願い事
空っぽの私を抱き寄せて
また旅に出る
悲しみが原動力なのは
いつものこと、
参っちゃうね
今夜は月のない夜
だからあなたとお話しをすることも難しい
不安とばかり仲良くなって
惰性で生きている姿
死んでいるのか、どうなのか
時折、自分でも分からなくなる
笑っちゃうね
しっかりしなさいと君がいいます
何時ぞやの君だって
こんな風だったのに
いや、もう少しマシだったっけ
いずれにしろ、もう分からなくなった
酷いねこりゃ
これがまさしく
本当の負け犬だね
暇な私は今日も今日とて
雲を数えて生きています
煙草が吸えたらよかった
そうしたらもう少し
かっこ付けられたのに
さみしさとも、もっと上手に
付き合って
愛人くらいには
成り上がれたかも知れないのに
夢を見たよ
今日も君は出てこなかったね
きっと逢いたいのは
私だけなんだろう
それはそれで
まぁ、いっか
いいじゃない、今日くらいは
どっぷり絶望に浸かって
しけた面ぶら下げて
おセンチな歌を
いかにもそれっぽく
声高らかに
気分は悲劇のヒロインで
明けない夜を嘆くの
暗がりにはいつだって
過去の亡霊が彷徨っている
思い出すのはあの夏の日
生みの父が壊れた
謂わば"私たち"家族の命日
呼べばいつだって応えてくれた君も
最早、私の
妄想の産物でしかない事は
分かっている
どう言い繕っても仕方のない、明白な事実
太陽に照らされてしまえば
溶けて消えていくだけの、淡い幽霊
でもそれが、それだけが
私のすべてだった
私の生命、生きる理由、私の
世界そのものだった
情け無いね
馬鹿みたいだよね
笑ってよ、君になら、
いいよ
そんな悪い気は、たぶん
それ程しないと思うんだ
いっそ、私が
まだ生きていることが
自覚できて
嬉しさとか悔しさとか、込み上げて
それで、やっと
泣ける気がする
泣ける気がする
(生きていていいよ、って誰かに言われたい
「此処に居ていいよ」、って
誰かに言って貰いたい
そんなの
他者や外側の世界に求めるのは
ナンセンスな話で
それは子供だけに許される特権で
オトナの私にはもう容認されない
それはそれは胸焼けするほどに
ドロドロに甘えきった頼みごとであることは
重々承知済み。
それでも
「ここに居るよ、ずっと居るよ」
たとえ分かりきった嘘だとしても
はじめから「守られることはない」と
気付けるほどお粗末な、
その場限りのモノだったとしても
手を重ねて、
願うことなら、ただ一人
どうか
たった一人、
君に
言われてみたかった)
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