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壊れたと思ったモノが、理由もわからないけれど突然直ったら、やっぱりうれしかった。

 電化製品は、なんとなく調子が悪いと思っても、どこかでそんなことはないという気持ちがあるせいか、自分で気がつかないふりをしてしまっているように思う。


冷蔵庫の故障

 ここ何年かで最も気持ち的にもショックだったことの一つのは冷蔵庫の故障だった。

 なんとなくドアを開けたとき中の空気が冷たくなってないような気がしたが、手を中に入れて、いや大丈夫と自分に言い聞かせて、それから調整のダイヤルを「強」にした。

 そのあとは、なんとなく冷えてきたような気がしたので、心の中で目をつぶっていた。

 しばらくたって、妻に言われた。「冷蔵庫が壊れたみたいなんだけど------」。

 すでに冷蔵庫の中のものが柔らかくなっていて、あちこちをいじったり、へばりついている氷を取ったりもしたのだけど、変わらなかった。

 いつもお世話になっている地元の電気屋さんに連絡をして、みてもらったら、少し申し訳なさそうな表情で、もう直りません。というようなことを告げられたので、買うことを決めた。

 家も古い木造だけど、台所も広くなく、冷蔵庫を入れるスペースもつくられているが、その高さは昔の基準なので、今から考えると低めなので、購入できる冷蔵庫が限られている。だから、電気屋さんにそのことを相談して決めた。

 冷蔵庫の中のものは、妻が早めに料理をしてくれて、だから、思ったよりも傷んで捨てなくてはいけない食材は少なくて済んだ。

 冷蔵庫のない数日間は、食品に対しての気持ちは、少し変わった。買ったらすぐに食べるもの、食べられるものをスーパーでは手に取るようになって、消費期限が先のものを買うことはなかった。

 新しい冷蔵庫が来て、すぐに元の生活になったし、食材への感覚も通常のモードに戻った。

洗濯機の買い替え

 洗濯機は、外にある。

 とはいっても、プラスチックの屋根があって、物干し場になっている。
 その下に古くからの水道があって、排水できる場所もあるので、ずっとそこに設置してきた。

 ただ、その場所は、やはり昔の基準だから、今の視点だと狭いから、置ける洗濯機も限られている。

 本当は布団なども洗いたいけれど、そうなると、7キロとか8キロが必要になるけれど、設置場所の幅だと5キロが限界だった。

 斜めドラムの洗濯機は、外だし、元から無理だと思う。

 何度か洗濯機を買い替えた。

 自動式だから、ホースをしっかりと固定しないといけないし、そのホースの長さも、外の水道だから、どうやら既定のものよりも長さが必要で、今も、2本継ぎ足す形になっている。

 洗濯機も、だんだん調子が悪くなってくる。

 確かにボタンを押したはずなのに、途中で止まっていたりして、だけど、一度スイッチをきって、もう一回入れ直したりすると、なんとか動いて、洗濯を終えてくれて、ただ、しばらく何事もなかったように順調に動いてくれたあと、急に壊れて、買い替えなくてはいけなくなることになった。そのときも、地元の電気屋さんにお願いすることになった。

 今も、毎日のように洗濯をして、今のところはスイッチを入れると、その通りに動いてくれるけれど、こんなに使っていたら、またそのうちに急に壊れてしまうのではないか、というような薄い怖さは感じながら洗濯を続けている。

 ただ、どこかでできたら電化製品は永遠に動いてくれればいいのに、といったものすごく勝手なことを思っていることもある。

ミニコンポ

 その後も、メンテナンスが必要なものは、地元の電気屋さんで買うようにしているのは、103歳まで生きてくれた妻のお母さんが、耳が遠くなって、だけど、テレビを見る習慣があったから、字幕が出るように設定などもしてくれた恩もあったからで、そこで、もう10年以上前になるけれど、小さめなコンポを買った。

 こうした単語自体が、古くなっているというか、すでになつかしい響きを自分でも感じるのだけど、CD、MD、カセットテープの再生ができて、ラジオも聞けるからコンポという名前がついている。だけど、全体の大きさが昔は部屋のインテリアのように大きなステレオを置く社会的習慣があったのだけど、それに比べたらかなり小さいのでミニ、という表現になる。

 ソニーの製品だから、ウォークマンをつなぐ端子もついているのだけど、気がついたら、もう何年か前に、このコンポに適合するウォークマンが製造されなくなったことを、iPodが壊れたので、ウォークマンを買おうと思って、お客様相談センターといった場所に電話をして知った。

