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部活の帰り道の思い出

 寒くなってくると、今でもコンビニの前などで、湯気が出ている肉まんを、すごくおいしそうに食べている、おそらくは部活帰りの高校生を見ると、少し温かい気持ちになる。自分も、肉まんが食べたくなったりする。

肉まんとバス

 中学生の頃だから、とても遠い思い出になってしまうけれど、部活の練習の帰り、特に寒い頃の帰り道は、バス停だと、4つくらい先まで、いつもは歩いているけれど、疲れていると、バスに乗りたくなる時がある。だけど、その運賃が、ちょうど肉まん一つと一緒で、どちらをとるか迷ったりした。

 肉まんを選んだら、その時は、ものすごくおいしいけれど、歩きながら、中学生男子の部活帰りは、ウソみたいに早く食べるから、けっこうあっという間になくなり、国道を歩きながら、追い抜いていくバスを見て、これを我慢すれば乗れたのか、などと思ったりもしていた。

 もちろん逆もある。
 バスを選んで、バス停で知らない他の人たちと一緒に待っていると、会社帰りらしい大人たちもやや重い表情で並び、そういう日に限って、バスはなかなか来ない。やっと来ても、車内はけっこう混んでるから座れるわけもなく、渋滞で有名な複雑な交差点が、やっぱり混んでいて、なかなか進まず、止まっているバスから外を見ると、歩いている人に抜かれたりもして、肉まんのおいしさの記憶はあるから、やっぱり肉まんにすればよかった、などと不毛な後悔をしていたりもした。

インスタントラーメン

 中学生や高校生の頃は、なぜかすごくお腹をすかしていて、しかも、小遣いなども、そんなにもらえるわけもなく、だから、部活の帰り道などは、どれだけ安くてお腹がいっぱいに近づくかを、そんなに賢くなくても考えた。

 ある時は、何人かと一緒に帰っていて、確か袋に入ったインスタントラーメンを買った。1パックで買ったかどうかは覚えていないのだけど、確か、一人当たり、肉まんよりも安かったと思う。

 その袋入りのインスタントラーメンを買って、それぞれ一つずつ持って、袋を、各自で開ける。中に入ったスープの袋を出して、あけて、そのままメンのところに、全部ふりかける。一度開けた袋を、もう一度、手で閉じて、それで、外からバリバリと細かくした上に、スープの粉とよく混じるように、袋を振る。

 どのくらい粉々にするか、振るかは、それぞれの好みによるのだけど、イメージでいえば、駄菓子のベビースターラーメンに近くなる。

 その袋を開けて、手を入れて、つまんで口に入れる。
 それから何度も、それをしたことがなかったから、そんなにおいしくはなかったと思うが、安くて、それなりに満腹に近いたから、気持ちは満足だったはずだ。
 それで、お腹を壊すこともなかったから、若い男子の胃袋は丈夫だったのだと思う。

ミリンダ

   帰り道に、ジュースが飲みたくなると、ちょっと元気がある時は、少し遠くにある、自宅とは逆の方向へ歩いて、ミリンダのある自動販売機まで行った。たぶん、5分以上はかかったと思う。たしか、10円くらい安かったはずだけど、何しろはっきりとは覚えていない。それでも、確かに少しだけでも安かったから、わざわざ行ったのだと思う。

 歩く消費カロリーを考えたら、トクなのかどうなのか、よく分からなかったものの、中学生男子だと、目先の10円が大事なので、多少の手間は惜しまなかった。

 少し考えたら、すごくバカだったのだと思う。

部活の帰り道

 今、夕方から夜にかけて、部活帰りの高校生がたくさん歩いている。たぶんラグビー部と思われる大きな体の男子高校生たちと、時々、近くの小さいスーパーで、何人もと一緒になり、一人が一つか二つずつしか持っていなくて、それぞれ会計をするから、少しレジが渋滞するのだけど、その行動の理由は少しわかる。

 その通学路には、コンビニもあるのだけど、そこよりも、このスーパーの方が、基本的に飲食物は安い。

 彼らのほうが、同じ通学路の線上での選択をしているから、私の中学生時代よりも、はるかに賢いとは思うものの、部活帰りに、そうして何かを買って、スーパーの外で、すぐに食べている姿を見ると、その気持ちは、たぶん、想像できると思う。



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