富士山の日
家のそばに河川敷がある。
そこには、県境になる広い川が流れていて、昔からここに住んでいる人にとっては、大雨が降ると、あふれて床下浸水をしたような状態だったけれど、堤防が強化されてからは、それもほとんどなくなったそうだ。
そうなると、その場所は身近な自然で、近くにあるわりにはそれほどひんぱんに行かなくても、その土手の階段を上がって、視界が広がるのはそれだけで気持ちがいい。
普段はランニングする人や、河川敷は高校の野球部などの練習で人がいるくらいだけど、春になって桜が咲くと、うそのように人でいっぱいになる。
ダイヤモンド
たまに思い出したように、体力をつけなくちゃ、と思うのは、年に2回はフットサルをする機会があるからだけど、そうなると、河川敷に行って走ったりする。
ずっと継続しているわけではないから、少し走っただけでも、苦しさが来るのが早く、内臓も揺れているような気がして、でも、それだけに体にはいいのでは、と思いながらも、すぐに足も重くなる。
しばらく走ると、桜の季節でもないのに、カメラを構えた小集団がいることがあった。近くに行くと、ほぼ中高年の男性で、所持しているカメラと、そのレンズは大きくて立派で、素人目にも高額なのはわかる。
みんな川の向こうの西側にレンズを向けていて、だから、走っている途中に、何をしているのか不思議で、立ち止まって、遠慮がちに、何を撮影しているのですか?と聞いた。
そうしたら、そこにいる男性が、何を聞くのか?という、ややぶ然とした表情で、ここから、ダイヤモンド富士が撮れること。そして、そのチャンスは年に2度ほどしかないこと。それに天候に左右されることを、教えてくれた。
太陽は東から上って、西に沈む。
その位置は、地球が回っているから、毎日、たぶん微妙に違う。そして、偶然、富士山の頂上に向かって、夕陽が沈んでいく日がある。
その沈んでいく太陽が、ちょうど富士山の頂上になる瞬間を、ダイヤモンド富士、というらしい。
確か、言葉だけは聞いたことがあるけれど、自分が住んでいる近所からでも撮影できることは知らなかった。確かに河川敷から富士山は見えるけれど、とても遠くて、かなり小さい。
だから、そこにいた男性たちは、大きなレンズを構えていたのは納得もできたが、そうやって辛抱強くチャンスを待っている姿は、とても真面目だと思った。
川の向こうにタワーマンションが増えて、だから、以前よりも富士山が見えにくくなったはずだけど、今もダイヤモンド富士の撮影のために人は集まっているかどうかは、分からない。
富士山の日
何かで登録すると、迷惑メールではないけれど、お知らせとして様々なメールが来る。確か、一度、写真関係のフリーペーパーのプレゼント応募をしてしまったせいか、何ヶ月かに一度くらいのゆったりとしたペースでそのメールが来る。
それで、2月23日は、富士山の日だというのを初めて知った。
今年(2024年)は、東京都内でも、2月になって雪が降ったり、2月の中旬くらいから1週間ほど、ずっと雨が降り続いていた。
富士山の日だった2月の23日も、雨が降っていた。
冬の雨は冷たく、寒く、外へ出る気もしなかったけれど、もし、今日、天気が良かったら、河川敷にカメラを構えた人は集まったのだろうか、といった、想像してもあまり意味がないことを考えた。
それで、寒かったし、すでに暗くなってきたけれど、少しだけ家の外へ出て、とても大ざっぱだけど、確か、この方角に富士山が見えるはず、という場所へコンパクトカメラを向けて撮影した。
もう暗かったし、ピントも合わなかったし、ちょっとブレた。マンションの照明が、糸を引いてしまった。
もともと、建物や、木々があるのだから天気が良くても、家からちょっと出たところから富士山が見えるわけもない。
それにこのコンパクトカメラでは、遠くて小さい富士山は撮影するのも難しい。
マンション
ただ、そんなことをしていると、結婚してからすぐに住んだ、今の家から徒歩3分くらい小さいマンションの4階の窓から、天気がいい時は、富士山が遠くに小さく見えたことも、やっぱり思い出す。
富士山が視界に入ったときは、なんだか少しうれしかったし、ちょっと得をした気持ちにもなった。
今は、同じマンションがかなりの年月がたっても、変わらずに建っているけれど、あれからいろいろな建物が周囲に建ったから、もう、そのマンションの4階の窓から富士山は見えないと思う。あの頃、近くにはまだ小さい畑があった。
それくらい、あちこちに建物がない場所があった。
同じ町に住んでいるけれど、随分と風景は変わった。それは単純に時間が経ったせいだと思う。
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