 こうして書いていても、何十年も前の話のように自分でも感じてしまうけれど、でも、今も部屋の中で音楽や言葉を流してくれるのは、このミニコンポだった。

リモコンの調子の悪さ

 部屋は4畳半の和室。そこにテレビを置き、本棚の上にミニコンポを設置している。

 そこにこたつを置いて、食事も、お茶も、自分の作業も、この部屋で行っている。

 コンポまでは座ると距離があるから、リモコンを使っている。

 他の日本の製品と同様にボタンは多く、おそらく10年以上使っていて、一度も触ったことがないところもあると思うし、どんな機能なのかもよく分かっていないスイッチもあるはずだ。

 ただ、1年中使っているコタツのテープルの前に座って、作業を始めるときにラジオをつけたりするときは、そのテーブルに置いてある妻が作ってくれたボックスの中にテレビとエアコンとコンポの3種類のリモコンを入れているから、その中でコンポのものを手に取ってスイッチを入れて、チューナーかCDを選んで、部屋の中に音を流す。

 ラジオ局のチューニングは最初のオート選択のようなことをしたのだけど、それだと、いつも使うラジオ局をプリセットできず、だけど、どうやればいいのかわからないので、そのままにしていて、場合によってはコツコツとチューニングをして選局をしている。

 あるとき、ほとんど何の前触れもなく、リモコンの調子が悪くなった。

 コンポのスイッチを入れるボタンは緑色で細長いリモコンの右端の上部にあるのだけど、そのボタンを軽く押しても、スイッチが入らなくなった。やや力を入れて、しばらく押していると反応する。

 だから、それまでほとんど無意識のようにスイッチを入れていたのが、かなり意識的にボタンを押さないと、機能しなくなった。

 乾いた布でふいてみたり、逆さまにして振ってみたりしたのだけど、事態は変わらない。

 だから、テレビなどは座ったままリモコンを使えるのだけど、コンポのスイッチを入れるときと、切るときは立ち上がって、コンポ本体の上部にあるスイッチを押さないと、操作ができなくなった。

 ただ、リモコンの他のボタンは反応するから、ラジオ局を変えたり、CDを演奏したり、といったことはできた。

 電源の緑のボタンだけ、いうことを聞いてくれなくなった。

 なんだか不思議だったので、そのうちに地元の電気屋さんに聞いてみようと思いながらも、時間が経って、コンポの電源のオンとオフは、立ち上がって本体のスイッチを押す、という面倒くささが体に伝わるようなことを続けていた。

 特にテレビをつけるから、ラジを消すときは、座っていたらいったん立ち上がる必要があるから、ああ、という億劫さは変わらないものの、そういう日常にも慣れてくる。

急に直って、うれしかった

 しばらくコンポのリモコンの電源のスイッチ自体にさわらなくなっていた。

 押しても反応しないせいだ。

 スイッチはコンポ本体の電源スイッチを直接押す生活が続いた。

 前よりも力が必要で、手間が増えて、だから、この機械を使っているんだ、といった微妙な手応えは増えていた。

 それが、何気なく、座ったまま、コンポのリモコンの電源スイッチを押したら、コンポがついた。

 あれ。

 もう一度、押したら、スイッチがオフになった。

 なぜか、ちょっと待って、またスイッチを押したら、電源が入って、他のボタンも通常に作動する。

 どうして、急に直ったのか、全く理由も原因もわからなかった。

 当たり前だけど、故障したかと思ったときは、電池もかえたし、色々とやって、諦めて、新しい習慣になじんでいたのに、直った。

 直った理由がわからない不安はあったし、どこか気持ち悪さもあったのだけど、それよりも、またリモコンが直ったうれしさが上回った。

 これで電気屋さんに行かなくてもよくなった。

 原因や理由がわからない以上、いつまた作動しなくなるかわからない。そんな不安はありながらも、今日もリモコンは動いてくれた。

 最初は、とてもありがたい気持ちもしたけれど、時間が経つうちに当たり前になってきているから、また故障したら、何だよ、などと思ってしまうのだろう。

 考えたら、電化製品は、確か7年で修理ができなくなると言われていて、それよりもはるかに長く使っているのだから、故障どころか壊れてもおかしくないのだけど、使えるときは、ずっと動いてくれるような気持ちになる。

 それも、勝手なことなのだけれど、カセットテープもMDも使えるコンポ自体が、今は製造されていなさそうなので、何しろ長く動いてほしい、という願いはある。

 今日もスイッチが入った。

 とても勝手なことなのは分かっているけれど、がんばってほしい。


(今のミニコンポが壊れたら、次は、こうした商品↓を購入することになるかもしれない)





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おちまこと
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