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銀河フェニックス物語 <ハイスクール編> 第一話(11) 転校生は将軍家?!

銀河フェニックス物語【出会い編】スタート版
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ハイスクール編 マガジン

 その時、授業終了のチャイムが鳴った。

「勝手にしたまえ。きょうの授業はこれで終わりだ」
 それだけ言うと、教師は部屋を出ていった。

 この一件以来、物理の授業中にレイターが何をしていても、教師は文句を言わなくなった。ただし、レイターは物理でどんなにいい点を取っても、追試を受けさせられた。


 レイターの奴は、どうやら本気で『銀河一の操縦士』を目指しているらしい。

 サッカーの練習が無い日は、二人でゲーセンへ行く。
 あいつは、片っ端から宇宙船のレーシングゲームを制覇していく。

 それにしても、器用な奴だ。

 レイターは、レーシングゲームに限らず、どんなゲームをやらせてもうまい。音ゲーもシューティングゲームも、パーフェクトだ。

 その腕を使ってあいつは、オレの二百リルを元手に夕飯代やら夜の遊ぶ金を生み出していた。

 ほんとは禁止されてるけれど、ゲームで獲得したコインをほかの奴に安く売るんだ。
 闇両替だ。

 店側にばれるとやばい、っつってあいつはちょくちょくゲーセンの場所を移して出没した。
 手慣れている。

 それだけじゃなかった。
「どのゲームでもいいぜ、一万リルで勝負しようぜ」

15紅白戦制服後ろ目笑い手

 あいつはスクールギャングたちを相手に、金を賭けてゲームをした。賭け金は、オレの金だ。 

 その日の相手は、隣町のハイスクールの制服を着ていた。「不良」ってレッテルを張って間違いがないスクールギャングだ。

 そいつらはバトルロイヤルゲームをやろう、って言いだした。相手は三人参加すると言う。それはインチキだろ。三対一かよ。

「いいぜ、生き残った奴が、総取りで三万リルもらえるってことで」
 レイターは問題ない、って顔でオレの一万リルをだした。お前に問題なくてもオレにはあるぞ。

 それにしても、レイターの空間認識能力ってどうなってるんだろう。
 飛んだり跳ねたり走ったりしながらのシューティング。どうして敵に当たるんだ? 

 相手の連携を、みるみる崩していく。
 戦い慣れている、っていうか、こいつ、本物の戦場にいたんだよな。

 金がかかった時のレイターのプレイは、凄みを増す。
 ゲーム開始五分で、三万リルが手に入った。

 *

「女の子誘って、この金で飯食おうぜ」
 レイターは女共と遊ぶのが好きだ。
「いいぜ」

少年ロッキー横顔後ろ目目やや口逆

 街で見知らぬ女子に声をかけ、その場で食事に誘う。つまりナンパだ。

 レイターが誘って、失敗したところは見たことがない。
 背が低くて、幼く見えるから、女どもが警戒しない。

 こいつ、オレと違って門限がないから、しょっちゅう朝帰りしている。
 (12)へ続く

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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」