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5年勤めたVeeva Japanを退職しました

 2016年3月に転職したVeeva Japanを2021年4月末を以て退職する事になりました。関係各位の皆様には5年間、本当にお世話になりました。

 この5年間、本当にとても恵まれた環境で仕事をさせて頂いたので、Veevaという企業の説明、退職を決めた理由、そしてVeevaで私が何を行ってきたのかをまとめておこうと思います。

自己紹介

簡単に自分の現時点での経歴を説明します。

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 上記の通り、基本軸はコールセンター運営とかカスタマー・エクスペリエンス、CSや顧客ロイヤルティが専門です。属性としてはマーケティング領域からCSやコールセンター運営まで横断的に見れるスキルと経験があり、直近はTechカンパニーのパートナーアライアンスをしていた、という感じです。

Veeva とは?

 Veeva Japan 株式会社は米国にHQを置くVeeva Systems Inc.の日本支社です。ライフサインエンス業界に特化したクラウドベースのソフトウェアを提供しており、Vertical SaaS(業界特化型SaaS)として世界トップクラスのシェアを維持しています。いわゆる「ユニコーン(企業価値が10億ドル以上のスタートアップ)」企業です。また最近では株式公開企業として初めてのパブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)の法人格を取得したりとそこそこ話題となっています。

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 Veevaのプロダクト群は一言でいうと「ニッチ且つユニーク」。ライフサイエンス企業に特化した「インダストリークラウド」を標榜し、製薬の研究開発から製造、認可承認、そして上市後のCommercial領域まで全てのプロセスを横断してデジタル化するプロダクトをクラウドで提供しています。また近年ではデータ領域の会社を戦略的に買収していて、ソフトウェア×データによる高水準のコンサルティングサービスの提供も開始しました。

 市場シェアも高く業績も好調、今後も安定して成長する優良なソフトウェア企業だと言えます。

Veevaに転職したきっかけ

 自分がVeevaに転職を決めた理由は「タイミング」と「プロダクトのユニークさ」と「企業文化」の3点でした。
 当時の自分は株式会社ベルシステム24で勤めていたんですが、勤続16年になっていた事もあって、次のキャリアをどうしようか考えていました。ベルシステムでも充実した仕事をさせて貰っていたので、続けていく選択肢もあったのですが、自分のスキル的にコールセンター領域だけではなく、その上流行程であるマーケティング領域も学びたい欲求が強くなっていました。またちょうど第一子が生まれるタイミングでもあったので、ワークライフバランスを見直したい時期でもありました。こうした状況の中で、以前から業務プロジェクトなどでご一緒させて頂いた方がVeevaに転職をしていて、その方経由でVeevaを紹介頂いたという流れです。
 このあたりの心境とかはVeevaの採用コンテンツでインタビュー記事にもなってますので、興味ある方はそちらも読んで頂ければと思います。

Veevaでやった仕事 ①Product Marketing

 Veevaに入社して最初の3年間はProduct MarketingとしてCommercial領域の製品マーケティングを担当していました。

・Product messaging and go-to-market plan
・Content development
・Product launches
・PR efforts
・Digital marketing
・Events planning

 私の業務としては、グローバルで承認された製品仕様やメッセージをローカライズし、日本のPMやSalesと相談しながら必要なマーケティングのマテリアル(DataSheetや汎用提案書、webコンテンツ)を作成しGo-To-Marketをしていく事が中心でした。製品数がそもそも多い上に、製品アップデートによる機能追加も定期的に実施されるので、慣れるまではなかなか大変でした。当然、グローバルプロダクトなので情報は全て英語です。不明な点があればグローバルの担当者とメールやリモートでコミュニケーションを取り、正しいメッセージを作っていきます。
 既存の製品の情報整理や更新もあれば、0から新規製品のローンチをするとかも経験できたので、とても良い経験でした。またカスタマーサクセスの担当者とも並走して仕事をする事も多く、ユーザー向けのwebinar運営やユーザー会のコンテンツ企画など、カスタマーマーケティングの仕事なんかもやっていました。このProduct Marketingでの3年間で、本場のTechカンパニーのマーケティングを学べた事は自分のキャリアにとってもかなり大きな経験になりました。

