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ポリハレビーチまで 4)凪の視線
カウアイ島へ一緒に旅することになったのは、不思議な関わり合いを続ける年下の友人「凪」だった。
そもそもは職場の上司と部下として出会った。
当時私は自然雑貨の店の店長で、凪は新人アルバイトだった。
ヨガの勉強を深めている最中だった凪は、入社して3ヶ月ほど経ったころ、
「そのうち1ヶ月ぐらい休みをください。アメリカにヨガのトレーニングに行きたいんです」
と願い出た。
「だったら次のシフトで
ポリハレビーチまで 3)カウアイ島へ
カウアイ島への旅が決まったのは、ヨーコが死んでもうすぐ1年という頃のことだった。
たまたま仕事で長い休みをとれる時期だったことと友人がそこを訪れるタイミングが重なり、どんな島だかよく知らないままついて行くと決めたのだ。
私はヨーコの死を、まだリアルに受け入れられていなかった。
もちろん頭ではもうヨーコがこの世のどこにもいないと知っていた。
けれどふとしたときに、「これはヨーコに知らせなけれ
ポリハレビーチまで 2)ある日の日記
ヨーコの夢をみた。
いつものあの、穴倉みたいなヨーコの小さなバーのカウンター席に私は座っている。
店内は薄暗く、ソウルミュージックが低く流れている。
私の斜め前には、カウンターの内側の小さな椅子に腰かけてタバコを吸うヨーコがいる。
夢の中の私はヨーコが死んだことを知っていて、その顔を見つめている。
「なぁちょっと触ってもいい?」
私は幅の狭いカウンターテーブル越しに手を伸ばす。
「な