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【怪恐分裂】災

僕が高一の時に中学時代の先生が亡くなった。
死因は知らせてもらえなかったが早朝に亡くなったらしい。
中学以来の友達から、そう連絡が来て、明日に葬式があるとのことだった。
翌日、先生の家に行った、懐かしい顔が連ねていて、そこから少し昔話に花を咲かせながら列に並んだ。
そして、自分の番がやってきて棺の中にいる先生を覗き込んだが顔には白い布が被せられており先生の死顔は見ることができなかった。
中学の同級生達は号泣していた者が多数だった。
僕も先生が亡くなったのは確かに悲しかったが僕は現実感が無くて、その日はボーッとしていた。
日が落ちそうになっていた時、突然、僕は先生の思い出の場所に行こうと足を向かわせた。
その場所というのが先生が好きと言っていた古い神社だった。
僕は沈む赤い日を見ながら鳥居前の階段に座り込んだ。
山の中にあるため、静かで、落ち着く場所だ。
ジーンと心が温かくなっていると、突然、後ろから話しかけられた。
「君、先生が死んで悲しいんだね」
僕は体をビクッと震わせて、すぐに後ろを向いただけど、そこには誰もいない。
「ここだよ」
もう一度、声がして声の主がいる所が分かった。
そいつは鳥居の上に立っていた。
「誰?」
僕は後退りしながら答えた。
「怪しいもんじゃない、力を与えたまでさ、それでお前の先生は死んでしまったけど」
「どういうことだよ!お前が殺したのか?」
「いや違う、力を与えただけだ」
「お前は誰なんだよ?」
そいつは真っ赤な光に照らされて答えた。
「災」


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