Veevaでやった仕事 ②Product Alliances

 2019年からはProduct Alliancesを担当する事になりました。もともと前職でパートナーソリューションの企画やパートナーアライアンスなどの経験もあった事から、「やってみないか?」とのお声がけを頂きました。Veevaの製品がユニークなのは前述した通りですが、製薬企業における業務プロセスの中核を抑える製品でもあるため、他社Productとの連携についてもユーザー様からは多くの要望を頂いています。要望の多い製品については、その都度SIをするより標準連携を構築する事がカスタマーサクセスに繋がります。Product Alliancesでは製品連携についてのパートナーエコシステムをプログラムし、パートナー企業の選定、契約、製品連携の評価、オンボーディングまでをトータルで担当します。R&Rだと以下の様になります。

・Evaluation and qualification of prospective tech partners in Japan Market
・Onbording, certification, and execution of partner marketing activities 
・Support for Veeva team for partner-related activities
・Collaboration with Veeva teams to identify areas where we can best support customers and Veeva objectives through partnership
・Creation of materials that enable our partner community and internal stakeholders to work more effectively with Veeva customers

 Product Alliancesでの仕事はProduct Marketingとは違った刺激があり、これも良い経験でした。様々な国内のTechカンパニーの製品を評価し「Veevaの製品と連携させる事で価値が生まれるか?」を、実際のユースケースにまで落として検討していく過程は、とてもクリエィティブでした。反面、ユースケースまでデザイン出来たとしても、POCからエグゼキューションまで進むケースは稀だったりして、なかなか成果が出るまでに時間がかかるのが難点でもありました。当然ですがPartner企業側も投資判断が入りますので、「案件ありき」でないと進まないケースもあります。その場合は顧客を巻き込む事にもなるため、より慎重さが求められます。自分はここで「原理・原則の大事さ」を再確認する事が出来ました。自社のリーチ拡大を目的とした話題作りのためにVeevaと製品連携を希望頂くケースもあり、こういう場合には「カスタマーサクセスに繋がらない製品連携であればお断りする」という強い判断をする事になります。お断りには労力がいりますし、場合によっては関係性が悪くなる可能性もあります。しかし目先の成果ではなく、中長期的な「顧客の成功」に対して真摯であるからこそ、正しい事を行う事が求められるのです。
 Partner Alliancesでの2年間はコロナ禍だったので完全自宅でのリモート業務でしたが、Product Marketing以上に外部との接点も増えた事もあり、また世界が広がった時間だったと思います。

Veevaで素晴らしいと思えたこと

 Veevaで素晴らしいと思った事をまとめました。今後、入社を検討する方がいたら参考になれば幸いです。

・原則フルリモートでの勤務(Work Anywhereという指針)
 物理出社の必要がほとんどなく、とにかく時間が有効に使えます。
 会社全体で子育て世代への理解も高く、この辺で困る事はなかったです。
 自分だけでなく、家庭として考えても最高の環境でした。
・年収の2%分の金額を自身の勉強に充てられる制度(2% Program)
 自己研鑽の学習費用が毎年経費として申請できます。(* Mgrの承認要)
 例えば年収700万であれば、年14万円が経費として自由に使えます。
・benevityを利用して年収の1%を毎年、任意の団体に寄付できるProgram
 会社がサラリーとは別枠で上記金額使用の権利を付与してくれます。
・定期的にグローバルとのMeet Upがあり海外出張できる機会
 普段リモートでしか話せないUSの仲間と集まれたのは楽しかったです。
 * ただし所属部署によります。もちろんコロナ以降は機会激減。

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報酬体系は年収+RSUが基本、年次に応じてSO付与もあり
 今後も安定して成長が見込める企業なのでRSUは励みになります。
・CEOがPeter Gassnerであること。彼の話を直接聴ける環境
 月1のCompany Callで全社員が彼やリーダー陣の思想に触れられます。
Veevaが掲げるVisionとValueが強力で全くブレないこと
 この5年を通して、全ての意思決定においてこれが貫かれていました。
 成長企業にも関わらず、老舗の様なブレなさに感動。

