「タマちゃん遺産」。
覚えている人は、ある程度の年齢になっているはずだけど、「タマちゃんブーム」というのがあった。
東京の多摩川に、ゴマヒゲアザラシが突然現れ、連日、見物するために人が集まり、報道もされるという「ブーム」だった。
タマちゃんブーム
2002年8月7日。
多摩川に、アザラシの子どもと思われる動物が登場したのを、私も知っていたのは、それがすぐにニュース映像として流れ、それから連日、ワイドショーでも扱われていたからだった。
しかも、その場所は、自分にもなじみがあるところだった。多摩川は、自分のうちからも近く、しかも「タマちゃん」と呼ばれたアザラシが現れた場所は、よく利用する駅のそばだったからだ。
気がついたら、多摩川だから「タマちゃん」という名前になり、ものすごく人が集まっていた。近所の人でも、見に行ったという人たちがいるくらいだった。ただ、自分にはそこまでの気持ちにはなれず、それほど熱心にもなれなかったのは、可愛い動物への興味がそれほど強くなかったせいだと思う。
その「タマちゃん」は、程なくして、その多摩川駅(東横線・多摩川線)のそばの川から姿を消して、次は鶴見川、帷子川と場所を変えていった。
その途中で、「タマちゃん」に住民票が発行されるなど、今だと「炎上」しそうなことも行われたけれど、それだけ多くの人が注目していたのだと思う。
トーヨコちゃん
ただ、「タマちゃん」は、多摩川で発見されたから「タマちゃん」で、鶴見川や、帷子川と「川」を変えたら「タマちゃん」と呼んではいけないのでは、と秘かに思っていたのだけど、大っぴらに言うと、なんとなく非難を浴びそうで、黙っていた。
もちろんアザラシだから「川」にいるのは当然として、この多摩川、鶴見川、帷子川は、どこかでつながっているのだろうけど、この「タマちゃん」が現れた共通点は、もう一つあって、東急線の東横線沿い、ということだった、と思う。
だから、「トーヨコちゃん」という名前の方が正確なのに、という話は、身近な人には伝えたけれど、ほとんど同意は得られなかった。
タマちゃん アンパン
最初に「タマちゃん」が現れたのは、多摩川の丸子橋の近くだったのだけれど、そこから最寄りの駅といえば、多摩川駅のはずだ。
その構内には「神戸屋」というパン屋さんがあって、そこに「タマちゃんアンパン」というパンが売られていた。もちろん「タマちゃんブーム」があってからなので、それに乗っかっていたのは明らかだった。
それも、もしかしたら、開店した年から、そのパンはあったかもしれない。だけど、そのブームに乗った感じに抵抗があって、食べたことがなかったような気がする。
だけど、気がついたら、その「神戸屋」は、2021年に閉店していたのを知らなかったのだけど、それは、次に同じ場所に、やはりパン屋ができていたからだと思う。
次にできたのは「リトルマーメイド」で、そこに、ふとまだ「タマちゃんアンパン」があるのかが気になって、寄った。
にっこりアンパン
店に入ってすぐのところにテーブルがあって、そこに並んでいるパンは、「タマちゃん」だった。だけど、その名前は「にっこりアンパン」だった。
でも、店内の他のパンには、「タマちゃんアンパン」はなく、だから、最初の「にっこりアンパン」しか「タマちゃん」はなくて、妻は「あれがそうだよ」と自信を持って言われたので、店員さんに聞いた。
そうしたら、タマちゃんアンパンは、以前の「神戸屋」の商品で、これは、違うものですが------と、やや言葉を濁すように教えてくれたのだけど、やっぱり、タマちゃんのようだった。
そのあたりの表現が、微妙に分かりにくかったのは、ハッキリとは言えなくて、商品名にも「タマちゃん」を使えなくなっているような、どこか大人の事情も感じたのだけど、あれから20年以上経って、店まで変わっているのに、今も「タマちゃん」のイメージが残っているのは、勝手なものだけど、なんとなくうれしかった。
帰ってきて、「にっこりアンパン」を食べた。
以前の「タマちゃん」は、アンパンだったようだけど、今のは、アンとホイップクリームが入っていて、このパターンの組み合わせは、それほど古い方法ではないと思うのだけど、おいしかった。
今、このパンを、あの「タマちゃん」由来と分かって買う人は、20年以上前のブームを知っているからで、そう考えると、この「にっこりアンパン」は、一種の「遺産」だと思う。
たまちゃんバス
もっとはっきりと「タマちゃん」の影響が残っているのが、「たまちゃんバス」だと思う。
「タマちゃん」が多摩川に現れたのが2002年だから、この「たまちゃんバス」の走り始めたのは、それから7年後だから、かなり遅めというか、すでに「たまちゃんブーム」の記憶もかなり薄れ始めた頃のはずだ。
もしかしたら、もっとブームの最中だったら、この名前にならなかったのかもしれないけれど、それでも、このあたりの住民だったら、その時に大人だったら、まず忘れていないだろうし、確かに「たまちゃん」という名前は親しみやすいから採用されやすいとは思う。
そして、この「たまちゃんバス」が存在する限り、あの「たまちゃんブーム」は、地域の思い出として記憶され続けるから、これも「遺産」の一種ではないだろうか。
さらに、この「たまちゃん」の商標登録を、バスの運行より8年後に行っているのは不思議だったのだけど、色々な事情があるのだろう。
ただ、もし、この商標登録について、大田区に尋ねたとすると、あの「たまちゃん」との関係を明言するのだろうか。それとも、「リトルマーメイド」のスタッフの方が、微妙な表現をした以上に、複雑な言い方をするのだろうか。
そのあたりは明確には分からないけれど、個人的には、この「たまちゃんバス」を見るたびに、あの多摩川で人を集めていたアザラシの「たまちゃん」を思い出すのは間違いない。
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