくが
第一話のスタート版 第四話 「朱に交わって赤くなって」上巻 下巻 アラ星系に入ったところで操縦席の『厄病神』がつぶやいた。 「一般船はアラツーの着陸許可が下りにくくなってんな」 「え?」 焦ることを平然とした顔でこの人は言う。 惑星アラツーで先方との打ち合わせが入っているのはきょうの午後二時。今、着陸許可が出ないと間に合わない。 やっぱりこの宇宙船、フェニックス号で来たからだ。ティリーは頭を抱えた。 『厄病神』の船で出かけると契約が失敗すると言うジン
第一話 永世中立星の叛乱 第二話 緑の森の闇の向こうで 第三話 レースを観るならココと言われて 第四話 朱に交わって赤くなって 第五話 今度はハイジャックですって?! 『厄病神』の力は凄い。前回の出張でわたしはハイジャックに巻き込まれた。 だけど不思議なことに、プライベートではそんなに大変なことは起きない。 研究所のジョン先輩とフェニックス号でレイターの解説聞きながら宇宙船レースを鑑賞し、その後、レイターの助手席に乗りアステロイドで飛ばし屋とバトルをする。 宇宙船
<これまでのお話> 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 「ジョンソン様、クロノス社のティリー・マイルドでございます。ご挨拶に伺いたいのですが、近く、ご都合の良い日はございませんか?」 ティリーは通信モニターに営業用の笑顔を見せた。初めての相手は緊張する。 「そうだなぁ、今度の日曜の午後は家にいるよ」 アポイントは取れそうだ。 宇宙船メーカーの営業であるわたしは、ソラ系へ引っ越してきたジョンソンさんの担当を、引き継ぐことになった。 「五
<これまでのお話> 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 はああぁ。 深いため息をつくとティリーは目の前に浮かんでいる三次元映像を指で弾いた。 新型宇宙船『グラード』の宣伝用画像がゆらゆらと乱れた。 同期の女性設計士が初めてメインで造った星系外航行船のグラード。 いい船だと思う。 この船には二カ月で二隻という販売ノルマが課せられていた。 わたしは一隻目を営業部で一番早くに売った。ちょうどわたしの顧客が星系外を飛べる船を探
<これまでのお話> 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 第八話 「ねえティリー。レイターさんを紹介してもらえない?」 会社で同期のチャムールから声をかけられた。 眼鏡が似合う端正な顔立ち。 落ち着いているその様子は一見のんびりしている様にも見える。 チャムールは工学系の大学院を出て、今はうちのクロノス社の新型船開発担当。在学中に宇宙船の一級設計士の免許を取ったという才女だ。 先日売り出した新型船『グラード』は彼女が初めてメ
クロノス社は銀河連邦最大手の宇宙船メーカー。 わたしが所属する営業企画課は遊軍と呼ばれている。 遊んでいるわけではない。プライベートの船から法人契約まで、何でも屋という意味だ。 顧客との約束がなければ、基本的に週末はお休みなのだけれど、日曜に仕事が入った。 個人客のハワードさんから、今売り出し中の星系外航行船のグラードについて話が聞きたいと連絡があったのだ。 今週末はわたしの推し『無敗の貴公子』エース・ギリアムが出場する宇宙船レースS1がある。モニター観戦を