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働いている人が皆素晴らしい(Professionalであり人間的にも大人) 
 本当にいい人が多くて、働きやすかったです。

 色々と挙げましたけど、本当に良い会社です。反面、裁量労働制という事もあって、自分自身で目標や時間管理を上手に出来ないと成果が全然出せない環境でもあります。併せて英語による情報理解とコミュニケーションも必須になるため、ここで苦労してしまう人には厳しいと思います。最新且つ正しい情報を持っているのは誰か?それを自分自身で探して、キーマンにコンタクトを取る、その先に自分がすべき事を決定し、実行していく。更に自身の成果は社内ポータルでどんどん共有していくこと。こう書くと当たり前の事ですが、こうした一連の「仕事のやり方」を誰の指示も無いなかで、きちんとやっていかないといけない世界です。個人的には「会社として大人の環境だよなぁ」という印象でした。

退職を決めた理由

 これだけポジテイブな感情しかない会社を、自分がどうして退職しようと思ったのか? これには幾つかの理由がありましたので、整理して書きます。

自分自身のキャリアにおける専門性の問題

 一番最初に書きましたが、私の専門領域はCSやCX、顧客ロイヤルティに集中しており、Veevaでの仕事をしながらも研究会への参加や講演などの活動を、ある意味でライフワーク的に続けています。そんな折、特に大きな出来事としてあったのが、研究論文の執筆です。これは私が「コンタクトセンターにおけるCX構築」というテーマで研究を続けていた関係で、コンタクトセンターの業界紙で記事の連載などもしていたのですが、そこから派生して「論文を書いてみないか?」とのお声がけを頂いたのがきっかけです。この論文発表が契機となり、セミナーでの講演やworkshopの機会もまた増える事になります。こうした一連の流れの中、ふと自分の専門性について改めて再認識する事になるわけです。「自分の専門性をはたしてVeevaで活かしているか?」こう自問した時に、Partner Alliancesでは専門性に対して少しアンマッチがある様に思えました。

フォーカスすべき業界についての問題

 Veevaはライフサイエンス企業に特価したTech Companyです。当然ライフサイエンス中心のコンテキストが濃く、人脈についても製薬業界×ITを中心とした広がりになります。一方、自分自身のエンゲージメントが強い領域はCSやCXそのもの自体のエリアで、ここにTechやMarketingが絡んだベン図の中心にあると改めて気づきました。それではVeevaでCSやCXを実現できるか?と考えた際、日本では発揮しづらい事もわかりました。Veevaの顧客は製薬企業のエンタープライズビジネスが中心のため、CXを考える場合も製薬業界特有の知識経験が求められます。一方で、サポートなどはグローバル管理となっており、実働部隊は日本ではなくアジアやUS側で対応するデザインになっています。

年齢の問題

 そして、この3月で私は45歳になりました。50歳を一つの区切りと捉えた時にあと5年で「何ができる?」「何をすべき?」みたいな事を割と真剣に考える機会があり、自分が50歳の時に在りたい姿を思い浮かべました。色々考えた結果、CSやCXの領域で十分なキャリアと実績があり、後進を育成するイメージが自分としても一番納得感がありました。そして、その姿から逆算した時に、事業会社でCSや顧客管理部門を統括する経験が必要だと判断しました。

問題を整理して結論に至る

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 これら3つの問題を整理した時に、環境の良いVeevaで仕事を続ける選択肢はもちろんありましたが、次のチャレンジをするタイミングだと思い至りました。これが退職を決断した理由になります。

最後に

 今回は退職エントリなので「次に何をするのか?」については書いていません。これについては後日、転職が決まった新しい会社の着任後に別途入社エントリでも書きたいと思っています。

 長々と書きましたが、退職理由としては「自己実現」が一番であり、Veevaに対してネガティブな要素は全くありません。なので「英語に苦労がなく、製薬業界のDXに興味がある方」にはVeevaを強く推薦したいです。採用ページのリンクも貼っておきますので、興味ある人は個別に連絡を頂ければ、紹介もさせて頂きます。

 本当に幸せで充実した5年間でした。重ねて感謝します。ありがとうございました。




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